「え、恋愛リアリティーショー?」
こいこと。編集部のテーブルに、ずらっと顔ぶれが並んだ。
ミユ、リク、アカリ、ナナ、ミカコ、ソウタ、ケンジ、ユウト、マリ、ハルキ、ミサキ。
さらに端のほうには、ナツメとワニオ。“全員集合”感がすごい。
ミユ:ねぇねぇリク、これマジであたしたち出る系? 花とか渡しちゃうやつ?
リク:さすがにそのまま真似はしないと思うけど……新しい企画を考えてくださいって話ですよね、ナツメさん。
壁際のホワイトボードの前で、ナツメがポスカをくるくる回している。
その横では、ワニオがなぜかグラフがびっしりの資料を眺めていた。
ナツメ:ほな諸君。世の中には花渡したり、同じ屋根の下でぎゅうぎゅう住んだり、
よう似た番組が山ほどあるわけやけど──みんなには、それは模倣しないという前提で話してもらうで。
アカリ:前提きびしくない!? でも分かる気もするんだよな〜。
ミカコ:“よくあるやつ”は、もうお腹いっぱいってことね。
ナツメ:そう。せやから今回のミッションはひとつだけ。
「こいこと。じゃなきゃ絶対できへん、
新ジャンルの恋愛リアリティーショーを考えろ」や。
ケンジ:ほぉ〜、面白ぇじゃねぇか。恋愛バラエティの常識、ぶっ壊そうぜってやつだな。
マリ:でも“リアリティーショー”ってことは、ちゃんと人の気持ちが動く企画じゃないとね。
ユウト:読者の方が、誰かを応援したくなるような形がいいですね。
ワニオ:私は観察およびデータ分析担当として参加します。
恋愛に興味はありませんが、番組のカオス度は数値化できるかもしれません。
ハルキ:カオス度って数値化できるんすか!?
テーブルの空気が、じわじわと高揚していく。
誰もが「自分なら、こんな番組を作りたい」と、少しワクワクしているのが分かる。
ナツメ:ほなまずは……妄想担当ミユはん。
あんたの頭ん中にあるいちばんバカで、いちばんロマンチックな企画、出してみ?
ミユは「待ってました」とばかりに身を乗り出した。
こいこと。発、前代未聞の恋愛リアリティーショー案会議が、いま幕を開ける。
ミユの案:「恋の妄想ワールドツアー」
ミユ:じゃあまずうちの案なんだけど──題して、
『恋の妄想ワールドツアー♡』!
アカリ:出たミユの妄想シリーズ!(好き)
ミユ:各キャラがランダムに“別の世界”に飛ばされて、
その場所で恋のドキドキイベントが起こるってやつ!
ハルキ:別の世界って……どんな?
ミユ:例えばさ──
- 砂漠で「水分足りないから半分こしよ?」ってドラマ展開
- 豪華客船で“1つの部屋に閉じ込められる”トラブル発生
- 雪山の山小屋で、薪を集めながら語り合う夜
- 異世界ファンタジーで、魔法のペア試練をクリアしないと帰れない
ミユ:みたいな感じで、シチュごとに相手が変わるの!
ミカコ:……つまり、妄想全開のシチュエーションドラマってことね。
ミユ:そう!それが一番楽しいじゃん!
現実じゃ照れくさくて言えないことも、
“砂漠の命のやりとり”なら自然と距離縮むじゃん?
ケンジ:発想は悪くねぇが……砂漠はキツくないか?
アカリ:てかワニオくん、砂漠出されたらどうなるの?
ワニオ:私は乾燥に強いので問題ありません。
ミユ:うん、絶対そう言うと思った!
ナナ:でもさ、それって“妄想”だからこそ、
普段の関係じゃ見えない一面が出やすいよね。
マリ:そうね。現実よりも距離が縮まる瞬間って、むしろ仮想空間のほうが起こりやすいから。
ミサキ:……ふーん。妄想の世界での恋?
証拠が残らない分、裏では本気度が測れるタイプのゲームね。
ミユ:ミサキさん、それ怖いんだけど!?恋のオーディション!?
ナツメ:ええやん。妄想の世界は、心ん中が一番出る舞台や。
ミユの案は“現実じゃないのに、感情だけは本物になる”
ミユらしいロマンチック×カオスな企画だった。
リクの案:「データで恋を証明せよ」
ナツメ:ほな次、ロジカル担当。リクはん、出番やで。
リク:じゃあ僕からは、ちょっと実験寄りの企画を提案してもいいですか。
ミユ:出た、“真面目なやつ”のターンきた。
リク:タイトルは──
『データで恋を証明せよ』 です。
アカリ:なんか一気に理系感すごいんだけど!?
リク:この番組では、参加メンバー全員に事前の心理テストや価値観チェック、
日常の生活リズムなんかを細かく数値化してもらいます。
ミカコ:うわ、それ絶対面倒なやつじゃん……。
リク:で、そのデータをもとに“相性スコア”を出すんです。
「論理的に相性が良い」と判断されたペア同士に、実際に一日デートをしてもらう。
ユウト:なるほど……。
“理論上相性がいい二人”に、本当に恋が生まれるのか?っていう検証ですね。
リク:はい。逆に、数値上は相性が低くても、
現場では妙にしっくり来るペアが出てくるかもしれません。
マリ:ああ、それ面白いわね。
「合うはずなのに合わない」とか、「合わないはずなのに惹かれちゃう」とか。
ケンジ:若い頃はなぁ、理屈じゃ説明つかねぇ恋なんて腐るほどあるが、
データで“予定調和の恋”を組んでみるってのも悪くねぇな。
ミユ:でもさ、それってなんかさ……
「あなたたちはこれから相性いいですよ〜」って言われてスタートするわけでしょ?
気まずくない!?
リク:そこはあえての“実験感”ですね。
人は「合うと言われた相手」をどう見るのか、とか。
「数字で決められたくない」と反発する気持ちも含めて、ちゃんと記録する。
ワニオ:興味深いですね。
相性スコアと実際の心拍・表情データの差分を取れば、
“理性と感情のズレ”も可視化できそうです。
ミユ:ねぇ、なんでワニオまで乗り気なの? 数字好きなの?
ワニオ:人間のカオスを数値で眺めるのは趣味です。
ミサキ:……いいわね、それ。
「数字上の相性は低いのに、どうしても気になっちゃう相手」とか、最高のネタじゃない。
アカリ:たしかに、“データ的にはナシ”って言われた相手を
好きになっちゃったら、なんかドラマ生まれそう。
リクの案は、恋を“管理”するのではなく、
「数字と気持ち、どっちが人を動かすのか?」 を見せる実験的な番組だった。
こいこと。らしいロジカルさとドラマ性が同居した、ちょっと大人な企画だ。
ミサキの案:「ラブ・プレゼンバトル」
ナツメ:ほな次は……ミサキはん、出番やで。
ミサキ:じゃあ私は──
『ラブ・プレゼンバトル』 を提案するわ。
ミユ:名前の圧が強いってば!
ミサキ:この番組はね、“相手に自分を選ばせるための1分間プレゼン”で勝負するの。
アカリ:あのさ……言いにくいんだけど……。
ミサキ:ん? なに?
アカリ:これ……結局ルックスで選ばれる人、出ちゃいそうじゃない?
ミサキさんとか絶対強すぎるじゃん。見た目からもう勝ってるし。
ミユ:そうだよ! ミサキさんだけ“顔面プレゼン”で全勝しちゃうよ!!
ミサキ:……ちょっと。褒めてるの? けなしてるの?
ナナ:まぁでもアカリの言うことは正しいよ。
見た目が入ったら勝負にならない場面は確実に出てくる。
ミカコ:企画としては面白いから、ルール調整すればいいんじゃない?
リク:例えば、“顔を見せない”のはどうでしょう。
プレゼンは全員、シルエット越し or 声だけで行うとか。
ワニオ:それなら“言語情報のみの評価”と“声質による影響”の差分を観察できますね。
ハルキ:声だけだと緊張しそう……!
ミサキ:……なるほどね。
“顔を出さない恋のプレゼン”。これは逆に燃えるわ。
アカリ:あ、ミサキさん今ちょっと本気でスイッチ入った!?
ミサキ:プレゼンは言葉。
見た目を封じた方が、“心が伝わった瞬間”だけが残るから、むしろドラマとしては最高よ。
マリ:たしかに……“声と内容だけ”で相手を選ぶって新しいわね。
ケンジ:顔が見えねぇ分、刺さる言葉じゃねぇと残らねぇ。これは面白ぇ。
こうしてミサキ案は、
“見た目ゼロ・言葉だけで選ばせる恋のプレゼンショー”という、
まさにこいこと。ならではの企画へと進化した。
アカリの案:「青春スイッチ♡」
ナツメ:ほな次は……アカリはん、頼んだで。
アカリ:ほいきた〜!うちの案はね、
『青春スイッチ♡』 ってやつ!
ミユ:かわいいタイトルのクセに絶対ヤバいやつでしょ。
アカリ:これはね、
スイッチひとつで“恋のイベント”がランダム発動する番組なの!
ハルキ:え、ランダムってどういう?
アカリ:例えば──
- 「名前で呼んでくださいスイッチ」
- 「1分間見つめ合うスイッチ」
- 「手つなぎチャレンジスイッチ」
- 「お互いの第一印象を本音で言うスイッチ」
- 「過去の恋バナを語らなきゃいけないスイッチ」
- 「2人だけの秘密を作れスイッチ」
アカリ:誰が誰とやるかはランダム。
そしてスイッチの内容もランダム。恋の距離感が毎回バグるの。
ミユ:え、絶対ドキドキするじゃんそれ……!
ソウタ:ぼく……「1分見つめ合うスイッチ」引いたら、照れ死ぬ……。
アカリ:いやソウタは絶対見つめ返さないタイプじゃん!
ミカコ:こういう“強制イベント”って、
リアリティーショーでも見てていちばん距離縮む瞬間なんだよね。
ナナ:確かに。
普段なら絶対やらないことが“ルール”で起きるからこそ、
本音が混ざるタイミングも増えるし。
リク:心理学でも、
「共通の課題に取り組んだペアは親密度が上がりやすい」というデータがありますからね。
マリ:青春って、理屈じゃなくて“瞬間の熱”で動くから……
この企画、若い読者が共感しやすそう。
ケンジ:ハルキ……お前は「名前で呼んでくださいスイッチ」引いたらどうする?
ハルキ:えっ……えっと……
(目の前のアカリをチラッと見る)
アカリ:……なに見てんのよ。
ナツメ:青春の風、吹いたな。
アカリの案は、ランダムで“恋の導火線”が点火される、
ポップでドキドキな青春リアリティーショー。
シンプルだけど、一番感情が動くタイプの企画だった。
ワニオの案:「恋愛に興味ない人が観察する恋」
ナツメ:ほな次は……観察係。ワニオはん、頼んだで。
ワニオ:では、僕からの案を述べます。
ミユ:ワニオってこういう時だけ発表会の生徒みたいになるよね。
ワニオ:タイトルは──
『恋愛に興味ない人が観察する恋』 です。
アカリ:タイトルそのまんまじゃん!
ワニオ:そのまま言うのが一番精度が高いので。
リク:で、内容は……?
ワニオ:出演者には自由に過ごしていただきます。
気になる相手へアプローチしても、距離を取っても構いません。
ミカコ:リアリティーショーとしては普通だけど……。
ワニオ:ですが、この番組の主役は出演者ではありません。
私が、全員の恋愛行動を逐一、分析・実況します。
ミユ:……え、それ面白くなる?
ワニオ:例えば──
- 「今の目線の揺れは“好意の微振動”です」
- 「この2人は歩幅が16%一致しています。親密度が高いです」
- 「沈黙が長いのは“計算中”ではなく“無防備”です」
ソウタ:えぇ……ぼくの沈黙も分析されんの……?
ワニオ:もちろんです。
ケンジ:演者より解説が主役じゃねぇか!
ユウト:でも……ちょっと見てみたい気がします。
普段は自分でも気づかない“癖”みたいなのを、全部言語化されるんですよね?
ワニオ:はい。私は恋愛に興味はありませんが、
人間の心の動きには極めて興味があります。
ミサキ:……なるほどね。“感情の裏側”を暴くタイプの番組ってことか。
ナナ:ワニオくんの分析って何故か当たるから、ちょっと怖いんだよね。
ミユ:てかワニオ、うちらの反応もいちいち実況するの?
ワニオ:ミユさんは心拍が上がりやすいので、変化がわかりやすいと思います。
ミユ:なんで知ってんの!?
(いや、知ってるか……最近いろいろ見透かされてるし……)
“恋愛に興味ないワニが恋愛を解説する”という逆転の発想で、
ワニオの案は一同をざわつかせた。
リアリティーショーというよりは、恋愛を客観視する“実況ドキュメンタリー”のような番組だ。
各企画の“良いところ”を抽出して、新ジャンルを作ろう
ナツメ:──ほな、ここからが本番や。
誰の案を採用するかやなくて、全部の案の“ええとこ取り”してしまおうやないか。
ミユ:うちの妄想ワールドは絶対入れてほしい〜!
だって全員の距離感バグって楽しいし!
リク:僕は“データ検証”の要素を残したいですね。
感情と数字のズレを見せられるのは強いと思う。
ミサキ:プレゼンバトルは“顔を出さずに言葉で勝負”が肝よ。
恋の本音って、言葉の精度に出るんだから。
アカリ:うちのスイッチは絶対入れて!
青春って、ランダムイベントで距離近くなるんだよ。
ワニオ:私の観察パートも必要だと思います。
視聴者……いえ、読者に“客観視点”を入れられます。
ナナ:大人の恋視点も、ひとつは欲しいね。
恋の経験値が上がると、ドラマの見方も変わるんだよ。
マリ:そうね。“関係をどう育てるか”って視点も必要だと思う。
ケンジ:若い恋も、こじれた恋も、人生の恋も混ざってたほうが絶対に面白ぇぞ。
ユウト:……でも、あまり詰め込みすぎると、企画として散らばりませんか?
ナツメ:そこでや。
全部を混ぜるんやなくて、“核”だけ抽出して組み合わせる。
ソウタ:核……どれが核なんだろ……。
ナツメ:ほな、特徴をまとめるで。
- ミユ案 → 「世界が変わると、本音が出る」
- リク案 → 「データと心のズレがドラマになる」
- ミサキ案 → 「顔を隠して、言葉だけで勝負」
- アカリ案 → 「ランダムな恋イベントで距離が縮む」
- ワニオ案 → 「客観コメントが作品の軸になる
ナツメ:この“核”をどう組み合わせるかで、
こいこと。にしか作れへん恋愛リアリティーショーができるんや。
ミユ:わぁ……なんか本格的になってきた!
ミカコ:じゃあ次は“どう組み合わせるか”の議論ね。
アカリ:うちら、ガチで番組作ってるみたいじゃん!
ナツメ:せや。ほな次のセクションでは、
こいこと。全員で“最終企画の骨格”を作るで。
こいこと。完全新作リアリティーショーを組み立てる
ナツメ:ほな、ここからは“調合タイム”や。
さっき抽出した核を、どない混ぜるか決めよか。
リク:混ぜ方次第では、ただのごちゃ混ぜになりますよね……。
ナナ:だからこそ、テーマか軸を決めたほうがいいと思う。
ミユ:え、テーマって何にするの? 恋? 冒険? 妄想?
マリ:“恋の本音”が引き出される構造なら、どの仕掛けでも活きると思うわ。
アカリ:じゃあ“本音”がテーマ?
ナツメ:せや。
『どんな状況でも、本音はにじみ出るのか?』
これが企画の根っこになるんちゃうか。
ソウタ:本音って……どんな世界でも出るのかな。
ミサキ:出るわよ。隠そうとしても、言葉とか態度に滲むものよ。
ワニオ:その滲みを、私が逐一観察して記録すればよろしいですね。
ミユ:でた、ワニオの“滲み”観察……。
リク:では、“核”として採用するのは以下ですね。
- ミユ案 → 世界(設定)が変わると、本音がにじむ
- リク案 → 心とデータのズレがドラマを生む
- ミサキ案 → 顔を隠し、言葉の精度だけで勝負する
- アカリ案 → ランダムな恋イベントで距離が縮む
- ワニオ案 → 客観実況で“恋の裏側”が見える
ナナ:こう並ぶと、案外まとまるんだね。方向性が見えてきた。
ケンジ:例えばよ?
“妄想世界+ランダムイベント”の中で、
言葉だけで心を動かせるのか試す──とか、どうだ?
アカリ:うわ、それ絶対面白いやつじゃん!
ミユ:異世界で発動する“名前呼びスイッチ”とか絶対最高♡
リク:で、その時の心拍データを取りつつ、
ワニオが「いま相性スコアが上昇中です」とか言う、と。
ワニオ:はい。状況が混沌なほど、分析の面白さが増します。
ミサキ:そして、最後の“告白”は全員顔を隠して、声と言葉だけで判定するのね?
マリ:それ、すごいギャップが生まれそう。
異世界で距離が近づいたペアでも、言葉の精度が低いと届かない、とか。
ユウト:感情・言葉・データ……全部が矛盾したり、揃ったりして、ドラマが生まれそうです。
ナツメ:せやろ。
ほな、これをひとつにまとめるで。
“異世界で、ランダムな恋イベントが発動し、
感情とデータのズレをワニオが実況し、
最後は顔を隠した“言葉だけの告白”で決まる”
これが、こいこと。新ジャンル恋愛リアリティショーの骨格や。
ミユ:やば……こんなの他で見たことないんだけど!!
ナナ:うまくやればウケそうな気がするよ。
ナツメ:せやろ。ほな次のセクションでは、
この企画に“名前”をつけるで。
新企画タイトルを決める会議──“名前がついた瞬間に世界が走り出す”
ナツメ:ほな、核はできた。
次は名前つけよか。名前が決まった瞬間、企画は走り出すんや。
ミユ:タイトルかぁ〜!いちばんワクワクするやつじゃん!
アカリ:うち、可愛いのがいいと思う!読んだだけでキュンってなるやつ!
ミサキ:可愛いだけじゃ印象に残らないわよ。
“強さ”か“美しさ”のどっちかは欲しいわね。
リク:要素整理しますね。
・異世界(設定ジャンプ)
・ランダム恋イベント
・データと心のズレ
・言葉だけの告白
・ワニオの実況……これらがすべて入る言葉、ありますかね。
ミユ:じゃあさ、“ワールド”とか“次元”とか入れちゃう?
ソウタ:“本音”もテーマだよね……。
マリ:物語性を感じるワードが欲しいわね。
ケンジ:タイトルは一言で“なにが起きるのか”分からねぇとダメだ。
ナツメ:……せや、まずは候補出してみよか。
■候補案を挙げていくメンバーたち
ミユ:『恋の次元ワープ♡』!
ミサキ:子どもっぽいわ。
アカリ:『ランダム恋プレイ』!
ミカコ:(小声)ゲーム実況みたい……。
リク:『感情と数値の交差点』とか……。
ミユ:読者が寝ちゃうタイトルやめよ!?
ナナ:『恋の本音実験室』はどう?大人でも読める。
ケンジ:実験感が強ぇな。
ソウタ:『ことばと心の迷子たち』……。
マリ:詩的で素敵だけど、恋愛リアリティー感が薄いかもね。
■静かに手をあげるワニオ
ワニオ:……提案があります。
ミユ:聞きたい!
ワニオ:この番組の本質は、
“環境が変わっても、にじみ出る感情を観察すること”です。
リク:……たしかに。すべての仕掛けは本音を浮かび上がらせるためですね。
ワニオ:では、こういう案はどうでしょう。
『にじみ出る恋』
アカリ:うわ……なんかキレイ……。
マリ:余白のあるタイトルね。大人も若者も読める。
ナナ:“にじみ出る”って言葉、こいこと。っぽいよね。
ミサキ:でもちょっと弱いわね。もっと“世界が動く感じ”が欲しい。
ナツメ:せやなぁ。世界が動いて、イベントが起きて、心が揺れる……。
ナツメ:……せや、こうや。
ナツメ:
『にじみ出す恋──次元スイッチハウス』
ミユ:……天才!?
リク:“本音のにじみ”と“ランダムイベント”、そして“異世界設定”が全部入ってますね。
アカリ:しかも“スイッチ”入ってるの嬉しい!!
ミサキ:言葉だけで告白するラストにも合うわね。
マリ:ドラマの匂いがするわ……始まる予感がするタイトル。
ワニオ:私は分析担当として問題ありません。
ナツメ:ほな、これで決まりや。
企画タイトル:『にじみ出す恋──次元スイッチハウス』
こいこと。初のオリジナル恋愛リアリティーショー、誕生の瞬間だった。
まとめ──こいこと。らしく、企画は生まれた瞬間から不安定です
こうしてついに誕生した、こいこと。オリジナル恋愛リアリティーショー企画
『にじみ出す恋──次元スイッチハウス』。
異世界ジャンプ、ランダム恋イベント、データと本音のズレ、
言葉だけの告白、そしてワニオの冷静すぎる実況。
「こんな番組、見たことない!」と全員が胸を張った……のだが。
ミユ:これ、ほんとにやるのかな?
リク:……規模が大きすぎませんか?
ミサキ:まぁ、企画って生まれてすぐ消えるのが世の常よ。
ナナ:“こいこと。ってこういうの思いつくだけ思いついて、ひっそりお蔵入りにしがち”って噂あるしね。
アカリ:やりたい気持ちはあるんだけどね〜!
ワニオ:実現可能性については、後日グラフにまとめます。
とはいえ──
もしこの企画が本当に動き出したら、こいこと。の歴史がまたひとつ変わる。
そして、動かなかったら……それはそれで「こいこと。らしい」のかもしれない。
次回、この企画が本当に制作されるのか──
それともミユの妄想ファイル行きなのか。
どうぞご期待ください(期待しすぎないでください)。

