恋と笑いと不条理と。アイドル合宿、始動

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目次

合宿所到着──不安と期待のチェックイン

都内から電車で少し離れた山あい。 古びたけれど広い建物に「こいこと5」の5人は連れてこられた。 そこが、これから彼女たちが寝起きを共にする“合宿所”だった。

入口の看板には、なぜか墨で書かれた大きな文字が踊っている。 「恋と不条理を鍛える道場」。 誰が書いたのか不明だ。

ネコメ: 今日からここがお前らの家だ。泣こうが笑おうが逃げられんぞ。

サナ: よっしゃ!センター狙いはまず環境から!私の部屋はどこですか!?

クミ: あの…冷蔵庫にプリンとか入ってます?

ユリ: ……合理的に考えて、冷蔵庫よりまず寝具の確認では。

マキナ: きゃー!合宿って修学旅行みたいでテンション上がる〜♡

ミカコ: ……いやこれ、合宿っていうより監禁じゃないの?

玄関で大騒ぎしている5人を見て、ネコメは深いため息をついた。 そしてスーツの袖を直しながら、妙に渋い声で言う。

ネコメ: ルールを守れば生き残れる。破れば消える。──それだけだ。

もちろん脅し文句なんだろうなとは分かっている。 けれどサナは「消える」という言葉にビクッとし、 クミは「消えるって…やっぱ冷蔵庫のプリン食べたらダメかな?」と真顔で首をかしげた。

──こうして、恋と不条理のにおいが漂う合宿生活が幕を開けた。

初日の特訓──ナツメ流、不条理トレーニング

荷物を置く間もなく、スタジオ横の広間に全員が集められた。 そこに現れたのは、プロデューサーである謎の詩人──ナツメだった。

ナツメ: よう来たな、お前ら。今から特訓や。
ワイのメソッドは簡単や──気体になれ

一瞬、空気が止まる。

サナ: ……気体!? センター取るのに物理法則まで破れってこと!?

クミ: あっ、それなら炭酸飲料の気持ちになればいいんですか?

ユリ: ……合理的説明ゼロ。理論破綻。けど抗議しても無駄そうね。

マキナ: わ〜!空に溶けちゃえば、ファンのみんなに届くかも♡

ミカコ: ……いやいやいや。物理的に無理でしょ。

ナツメは満足げにうなずき、次の指令を放つ。

ナツメ: 次や──体育座りで宙を漂え
孤独と重力のハーモニーを体感するんや。

メンバー全員、もはや理解不能。 だがネコメが「やれ」と一言。結果、全員がその場で体育座りをして、ジャンプしてみる羽目に。

サナ: 無理無理無理!センター以前に浮けない!!

クミ: ちょっと!今ふわっとした気がする!

ユリ: ……錯覚。重力は裏切らない。

マキナ: でも楽しい〜♡ 宙に浮かんでるつもりで笑顔キープ!

ミカコ: いやもう、笑顔キープできるメンタルがあんたの才能だよ…。

ナツメは勝手にメモ帳を取り出し、何かを書きつけている。

ナツメ: うむ……「人は体育座りで宙に溶ける」──次の詩に使えるわ。

特訓なのか詩のネタ出しなのか分からないまま、
こいこと5の初日のレッスンは、不条理に飲み込まれていった。

夜のミーティング──恋愛とアイドルの境界線

特訓が終わり、汗と混乱にまみれた5人は合宿所の広間に集められた。 ネコメがスーツ姿のままホワイトボードの前に立ち、マーカーをカチッと鳴らす。

ネコメ: よし。今日のテーマは「アイドルに恋愛は必要か」だ。

全員の背筋が伸びた。これぞ、こいこと5を象徴するテーマ。

サナ: 必要です!だって、センターになるには誰よりも“リアルな想い”がいるんです!

ユリ: ……恋愛はデータ化できない。だからこそ不確定要素。リスク管理としては不必要。

マキナ: え〜?恋愛って一番わかりやすく“ときめき”が出せるじゃん!ステージでも有利だよ♡

クミ: わたし、告白されたら返事に一週間かかるから、アイドル活動との両立は無理かも……。

ミカコ: ……そもそも、なんで“恋していいアイドル”に私が入ってるのよ。

ネコメは腕を組み、冷静にまとめる。

ネコメ: ファンを裏切らない覚悟があるなら、恋愛もアリだ。
ただし、バレたら記事になる。それが“こいこと。”の宿命だ。

全員が一瞬黙る。すると、ナツメが唐突に窓から逆立ちで入ってきた。

ナツメ: ワイは思うんや。恋は炎や。
燃え尽きてもええ。灰になったら、空に撒いたらええ。

意味不明のポエムに、全員が声を揃えてツッコミを入れる。

全員: 入ってくるとき普通にしてーーっ!!

不条理と真剣さが入り混じる夜のミーティング。 この瞬間から、こいこと5は“恋とアイドルの両立”という誰も踏み込んだことのない道を歩み始めた。

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合宿の夜──それぞれの胸の内

訓練もミーティングも終わり、消灯の時間。 5人は畳敷きの大部屋に布団を並べて横になった。

しかし、目を閉じてもなかなか眠れない。 合宿初日の高揚感と不安が交錯し、自然と声が漏れた。

サナ: ……やっぱりセンターは私が取る。そうじゃなきゃ意味ないもん。

ユリ: 現実的に考えると、努力だけじゃセンターは保証されない。
でも、その意志は評価に値するわね。

マキナ: えへへ、わたしはね〜、誰かに恋してドキドキしてる瞬間を歌にしたいな♡

クミ: みんなすごいなぁ…。わたしは…明日の朝ごはん、パンかな?ごはんかな?

ミカコ: ……正直、なんで私がここにいるのかまだ納得してない。
でも、この4人を見てたら…少し守りたくなるんだよね。大人だからってだけじゃなく。

一瞬の沈黙。 その静けさを破ったのは、布団の隙間からぬっと顔を出したネコメだった。

ネコメ: おまえら、考えすぎるな。寝ろ。寝なきゃ成長ホルモンも出ねぇ。

そのとき、窓の外から逆立ちした影がすべり込む。 ナツメだった。

ナツメ: 眠れぬ夜は、空と布団をひっくり返すんや。 世界が裏返ったら、新しい夢が見えるで。

一同、あきれ顔。けれど、笑い声がこぼれる。

サナ: ……もう、なんでもアリだな。

ミカコ: ほんとよ。ツッコミが趣味の私でも追いつかない。

こうして合宿の夜は更けていく。
不条理と真剣が入り混じったこの空気こそ、こいこと5の始まりを象徴していた。

翌朝のドタバタ特訓編

朝6時。スタジオ横のグラウンドに集合──のはずが。

ネコメ: ……おい、寝坊すんな!点呼取るぞ!

サナはすでにランニングウェアで準備万端。
一方、マキナは寝癖だらけでパンをくわえて飛び出してきた。

マキナ: ちょ、待って〜!朝から走るとか聞いてないよぉ!

ユリ: 言われてただろう。記憶力まで甘ったれてどうする。

クミ: あれ?体操服ってどこに売ってるの?

ミカコ: ……そもそも用意してないのかい。

そのとき、空がねじれるように開いた。
でんぐり返ししながらナツメが降ってくる。

ナツメ: おはようや。朝はでんぐり返しで太陽に挨拶せなアカン。

全員ぽかんとする中、サナだけが真剣にでんぐり返しを始めた。

サナ: センターになるには、なんでもやる!

ミカコ: ……いや、信じちゃうの!?

ユリは冷静に腕を組み、つぶやく。

ユリ: ……合理性ゼロ。でも体幹トレーニングにはなるか。

ネコメはスーツの上着を脱ぎ捨て、ビシッと指を鳴らした。

ネコメ: よし!メニュー変更だ。
まずは全員で三点倒立!そのまま声出し!

倒立で血が逆流しながらも、必死に声を張り上げる5人。

マキナ: 「あーーー!」って、逆さまだと声裏返る〜!

クミ: なんか世界がグルグル回ってる〜!楽しい〜!

ミカコ: ……もうアイドルっていうかサーカスよ、これ。

ナツメは朝日を背に、得意げに笑った。

ナツメ: せやろ?せやろ?世界を逆さに見んと、新しい恋は始まらへんのや。

ネコメがため息をつきつつも頷く。

ネコメ: ……まぁ、理不尽に慣れとけ。芸能界なんて、もっとカオスだ。

こいこと5の合宿は、こんなドタバタから幕を開けた。
常識を超えた朝練こそ、不条理アイドルの真骨頂なのかもしれない。

不条理アイドル合宿、始動

こうして、こいこと5の合宿は幕を開けた。
恋愛してもいい。猫がマネージャー。
逆さまから始まるアイドル活動──
そのすべてが常識外れ。


この“見切り発車”のアイドル企画、果たして
本当に続いていくのか?

次回があれば、さらなる不条理と笑いが彼女たちを待ち受ける……!?

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