恋のゴール、どこにある?──ソウタ・リク・ハルキのドライブ恋バナ

朝の光が差し込む中、エンジンがかかった。リクの車に乗り込むのは、ソウタとハルキ。三人は久しぶりの休みを合わせて、日帰りのドライブ旅へ出発した。

目的地は特に決めていない。「なんとなく海の方へ行こうか」──それくらいのゆるさが心地いい。リクがハンドルを握り、助手席のソウタが窓を開ける。後部座席では、ハルキがコンビニで買ったおにぎりを頬張っていた。

ハルキ:うわー、こういうの久しぶりっすね! 男三人でドライブとか。
ソウタ:ね。風のにおいがちょっと秋の終わりっぽい。
リク:季節のにおいって、あるよな。
ソウタ:うん、空気の色が変わる感じ。
ハルキ:詩人っすね、ソウタさん(笑)
ソウタ:あ、詩は好きだよ。読めないけど。
リク:(笑いながら)言ってる意味がわかるようでわからんな。

車内にはゆるい笑いが流れる。BGMに流れるのは、80年代のラブソング。リクのスマホが勝手に再生リストを選んだらしい。

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目次

恋のBGM、流すならどんな曲?

ソウタ:ねえリク、この曲懐かしくない?
リク:大学の頃によく流してたやつだ。
ハルキ:恋愛ソング多くないですか?
リク:まぁ……ドライブの定番だろ。
ハルキ:俺、最近失恋ソングばっか聴いちゃってました。
ソウタ:わかる。ああいう曲って、感情を整理してくれるよね。
リク:曲って、気持ちの翻訳ツールみたいなもんだと思う。言葉にできない感情を、音で通訳してくれる。悲しいときに悲しい歌を聴くのも、ちゃんと自分を理解したいからなんだよ。
ハルキ:それ、めっちゃわかります。
ソウタ:おれ、恋してるときに音楽聴くとさ、景色の色まで変わる気がする。
ハルキ:あー、それありますね。
リク:うん。恋ってさ、心のレンズを変えるんだよな。同じ海を見ても“誰といるか”で全然違って見える。
ソウタ:それいいね。じゃあ恋って、音楽と同じで“誰と聴くか”が大事なんだ。
ハルキ:お、名言出ましたね!
ソウタ:(笑いながら)そう? おれ今ちょっとカッコよかった?
リク:調子に乗るとすぐ迷子になるから気をつけろよ。
ソウタ:うん、ナビに任せる。
ハルキ:いや、今の話と関係ないでしょ(笑)

三人の笑い声が重なり、車内が明るくなる。BGMは次の曲に変わった。少しアップテンポなメロディ。リズムに合わせて、車はゆっくりと海の方角へと走っていった。

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ドライブデートで気をつけたいこと

海沿いの道に入ると、潮の香りがふっと車内に流れ込んできた。窓の外ではカモメがゆっくりと弧を描く。そんな中、ハルキが唐突に口を開いた。

ハルキ:リクさん、ソウタさんって、ドライブデート行くとき気をつけることあります?
ソウタ:お、いきなり恋バナだね。いいね。
リク:そうだな……安全運転、まずそこからかな(笑)。
ハルキ:いや、そういう意味じゃなくて! もっとこう……“恋愛的に”っていうか。
ソウタ:あー、雰囲気の作り方とか?
リク:それなら、相手に“安心してもらう”ことかもしれないな。ドライブって空間が狭いだろ。信頼関係がないと息苦しくなる。
ハルキ:なるほど、たしかに。距離が近いからこそ気をつかうんですね。
ソウタ:おれは逆に、沈黙を怖がらないこと。無理して喋り続けると、空気が乾くんだよね。
ハルキ:乾くって、空気?(笑)
ソウタ:うん。言葉って湿度が大事なんだ。
リク:(笑)相変わらず感覚的だな。けど、それ大事だよ。沈黙が心地いい関係は強い。

車の中にはBGMとエンジン音だけが残る。 しばらくの沈黙のあと、ハルキが少し照れくさそうに続けた。

ハルキ:俺、もし好きな人とドライブ行けるなら……助手席に座ってるその人が笑ってくれてたら、それでいいっすね。
ソウタ:おー、青春だね。
リク:素直でいいな。
ハルキ:だって、相手が笑ってくれたら成功じゃないですか? 難しい話とかいらないし。
ソウタ:うん、それ正解かも。恋って、結局は“居心地のいい沈黙”をどれだけ作れるかだし。
リク:同感。あと、運転する側としては“信頼されてる”って感覚が一番うれしい。
ソウタ:あー、わかる。ブレーキ踏むタイミングとか、横で安心してくれてるだけでなんか安心するよね。
ハルキ:運転で愛を測れるの、深いっすね(笑)
リク:恋って結局、運転と似てるよ。焦ると危ないし、信号は守ったほうが長続きする。
ソウタ:おお、急に教習所みたい(笑)
リク:経験者談だ。
ハルキ:俺もいつか“恋の免許”取りたいな。
ソウタ:たぶん一発合格タイプだと思うよ。
ハルキ:マジすか!?
リク:いや、たまに路肩で語りすぎて減点されそうだけどな(笑)。
ソウタ:でも、それも青春ってことで。

リクの笑い声に続いて、ソウタとハルキもつられて笑った。 窓の外には海が広がり、光がきらきらと反射している。 潮風と笑い声が、混ざり合ってドライブのBGMになっていた。

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恋のドライブ、ハンドルを握るのは誰?

海岸線の道を抜けると、緑の丘が広がった。ハンドルを握るリクの横顔に、太陽が当たっている。 その景色に見とれていたソウタが、ふと口を開いた。

ソウタ:ねぇ、恋ってさ。どっちが運転するかって、けっこう大事じゃない?
リク:お、比喩で来たな。
ソウタ:うん。恋ってドライブに似てる気がして。どっちがハンドル握るかで、行き先が変わるんだよね。
ハルキ:それ、なんかわかります。俺、どっちかっていうと“助手席派”かもしれません。
リク:ほう。じゃあハルキは、引っ張ってもらいたいタイプ?
ハルキ:そうですね。相手が笑ってくれるなら、どこにでもついて行けます。
ソウタ:青春すぎる(笑)
リク:でも、頼られる側からすると、それって嬉しいもんだよ。守りたいって思えるから。
ハルキ:そうなんですか? リクさん、恋愛でもそういう感じなんです?
リク:まぁ……そうかもな。主導権って言葉はちょっと硬いけど、お互いの信号を見ながら進みたい。
ソウタ:なるほど、譲り合いの恋。
リク:安全運転がモットーだからな(笑)。
ソウタ:おれは逆かも。どっちが握っててもいいけど、たまに“ハンドルを預ける勇気”って必要だと思う。
ハルキ:どういう意味ですか?
ソウタ:相手の感情に身を任せるってこと。おれ、よく迷子になるけど、誰かと一緒に迷うのは嫌じゃない。
リク:……それ、すごくソウタらしいな。
ハルキ:迷ってもいいって、ちょっとカッコいいっすね。
ソウタ:いや、ナビ見れないだけ(笑)。
リク:(笑)けど、恋ってそんなもんかもしれない。正しい道より、誰と迷ったかが大事なんだろうな。
ハルキ:うわ、それめっちゃ響きます。俺、メモしていいですか。
ソウタ:ドライブ中にメモすんな(笑)。

笑い声のあと、しばらくの静寂。 風が車内を抜け、シートベルトの金具が小さく揺れた。

リク:でも、恋のハンドルって“奪い合う”もんじゃない。どっちが握ってても、同じ方向を見ていれば事故らない。
ソウタ:うん、目的地が同じなら、それでいい。
ハルキ:なるほど……じゃあ恋の理想は、“ツーシートの共走”ですね。
リク:いい表現だな、それ。
ソウタ:うん。今日のハルキ、名言率高いね。
ハルキ:まじっすか? たぶん潮風が言わせてるんだと思います(笑)。

三人はまた笑い、海辺の道をまっすぐに進む。 青い水平線の先には、どこまでも続く“恋の道”が広がっていた。

帰り道に語る“恋のゴール”

夕暮れ。帰り道の車内に、オレンジ色の光が差し込んでいた。 昼間の賑やかさが少し落ち着き、窓の外の景色が金色に染まる。

ハルキ:……なんか、あっという間でしたね。
リク:楽しかったな。
ソウタ:海も風も、ちょうどいい温度だったね。ドライブって、季節の中を通り抜ける感じが好き。
リク:うん。恋も、そんなもんかもしれないな。
ハルキ:え、恋も?
リク:そう。始まりも終わりも、誰かと同じ季節を走り抜けていく感じ。永遠っていうより、“一緒に過ごした時間”の質が大事だと思う。
ハルキ:……いいですね、それ。
ソウタ:おれ、恋のゴールって“思い出す瞬間が優しいかどうか”だと思うな。
リク:どういう意味?
ソウタ:たとえば、別れたあとでも、その人を思い出してふっと笑えるなら、それがゴール。
ハルキ:うわ、それわかります……。俺、初恋のとき、それでした。
リク:へぇ、初恋?
ハルキ:片想いで終わったんですけど、今でも思い出すと“あの気持ちがあってよかったな”って思うんですよ。
ソウタ:ちゃんと恋してた証拠だね。
ハルキ:はい。だから、恋のゴールって“終わること”じゃなくて、“納得できること”なのかも。
リク:……ハルキ、いいこと言うな。
ソウタ:うん。今日一番、車内が静かになった(笑)。
ハルキ:(笑)いや、なんか語っちゃいましたね。

海沿いの高速に乗ると、窓の外に小さな月が浮かんでいた。 ライトが流れ、少しセンチメンタルな空気になる。

リク:俺にとっての恋のゴールは、“支え合える関係”かな。
リク:恋って最初は勢いだけど、続けていくうちに“相手の弱さ”を受け止める力が必要になる。
リク:それを面倒と思わずにいられたら、たぶん、それがゴール。
ソウタ:うん……。
ハルキ:リクさんって、恋に誠実ですよね。
リク:そんなことないよ。失敗の数なら多い方かも。
ソウタ:でも、失敗できるのも誠実さだよ。
リク:それは名言だな。

リクは笑ってハンドルを軽く回した。 少し前方に街の灯りが見えてきた。

ソウタ:おれのゴールは……“一緒に沈黙を楽しめる人”かな。
ハルキ:沈黙を楽しむ?
ソウタ:うん。何も話さなくても、ちゃんと伝わる関係ってあるじゃん。
ソウタ:恋って、会話より空気でつながる瞬間の方が多い気がするんだ。
リク:わかるな。
ハルキ:おれ、まだそのレベル行けてないかも。
ソウタ:大丈夫、焦ると事故るから(笑)。
ハルキ:またそれ(笑)。でも……なんか、今日のドライブでいろいろわかった気がします。
リク:何を?
ハルキ:恋って、上手くいくかどうかじゃなくて、誰と走りたいか、なんですね。
ソウタ:それが今日のゴールかもね。
リク:うん、間違いない。

空が群青に変わり、街の明かりが近づいてくる。 誰も言葉を足さず、静かなまま車は進んだ。 スピーカーから流れる曲が、三人の沈黙にちょうどいいリズムを刻む。

恋の正解もゴールも、たぶん人それぞれ。 でも“誰と走って、どんな景色を見たか”は、ずっと心に残る。 そんなことを思いながら、リクはハンドルを少しだけ強く握った。

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