秋にパートナーと出かけるならどこ行きたい?
風が涼しくなって、夜が少し長く感じる季節。
秋は、誰かと歩く時間がやけに心に残る。
今回のテーマは「秋にパートナーと出かけるならどこ行きたい?」。
恋人、夫婦、まだ恋でもない関係──5人のライターが、それぞれの秋を語ります。
登場するのは、ミカコ、ミサキ、ユウト、ワニオ、アカリ。
理性派からロマンチストまで、個性の違うメンバーが集まった。
ミカコ「静かな場所で、ちゃんと話せる時間がいい」
わたしは、あまり人が多い場所は好きじゃない。
観光地の紅葉とかもきれいだけど、結局、人疲れして終わっちゃうタイプ。
理想は、秋の海。
少し冷たい潮風にあたりながら、コーヒーでも飲んで、ただ並んで歩く。
話してもいいし、黙ってもいい。
沈黙が気まずくない関係って、それだけで安心できると思う。
アカリ:秋の海って、ちょっと切なくない?
ミカコ:切なさも、たまにはいいのよ。恋って、元気だけじゃ続かないでしょ。
アカリ:たしかに。テンション高い恋ばっかしてると、ちょっと疲れるかも。
アカリ「秋祭りでりんご飴。手つなぐ理由がほしい」
うちはやっぱりお祭り! 秋祭りとか夜市とか。
屋台で焼きそばとか食べて、金魚すくいして、りんご飴持って歩きたい。
「人混みだから、はぐれないように」って自然に手をつなぐ感じ。
その一瞬のドキッとする距離が好き。
デートの思い出って、特別なことより“その瞬間の空気”なんだと思う。
ミカコ:可愛いわね。まさに青春。
アカリ:でしょ? でも写真は絶対撮る。あとで見返すのが好きなんだよね。
ワニオ:記録より記憶、とは言いますが……アカリさんは記録も全力ですね。
アカリ:思い出はどっちも大事! ストーリーに残せば永遠だし。
ミサキ「温泉宿で夜更かし。恋は静かに煮詰めるもの」
わたしは、紅葉を見に行って、そのあと温泉宿に泊まりたい。
部屋食でのんびりして、浴衣のままワインを少し。
夜風を感じながら語るもよし、何も話さずにいるのもよし。
恋って、沈黙の時間でわかると思うの。
静かな夜ほど、相手の気持ちが伝わる。
勢いのある恋も好きだけど、秋は“間”を楽しむ季節よね。
ワニオ:恋を煮詰める……つまり、恋は鍋物のようなものと。
ミサキ:あなた、ほんとにそれしか言わないの?
ワニオ:いえ、比喩的に理解しようとしているだけです。僕、恋愛未経験なので。
アカリ:でもなんか深い。鍋物の恋って、あったかそう。
ユウト「紅葉ドライブ。夫婦でも、景色は毎年違う」
僕は、妻とドライブがしたい。
毎年行く紅葉スポットがあるんです。
同じ道でも、光の色も空気も違って、それを一緒に感じるのが楽しい。
恋人だった頃は、景色より相手の顔ばかり見てたけど、今は“その人と見る景色”が思い出になる。
大切なのは、行き先より“道の途中”で交わす言葉や沈黙。
結婚しても、そういう時間を持てる関係でいたいですね。
ミカコ:大人の恋って感じ。余白がある。
アカリ:ユウトさんと奥さんの話、毎回ほっこりする。
ミサキ:……羨ましいわね。愛が“日常に溶けてる”感じ。
ワニオ「僕は“秋の図書館”がいいです」
もし恋人と出かけるなら、図書館ですね。
お互い別々の本を読んで、ページをめくる音だけが聞こえる。
ときどき顔を上げて、相手の視線とぶつかって、少し笑う。
何もしゃべらないのに、心が通じているような気がする。
恋愛って、そういう“静かな連帯感”の中にも生まれる気がします。
──まあ、経験も興味もないんですけど。
アカリ:興味ないのに語れるのすごい。
ミサキ:恋をしてない人ほど、恋を客観的に見れるのかもね。
ワニオ:なるほど。では今度、観察対象として皆さんの恋を研究します。
ミカコ:やめなさい。それ、記事になる前に揉めるやつ。
季節が変わると、恋の温度も変わる
秋の海、祭り、温泉、ドライブ、図書館。
それぞれの理想のデートは違うけれど、どこか共通している。
それは、“焦らず、静かに、相手と向き合う時間”。
夏のような熱さでもなく、冬のような距離でもない。
心がやわらかくなる季節だからこそ、相手の本音が見えるのかもしれない。
ユウト:秋は、話すより“聴く”季節かもしれませんね。
ミカコ:沈黙が心地いい関係って、信頼の証だと思う。
アカリ:でもやっぱり美味しいものも食べたい。恋も食欲も、我慢しないタイプだから。
ミサキ:いいわね、その正直さ。恋は遠慮したらつまらない。
ワニオ:僕は遠慮します。食べすぎると眠くなるので。
(全員、笑)
──風の匂いが変わると、人の気持ちも変わる。
季節の変わり目に、誰と、どんな時間を過ごすか。
その答えが、今の自分の恋の形を教えてくれるのかもしれない。
あなたなら、この秋、誰とどこへ行きたいですか?

