未練じゃなく、余白に置いた恋──ナナとマリと語った夜

再会のあと、ミカコはいつものバーでナナとマリにその出来事を語った。
冷静なようでいて、どこか揺らいでいる彼女の表情を、
ふたりの大人な女性がやさしく受け止める。過去の恋はもう終わった。けれどその名残は、心のどこかにそっと残っていた──。
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ナナとマリに語った、本当の気持ち

ナナ:あんた、珍しく“考えてる顔”してんじゃん。仕事のこと?……じゃないな、その目は。

ミカコ:……ばったり、会ったの。“ヒロキ”に。

マリ:……あのヒロキ? それは……また、静かな嵐が来たわね。

ナナ:書店とかじゃない? あんたがふらっと立ち寄る場所で、時間が止まりそうな再会──ってやつ。

ミカコ:正解。……笑えるでしょ、まるで脚本通り。

マリ:話したの?

ミカコ:少しだけ。昔話と、相変わらずな間合いと。……でも、“戻りたい”とか、“もう一度”とか、そういうのは一切なかった。

ナナ:でもさ、ゼロじゃなかったんでしょ? 「何も感じなかった」って、そんな顔じゃない。

ミカコ:感じたよ。……「あのとき私、ちゃんと彼を見てたのかな」って。

マリ:それ、すごくわかる。“あの頃の自分”が恋してた相手って、記憶の中で編集されてるのよ。再会すると、その編集前の生身が立ってる。

ナナ:あんたが今、“強く見せてるだけ”じゃないの、って思う人もいると思うけど。私は逆に、「ちゃんと終わってる人だけが出せる空気」ってあると思うの。

ミカコ:それって、冷たいとかじゃなくて……“余白に置く強さ”ってやつ、でしょ?

マリ:うん。未練って、ぶら下げると重いけど、ポケットにしまえば忘れ物にならないのよ。

ミカコ:……ありがとう。なんか、今夜は“答え合わせ”ができた気がする。

ナナ:正解とかないけどね。でも、“あたし、ちゃんと変われた”って気づく夜は、悪くない。

大人になると、恋の余韻も“誰と分け合うか”が大事になる。ミカコが今日のことを語った相手が、ナナとマリでよかった。

自分を取り戻す夜には、言葉を選ばない会話がちょうどいい。

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