── ちょっとだけ、文学っぽいことしてみたくなったんだ。
ある文章に出会って、
「あたしだったら、こう語るかな」って思ったから、
いつものあたしとは少し違うトーンで、
でも、ちゃんと“あたしらしい”感じで、書いてみた。
なんか……ちょっと恥ずかしいけど、読んでくれたらうれしいな。
目次
たぶん、今日もだいじょうぶ
朝、ちょっとだけ泣いた。
理由は忘れた。ていうか、最初からなかったのかも。
顔むくんでたから、コンシーラーでごまかしたけど、鏡に映った自分が笑ってなくて、ちょっとイヤだった。
それでも学校行く。だって、別に何もないけど、
もしかしたら今日、
あの人と目が合うかもしれないし。
2限の数学、先生の髪型が昨日と逆で、
それに気づいた子が「細か!」って言ってて、
なんかその瞬間だけ、世界がちょっと好きになった。
給食はパンだった。
牛乳は最後までぬるくて、残した。
「全部飲まなきゃだめだよ」って言ってくれる人も、もういない。
でも、嫌じゃない。
放課後、グラウンドのフェンスのところで、あの人が立ってた。
こっちに気づいて、
でも何も言わなくて、
それが、なんか優しかった。
帰り道、雨が降ってきた。
傘、持ってなかったけど、
髪が濡れても、心までは濡れなかったから、
たぶん、今日もだいじょうぶ。
夜。ベッドの上でイヤホンしたまま、目を閉じた。
明日もきっと、
特別じゃない、いつもの日。
でも、
その“いつも”が、ちょっとだけ愛おしいって思えたから、
もうそれだけで、合格点。