サックス、トランペット、トロンボーン、フルート、管楽器なら何でも揃う石橋楽器店へ！
夕方のファーストフード店、曖昧な空気のはじまり。
ポテトの塩気がまだ指先に残る夕方。
アカリ、ハルキ、そしてバイト仲間のシュウは、ファーストフード店の奥の席にいた。
アカリ：「ねぇ、“付き合ってないけど両想いっぽい関係”ってアリだと思う？」
突然の話題に、ハルキはストローをくわえたまま固まる。 隣のシュウが笑いながら言った。
シュウ：「また急にどうしたん、アカリ。誰か気になる人でもできた？」
アカリ：「違うよ〜、バイト先の友達がさ。毎日電話してんのに、ぜーんぜん告白されないんだって。 で、“これって付き合ってるようなもんだよね？”って言っててさ」
ハルキ：「……うーん。俺、それ聞くたびに思うけど、“ようなもん”ってなんなんだろ。 好きなら、言えばいいのに。」
ハルキのまっすぐな言葉に、アカリは思わず口を尖らせた。
アカリ：「そう簡単に言えるわけないじゃん。 “言ったら終わるかも”って思うこともあるんだよ。」
シュウ：「わかる。恋ってさ、“好き”って言う前がいちばん楽しいんだよ。 その曖昧さを楽しんでる人、多いと思う。」
ハルキ：「……楽しいのか、それ。」
アカリとシュウが笑い合う。 ハルキはその様子を見ながら、なんだか胸の奥がくすぐったいような、置いていかれるような感覚を覚えていた。
窓の外では、夕焼けが街をピンク色に染めている。 恋のグレーゾーンを語る時間が、静かに始まった。
「曖昧な関係」ってなに？恋のグレーゾーンを語る
アカリ：「“曖昧な関係”ってさ、こっちからしたら“何なん!?”って感じなんだよね。 毎日LINEして、デートもして、でも“付き合おう”の一言がない。 好きって言ってくれたらスッキリするのに。」
シュウ：「あー、それね。恋の予備校みたいなもんだよ。 “お試し期間”というか、“本番前のリハーサル”。 お互い、相手の様子見ながら“これ、いけるかな？”って探ってる。」
ハルキ：「なんか、それズルくない？ そんなに試されるもんなん？」
ハルキの言葉に、シュウはポテトを口に放り込みながら肩をすくめた。
シュウ：「ズルいって言えばそうかも。 でも、“本気になる前に自分を守る”って、みんな無意識でやってることじゃない？ だって、失恋って地獄じゃん。」
アカリ：「うちは白黒ハッキリしたいタイプだけど…… “曖昧なままの関係”って、なんか安心する時もあるんだよね。 “まだ終わらない”って思えるから。」
ハルキはストローでドリンクをかき混ぜながら、 ぼんやりとカップの中の氷が溶けていくのを見ていた。
ハルキ：「……“終わるのが怖い”って、なんかちょっとわかるかも。 俺も、“このままがいい”って思う時あるし。」
シュウ：「ほら〜、ハルキも曖昧賛成派じゃん！」
ハルキ：「いや、そういうわけじゃ……」
アカリが笑いながら割って入る。
アカリ：「ハルキってさ、“優しすぎる男”タイプだよね。 言いたいこと言わないで、空気読んで流しちゃう感じ。」
ハルキ：「……そっちの方が平和じゃん。」
シュウ：「でもね、恋ってちょっとケンカっぽいのが楽しいんだよ。 “なんで今の言い方!?”とか、“好きならもっと言ってよ!”とかさ。 それが“生きてる恋”って感じ。」
アカリはシュウの言葉に笑いながら、ポテトをひとつ取った。 その表情は、どこか納得しているようでもあり、少し切なそうでもあった。
曖昧な関係が続く理由
アカリ：「でもさ、どうして“曖昧なまま”が続いちゃうんだろ。 どっちかが“ハッキリさせよう！”って言えば終わる話じゃん？」
シュウ：「それがね、意外とどっちも“今の関係がラク”なんだよ。 恋愛ってさ、ハッキリさせた瞬間から“責任”が生まれるでしょ？ だから無意識に、面倒なことを避けちゃう。」
ハルキ：「……たしかに。付き合ったら“ちゃんとしなきゃ”って思うもんな。」
アカリ：「うちは逆に、“ちゃんとしたい”タイプだから、 “どう思ってるの？”って聞きたくなっちゃう。 でもそれで、“重い”とか言われたら最悪だし……。」
ストローを噛みながら、アカリが小さくため息をつく。 ハルキはその横顔を見つめながら、どこか落ち着かない。
シュウ：「“曖昧なままの方が平和”って思う人、多いよ。 だって、期待もしないし、傷つかないし。」
アカリ：「……でも、なんか寂しくない？」
シュウ：「寂しいよ。 でも、恋愛って“寂しさの分だけ自由”だと思う。 “誰かに縛られない”って、案外ラクだし。」
その言葉に、ハルキが小さく笑った。
ハルキ：「なんか、シュウって男前だな。」
シュウ：「でしょ？（笑） でもね、本気になりかけたときに曖昧さが終わるんだよ。 “あ、これ好きになっちゃった”って気づいた瞬間、 “このままじゃヤバい”って思う。」
アカリ：「それ、わかる。 “気づいたらちゃんと好きになってた”ってやつ。 それで焦って“どうするの？”ってなるんだよね。」
ハルキ：「……恋って、勝手に始まって、勝手に焦るんだな。」
三人の間に、静かな間が落ちる。 ファーストフード店のざわめきの中で、それぞれが自分の過去の“曖昧な時間”を思い出していた。
曖昧な関係を楽しむのも、悪くない？
アカリ：「でもさ、“曖昧”って全部が悪いわけじゃない気もするんだよね。 相手のことをちゃんと知らないうちは、こういう“ふわっとした距離感”もアリかなって。」
シュウ：「うんうん。 “ちゃんと好きになるまでの準備期間”って思えば、悪くない。 その時間って、相手を美化できるし、ドキドキも続く。 “曖昧”って、一番恋が綺麗に見える時期かもしれない。」
ハルキ：「……なんか、夢みたいな話だな。」
アカリ：「ハルキ、現実派だもんね（笑）」
ハルキ：「いや、現実っていうか…… たとえばさ、曖昧なまま“楽しい”って思えてるなら、それはそれで正解かもしれない。 恋って、“ちゃんと付き合うこと”だけが正解じゃないのかも。」
シュウ：「それ言えてる。 “付き合ってるのに孤独”な恋もあるし、“曖昧だけど幸せ”な恋もある。 肩書きとか、形式とかにこだわらない方がラクな人もいるんだよね。」
アカリ：「たしかに。 “彼氏彼女”ってラベルつけた瞬間に、めんどくさくなることもある（笑） “今日は連絡ないの？”とか、“なんで既読つかないの？”とかさ。」
ハルキはその言葉に、少し苦笑する。
ハルキ：「うわ、それ言われたことある（笑） でも、そういう不安も“恋してる証拠”なんだろうな。 だから、曖昧でも、ちゃんと好きならそれでいい気がする。」
シュウ：「……やだ、ハルキ、急にいいこと言うじゃん。」
アカリ：「ね、今の録音しとけば？（笑）」
3人の笑い声がファーストフード店に溶けていく。 “曖昧”という言葉の中に、優しさと未熟さと、少しの勇気が混ざっていた。
こじらせないためのヒント
アカリ：「でもさ、ずっと“曖昧”のままだと、どっかでしんどくなるよね。 “これって何？”って気になっちゃう瞬間、絶対くるもん。」
シュウ：「そうそう。 だから、“曖昧な関係”を楽しむなら、自分の気持ちにウソをつかないことだと思う。 “好き”って言葉にしないとしても、ちゃんと自分で認めておく。」
ハルキ：「なるほどね。 “言えないけど、ちゃんとわかってる”ってやつか。」
シュウ：「うん。 あとは相手に期待しすぎないこと。 “なんで向こうから誘ってくれないの？”とか思い出すと、一気にこじれるから（笑）」
アカリ：「それ、ほんと。 “察してほしい”って思うの、女子あるあるだよね。 でも、曖昧な関係のときって、お互い察してるようで察してない（笑）」
ハルキ：「男は基本、察せない生き物です（笑）」
アカリ：「うちも最近悟った。 “察して”じゃなくて、“伝える”のが一番早い（笑）」
シュウ：「あともう一個。 “曖昧”を自分の都合にしないことね。 “今は仕事が忙しいから”とか、“まだ遊びたいから”とか言って 相手をキープするのは、一番よくない。」
ハルキ：「それ、たまに聞く。 “好きだけど付き合えない”とか、“今はタイミングじゃない”とか言われるやつ。」
アカリ：「あー、それね。 たぶん、“今はタイミングじゃない”＝“本気じゃない”だよ（笑）」
3人は同時に笑った。 その笑いの中に、どこか少しの切なさも混じっていた。
シュウ：「でも結局、誰かを好きになるって、少なからず曖昧さを受け入れるってことかもね。」
ハルキ：「うん。 “わからない”からこそ、ちゃんと向き合いたくなるのかもしれない。」
アカリ：「……なんか今日、いい話になってるね（笑）」
ハルキが照れくさそうに笑い、 ポテトをひとつつまんで口に放り込んだ。
まとめ：「曖昧」から始まる恋もある
アカリ：「結局、“曖昧”って、悪いことばっかじゃないよね。 ちゃんと好きになる前の、ちょっと怖くて、でもワクワクする時間。」
シュウ：「うん。“曖昧”って、恋のプロローグみたいなもん。 “はじまるかもしれない”って希望が一番キラキラしてる。 でも、それを“ずっと続けよう”って思った瞬間に、 たぶんどっかで止まっちゃうんだよね。」
ハルキ：「……“止まる恋”って、切ないな。」
アカリ：「でも、“止まる前に動けばいい”ってことだよ。 ちゃんと気持ち伝えるとか、 “好きかもしれない”って思ったら、 少しずつでも歩き出せばいい。」
シュウ：「そう。 “曖昧な関係”って、じつは“勇気を試されてる期間”なんだと思う。 そこでどう動くかで、恋がちゃんと“進む”か“終わる”かが決まる。」
ハルキ：「……じゃあ、俺ももう少し、動けるようにならなきゃな。」
その言葉に、アカリとシュウが一瞬だけハルキを見つめた。 微妙な沈黙。 けれど次の瞬間、アカリが明るく笑って空気をほどいた。
アカリ：「ま、青春ってそういうもんでしょ！ “わかんない”まま進むのも、悪くないっしょ♡」
シュウ：「だね。 “曖昧”も“確信”も、結局は恋の通過点。 どう感じたかがいちばん大事。」
ハルキ：「……恋って、難しいけど、楽しいな。」
3人は笑い合いながら、空になったポテトの箱を片付けた。 外はすっかり夜の街。 ネオンがにじむガラス越しに、3人の影が少しだけ近づいて見えた。
この記事が、“曖昧な関係”に悩むあなたの背中を、 ほんの少しでも押せますように。
こいこと。では、恋の“グレーゾーン”に光を当てるリアルな会話をお届けしています。
