こいこと。編集部が入っているビルの別フロアで働く女性、ユカ。
仕事帰りのエレベーターで偶然ミサキと一緒になったのが、きっかけだった。
ユカ:
あの…急にすみません。
恋愛のことなら、こいこと。の人かなって思って。
ミサキ:
ふふ、便利に使われてるわね、わたし。
で、どうしたの?
ユカは少し間を置いてから、ぽつりと言った。
ユカ:
元彼のことが…まだ気になっちゃって。
もう終わった恋だって頭ではわかってるのに、
この気持ち、やめたいんです。
ミサキ:
「忘れたい」じゃなくて「やめたい」なのね。
それ、案外大事な言い方よ。
ユカは少し驚いたように、でもどこか救われた顔をした。
ユカ:
忘れなきゃって思うほど、余計に考えちゃって…。
ミサキ:
わかるわ。
じゃあちょっと、編集部で話しましょ。
ちょうど、こういう話が得意な人たちがいるから。
そうしてその日の夜、こいこと。編集部の一角で、
「元彼が気になるのをやめたい」というテーマの座談会が始まった。
なぜ「元彼が気になる」のをやめられないのか
未練というより「思考のクセ」になっている場合
ミサキ:
ユカさんの話を聞いて思ったんだけど、
これって必ずしも未練とは限らないのよね。
ミカコ:
うん。
気になる=好きって短絡的に考えがちだけど、違う。
マリ:
長く付き合った相手ほど、
生活や感情の中に“残像”が残りやすいの。
ミサキ:
わかるわ。
特別な感情というより、
つい考えてしまう“癖”みたいなもの。
ワニオ:
人間はですね、
繰り返した思考を安全なルートとして保存します。
ミカコ:
出た、ワニオ理論。
ワニオ:
元彼を考える行為が長期間続くと、
それ自体が自動反応になります。
ミサキ:
好きだから考えるんじゃなくて、
考えるのが“当たり前”になってるだけ、か。
今の自分と比べてしまう心理
マリ:
もうひとつ多いのが、
今の自分と過去を比べてしまうケースね。
ミサキ:
ああ…それ、ある。
ミカコ:
恋愛が空白期だと、
元彼が「基準」になりやすい。
ワニオ:
比較対象が少ないと、
脳は過去のデータを再利用します。
ミサキ:
また合理的なこと言うけど、
妙に納得しちゃうのよね。
マリ:
元彼が良かったのではなく、
今が定まっていないだけの場合も多いの。
ミサキ:
それ、ユカさんにも伝えたいわ。
元彼を気にするのをやめたいとき、やってはいけないこと
「忘れなきゃ」と無理に思い込む
ユカ:
正直…
「もう考えちゃダメ」って、何度も自分に言ってました。
ミサキ:
それ、一番つらくなるやつよ。
ミカコ:
うん。
思考を禁止すると、逆に増える。
ユカ:
え…そうなんですか?
ワニオ:
人間の思考はですね、
禁止されると存在確認を始めます。
マリ:
「考えないようにしよう」とするほど、
心が元彼に引き戻されるのよ。
ユカ:
…確かに。
寝る前とか、余計に浮かんできて。
ミサキ:
だからまずは、
気になる自分を否定しないこと。
SNSや近況をこっそり追い続ける
ミカコ:
あと、これはあるあるだけど。
ミカコ:
元彼のSNS、
なんとなくチェックしてない?
ユカ:
……してます。
ミサキ:
正直ね。
ワニオ:
それはですね、
記憶の延命装置です。
ユカ:
延命…。
ワニオ:
新しい情報が入るたび、
脳は「まだ関係が続いている」と錯覚します。
マリ:
なんとなくで見てしまっても、
心はなかなか休めないのよね。
ユカ:
見たあと、毎回ちょっと落ち込むのに…。
ミサキ:
それなら、
距離を取るのは逃げじゃないわ。
「もっと良かった自分」を探し続ける
マリ:
もうひとつ気になるのが、
過去の自分を美化しすぎてしまうこと。
ユカ:
あの頃は楽しかったな、って…。
ミカコ:
でもそれ、
その恋だけが良かったわけじゃない。
ワニオ:
過去は編集されます。
不要なシーンが自動的に削除されます。
ミサキ:
嫌なところ、ちゃんとあったはずなのにね。
ユカ:
……ありました。
マリ:
思い出すなら、
全部を思い出してあげて。
ユカ:
それ、少し気が楽になります。
元彼が気になるのを自然に手放す考え方
「やめる」より「戻ってくる」を目標にする
ユカ:
じゃあ…元彼のことが浮かんだら、どうしたらいいですか?
考えないようにするのは逆効果って聞いて、余計わからなくて。
ミサキ:
いい質問ね。
「やめる」って目標が重すぎるのよ。
ミカコ:
おすすめは、やめるじゃなくて戻ってくる。
ユカ:
戻ってくる…?
ミカコ:
元彼のこと考えたとしても、
「あ、今また考えてるな」って気づいて、
今の自分に戻る。
ワニオ:
思考は交通量です。
完全封鎖ではなく、迂回路を作る方が現実的です。
ユカ:
交通量…なるほど。
マリ:
「考えちゃった」じゃなくて、
「戻ってこれた」を褒めてあげてね。
ユカ:
それなら…できそうです。
元彼の代わりに「今の楽しみ」を増やす
ミサキ:
あとね、元彼が気になる時って、
たいてい心に“空白”があるのよ。
ユカ:
空白…たしかに。
帰ってから、ぼーっとスマホ見てる時間が多いです。
ミカコ:
それ、元彼じゃなくて暇が強い。
マリ:
暇って悪者じゃないけど、
心が弱いときは思考が過去に流れやすいの。
ワニオ:
空白には、必ず何かが入ります。
元彼を追い出したいなら、別の中身を用意してください。
ミサキ:
言い方が現実的すぎるけど正しいわね。
ユカ:
じゃあ、具体的には何を入れたら…?
マリ:
小さくていいのよ。
帰り道に好きな飲み物を買うとか、
ドラマを一本見るとか。
ミカコ:
「元彼を忘れる」じゃなくて、
自分の生活を満たす方向に寄せると強い。
ユカ:
そっちの方が、前向きですね。
「元彼=特別」をやめて、ただの過去に戻す
ミサキ:
最後にもう一つ。
元彼って、記憶の中で神格化されがちなの。
ユカ:
…ちょっとわかります。
ミサキ:
だから、こう考えて。
「元彼は特別」じゃなくて、「当時の自分に必要だった人」。
マリ:
そう。
その恋があなたを支えた時期は確かにあった。
でも、今のあなたには今の支えが必要なの。
ワニオ:
賞味期限が過ぎた食品を、
冷蔵庫に残して眺め続ける必要はありません。
ユカ:
ワニオさん…その例えはちょっと笑っちゃいました。
ミカコ:
笑えたなら勝ち。
深刻になりすぎると、余計に引きずるから。
ユカ:
なんか…
「やめたい」って焦りが少し落ち着きました。
今日からできる「元彼が気になるのをやめたい」行動
気になった瞬間に「自分に戻る」合図を決める
ユカ:
話を聞いてて思ったんですけど…
結局、気になる瞬間をゼロにするのは難しいですよね。
ミカコ:
無理。ゼロは目指さない。
ミサキ:
だから合図を作るの。
「また考えてるな」って気づいたら、戻るための。
ユカ:
合図…?
マリ:
深呼吸でも、肩を回すでも、
今ここに戻れる動作なら何でもいいのよ。
ワニオ:
条件反射は、上書き可能です。
新しい反応を登録してください。
ユカ:
じゃあ、私は「お茶を一口飲む」にします。
ミサキ:
いいじゃない。
それだけで、思考は少し途切れるわ。
「元彼の席」を生活から一つずつ減らす
マリ:
物理的な整理も、実は効くのよ。
ユカ:
写真とか…連絡先とか?
ミカコ:
一気に消さなくていい。
アクセスしづらくするだけで十分。
ワニオ:
頻繁に触れるものは、
重要だと誤認識されます。
ミサキ:
元彼を忘れる作業じゃなくて、
今の自分の生活を整える作業だと思って。
ユカ:
その言い方、すごく優しいですね。
「やめたいと思うほど、ちゃんと前に進んでいる」と知る
ユカ:
最初に言った「やめたい」って言葉、
今ならちょっと意味が違って感じます。
ミサキ:
そう。
やめたいって思えた時点で、もう変わり始めてる。
マリ:
未練だけなら、
「やめたい」なんて言葉は出てこないもの。
ワニオ:
変化の兆候は、
不快感として先に現れます。
ユカ:
じゃあ、このモヤモヤも…
ミカコ:
前進のサイン。
ユカ:
そう思えるだけで、ちょっと楽になります。
まとめ|「元彼が気になるのをやめたい」と思ったあなたへ
- 元彼が気になるのは、未練ではなく思考のクセの場合も多い
- 「忘れなきゃ」と無理に抑えるほど、逆に意識は強まる
- SNSチェックや過去の美化は、気持ちを長引かせやすい
- 大切なのは「やめる」より今に戻る習慣を作ること
- やめたいと思えた時点で、あなたはもう前に進んでいる
ユカ:
今日ここに来てよかったです。
ちゃんと、今に戻る練習してみます。
ミサキ:
焦らなくていいわ。
過去に引き戻されなくなった時、
ちゃんと次の恋が見えるから。
ワニオ:
過去は参照用データです。
常駐アプリにする必要はありません。
ユカ:
…その例え、忘れません。


