恋愛リアリティーショーなどでお馴染みの「ジャグジーデート」。
今回は『こいこと。』のライターたちが、まさかの組み合わせで挑戦してみました。
ロマンチックな泡風呂のなかで交わされる会話、意外な本音、そして笑い。
果たしてどんな化学反応が起きたのでしょうか…!?
3組のペアと番外編にわかれての、泡と恋とツッコミのエンタメレポート、スタートです!
ケンジ&リクのジャグジーデート
「男ふたりのジャグジー、ってどうなん?」
「なあリク、これ罰ゲームか?俺らだけ女子おらんぞ」
ケンジが湯けむりの中からボヤく。ジャグジーは青くライトアップされ、ロマンチックな空間。…のはずが、そこにいるのは40代と20代の男ふたり。
「言われてみれば、完全に女子向けのロケーションですね」
「しかもリク、ええ感じで肩まで浸かっとるやん」
「ケンジさんが足先しか入ってないからじゃないですか」
「恋バナでもするか〜」
「せっかくだし、恋バナでもしますか。最近、僕…ちゃんとお付き合いしてる人がいるんです」
「おお、ミサキちゃんだっけ?」
「はい。付き合って数ヶ月ですけど、毎回新しい発見があるっていうか…」
「うわ〜キラキラしてるな!泡が嫉妬しとるわ」
リクの語り口は相変わらず誠実で、言葉のひとつひとつが丁寧。ケンジはその様子をニヤニヤしながら聞いている。
「でも本音言うと、過去に遠距離で失敗してるから、今も少しだけ不安になることあるんですよね」
「うんうん、それな。俺もさ、離婚してから付き合った子に浮気されたことあってな」
「えっ…」
「で、そのあと“女の子に信用されるには、まず犬になれ”って悟った」
「犬になれ、ですか」
「そう、飼い犬のような従順さと安心感があれば、浮気されにくい(気がする)」
「学び:ジャグジーより信頼関係」
「まあ結論はこれだな。恋愛って、泡より信頼が大事」
「泡と比べます?」
「見た目に惑わされるな。泡は消える。でも信頼は、風呂上がりまで残る」
「……名言のようで名言じゃないですね」
男ふたりのジャグジーは、お湯とともにボケとツッコミが満ちていた。
マリ&アカリのジャグジーデート

泡の向こうで、なんかちょっと胸がきゅんってした
「この景色、映画みたいじゃない?」
ジャグジー越しにマリさんが笑う。
泡とライトが揺れて、ふたりの距離は近いようで、遠いようで。
なんだろう、この感じ。ふわっとした時間の中で、少しだけドキドキしてる。
「アカリちゃんって、話してて明るくなる。そういうのって才能だと思う」
突然そんなこと言われたら、もう…うち、照れて溶けそうなんだけど…!
「え、マリさんこそ!落ち着いてて、話しやすいし…なんか、癒やされるっていうか」
素直な気持ちで返したら、マリさんがゆっくり笑ってくれた。
この空間、なんかずるい。恋じゃないのに、なんか…心がざわつく。
「本音を言える人がいるって、幸せだよね」
「昔はさ、恋愛って情熱だけで突っ走るもんだと思ってた」
マリさんが泡の向こうを見つめながら、静かに言った。
「でも今は、ちゃんと自分の心の声を聞いてくれる人とじゃないと、長続きしないって思う」
うちはただ、黙って聞いてた。
マリさんの声は落ち着いてて、でもどこか切なくて。
「アカリちゃんは、どういう人と恋したい?」
そう聞かれて、ちょっと考えた。
「えっと…一緒にバカやって笑える人、かな? あと、ちゃんと尊重してくれる人」
「それ、大事だよ。ちゃんと“自分らしく”いられる人って、すごく貴重だもん」
マリさんの言葉は、まるでジャグジーの泡みたいに、やさしくてあたたかかった。
女子ふたりでも、なんか青春だった
正直、お風呂にふたりで入るだけで、ここまで心が揺れるとは思ってなかった。
マリさんは年上で、落ち着いてて、うちのちょっと先を歩いてる感じがして。
でも、距離があって話せないってわけじゃなくて。
同じ空間にいるだけで、なんか不思議な安心感がある。
「また来たいね」ってマリさんが言って、うちは即答した。
「来ましょう!次は、温泉街とかもアリかもです」
ふたりで浴衣とか着てさ、おそろいのアイス食べたりして──
あれ?これって…恋じゃないよね? でも、ちょっとだけ甘酸っぱい。
女子ペアでも、青春ってあるんだなって思った夜だった。
ミユ&ソウタのジャグジーデート
「目の前にある泡より、君の目の奥のほうがきらきらしてる」
「えっ、なにそれ…俳句のプロ?」
ミユがびっくりして笑うと、ソウタはぽやっとした顔で、
「いやぁ…なんか言いたくなっちゃって」
とだけ言って、ジャグジーの縁にもたれた。
湯気の中、どことなく夢みたいな空気が流れてる。
「泡ってさ、一瞬で消えるのに、きれいだから、恋みたいだね」
「ちょっとソウタくん、今日ポエマーすぎない?(笑)」
「ごめん、泡見てたら、なんか思っちゃって…」
「うちも詩的になっちゃいそうじゃん〜!」
そんなふうに笑いながらも、ミユの頬はほんのりピンク。
ふたりとも、視線は交わさず、それでも空気でわかる“なにか”を感じている。
「ふたりで浮いてる感じって、たぶん幸せってことかも」
「こういうの、初めてかも。変な意味じゃなくてね」
「うちも。たぶん、今までのデートって“がんばってた”かも」
「がんばらなくても、気持ちがうまく届くことって、あるんだね」
言葉が、ジャグジーの泡に溶けていくように柔らかくて、静かだった。
ときどきミユが笑って、ソウタがそれにつられて笑って。
ほんの一瞬、恋の始まりみたいなものが、湯けむりの奥でふわっと浮かんだ気がした。
ナツメ&ミカコのジャグジーデート──泡まみれで哲学と不条理に沈む午後
「なんで泡って、消えても泣かへんのやろな」
「……で、なんで私がアンタとジャグジー入ってんの?」
ミカコはバスタオルのまま、ひとつため息をついた。
その隣では、タコのぬいぐるみを浮かべながら、ナツメが神妙な顔で泡を見つめている。
「泡はな、涙のかわりに泡立つんや。
自分が悲しいことに気づかんように、ぷくぷくって笑ろてるんや」
「いや哲学うるさいな? 泡に自己防衛させんといてくれる?」
「恋ってな、スイッチ押したつもりがエスカレーターやった、みたいなもんや」
バスタブの泡が山のように盛り上がる中、ナツメは空を見上げてつぶやく。
「気づいたら上がっとる。しかも、後ろには戻られへん。けど降りたらこける。恋って、そういうもんや」
「いやそもそも、ジャグジーにエスカレーター要素ないから。なんでこの状況で恋語るの?」
ミカコは眉をしかめつつも、どこかでこの不条理に慣れ始めてる自分に気づく。
「で? その恋とやら、アンタにも経験あるわけ?」
「……ないことも、あることにしたい夜もあるわな」
「もうそれポエムやん」
「泡の中で名前呼ばれると、ちょっと好きになりそうになるから怖いねん」
「ミカコ」
唐突に名前を呼ばれて、ミカコは一瞬だけ固まった。
ナツメは泡に顔を埋めながら、ほぼ見えない顔でぽつりとつぶやく。
「この世で一番やわらかい音は、人の名前やと思うねん。お前の名前、ちょっと跳ねる音してるわ」
「……は?」
「ミ・カ・コ、ってな。泡と泡の間に挟まって、はじけてまう」
「ねぇ、それどういう意味か説明して?」
「説明したら消えるタイプのやつや」
「ほなもうええわ」
混乱、困惑、でもちょっとキュン?
デートかどうかも曖昧なジャグジータイムが終わり、ミカコは髪を拭きながらため息をつく。
「一生分の“意味不明”聞いた気がするわ。で? なんかオチあるわけ?」
「オチなんかない方が、また会いたくなるやろ?」
「……へぇ」
ミカコの口元が、ほんの少しだけ緩んだ。
泡は消えた。でもなんか、ほんのちょっとだけ、心に残ってる。
ジャグジーデート、恐るべし──。
まとめ──恋と笑いと泡まみれ
ジャグジーデート、恐るべし──。
恋愛リアリティーショーみたいに甘いムード…だけじゃなく、笑いと混乱と、ほんの少しのトキメキが詰まった1日になりました。
ケンジとリクは、まさかの大人トーク&恋バナタイム。
マリとアカリは、女子同士ならではのリアルな“ドキドキと嫉妬”をこっそり打ち明けあって。
ミユとソウタは、お互いの距離感にそっと触れるような、優しい時間を過ごしました。
そして番外編のナツメとミカコは…もう、なんかすごかった。
ジャグジーの泡みたいに、つかもうとしても消えてしまう何か。それでも「また会いたくなる」って、不思議な感情を残していきました。
恋って、距離感とか、空気感とか、タイミングとか、そういう「目に見えないもの」によって動いていくんだなぁ…と、泡に包まれながらしみじみ感じた企画でした。
またいつか、次のジャグジーで会いましょう。今度は誰と誰になるのか、お楽しみに♡