「パートナーが変わっていくこと」──BAR恋古都にて、夜の恋語り

こいこと。編集部の近くにある、隠れ家的なバー「恋古都(こいこと)」──。
この夜、カウンターにはマリ、ケンジ、ナナ、そしてアカリがいた。
古風な照明とレコードのBGMが漂うこの場所で、恋について、人生について、
少しだけ本音がこぼれる夜が始まった。

変わっていく恋人、変わらない想い

「最近、うちの旦那が急に甘えてくるようになったのよ」
最初に口火を切ったのはナナだった。
「付き合ってた頃はツンケンしてたのに、今じゃ毎晩くっついてくるんだから」

「それ、いい変化なんじゃない?」とマリ。
ワイングラスをくるりと回しながら微笑む。
「人って、パートナーによって変わることってあるよね」

「うちの親もそうだったかも」とアカリがグレープフルーツジュースのグラスを抱えて言う。
「昔はもっと厳しかったのに、最近は“恋してるの?”とか聞いてくるし」

「逆もあるけどね」
とケンジ。
「昔は可愛げあったのに、今じゃ鬼軍曹。あれ、オレのことかな?」

一同が笑いに包まれる。
恋人が変わること──それは、悪いことばかりじゃない。
でも、ふとした違和感に戸惑う夜も、誰しも経験がある。

「わたしも昔は…」マリの小さな告白

「あたしもさ」
マリがゆっくりとグラスを置いた。
「昔はもっと…激しかったのよ」

「ええっ?」とアカリが素直なリアクション。
「マリさんって、めっちゃ落ち着いてて優しい大人って感じなのに」

「若い頃ね。いろんなことでムキになったり、見境なく怒ったり、相手の弱さを許せなかったり。今思えば若かったなぁって」

「そういうの、ちょっと意外かも」ナナが言う。
「けど、わたしはマリ姉が昔そうだったって聞いて安心したかも。人は変わるし、変えてくれる人がいるってことだし」

「うん。恋とかね。大切な人ができると、自分でも気づかないうちに変わってたりするのよ」

「じゃ、歌いますか」──深夜のカラオケにて

話が弾む中、「もうちょっと飲んでく?」と誰かが提案し、流れはカラオケへ。
深夜の街にネオンが滲む。
アカリは「お酒はまだ飲めないので〜」と軽やかに笑い、ソフトドリンクを両手に持ってご機嫌だった。

誰からともなく、マイクが回りはじめる。ナナの十八番、90年代のヒットソングで場は一気に盛り上がった。

そしてマリの順番が来た。選んだのは意外にも、ハードめのパンクロック。

イントロが流れた瞬間、一同が「えっ?」と目を見合わせる。
けれど、歌い出したマリは堂々たるものだった。
小さな体から飛び出す力強い声、ビートに合わせてリズムを刻む仕草、まるで舞台の上にいるような迫力。

「こういうの、好きだったのよ」
歌い終わったあと、マリが照れ隠しのように笑った。

「マリ姉…かっこいい…」とアカリがつぶやく。
「知らなかった…ていうか、ハマりすぎでしょ!」ナナも目を丸くする。

「時間と共に変わるものと、変わらないものがあるもんよ」
ケンジが静かに呟いた。

「ケンジはどうなの?」とマリが返す。

「うーん…どうだろ。昔のオレは、今のオレを見てどう思うかな」
そう言って、グラスを傾けた。

それぞれの「今」を生きながら

恋をすると、人は変わる。
でも、変わることを恐れないでいい。
それはきっと、誰かを大切に思っている証拠なのだから。

「でもさ、変わっても“らしさ”は残る気がする」
アカリの言葉に、一同がうなずく。

BAR恋古都の夜は、静かに深まっていく。
パンクロックの余韻と、変わりゆく日々の中で、それぞれの想いがそっと交差する。

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