夜の街にひっそりと灯る「バー恋古都」。大人びた雰囲気のカウンターに腰を下ろしたのは、豪快アニキ系ライターのケンジ、明るく妄想好きなミユ、そして“強欲と書いてミサキと読む”ダークヒロインのミサキ。偶然なのか必然なのか、三人で飲むことになった夜は、予想以上に濃厚でカオスな時間となった。
ケンジ、説教モード発動
グラスを一口あおったケンジが、さっそくいつもの調子で語り出す。
ケンジ:「恋愛ってのはな、思いやりと覚悟がなきゃ長続きしねえんだよ。若いころは勢いだけで突っ走るけど、それじゃ燃え尽きちまう。お互いに支え合うってのが大事なんだ」
ミユ:「出たー!ケンジさんの恋愛説教タイム♪ でもね、わかる気がするよ。思いやりってやっぱ基本だもん♡」
ミサキ:「……ふふっ。覚悟とか思いやりとか、言葉は綺麗ね。でも実際には、それだけじゃ足りないんじゃない?人は弱いから、相手に裏切られることもある。愛を盾にすればするほど、壊れるときの痛みも大きいのよ」
ケンジ:「お、おう……。なんか急にパンチ効いたな。まあ確かに、理想と現実は違うもんだ」
ケンジの豪快な説教に、ミユは素直にうなずき、ミサキは小悪魔的に皮肉を差し込む。三者三様の反応が、早くも場の空気を不思議にかき混ぜていた。
女の駆け引きトーク、勃発
ケンジの説教が一段落したところで、話題は自然と「男女の駆け引き」に移っていった。
ミユ:「あたしね、やっぱり彼氏にはいっぱい甘えたい派なんだよね♡ なんか小さなことでも『ねぇねぇ』って言いたくなっちゃうし、構ってほしいの」
ケンジ:「ははっ、素直でいいじゃねえか!男からしたら、そうやって甘えてもらえるのは悪い気しないもんだぞ」
ミサキ:「甘えね。ふふ、可愛らしいけど、私はちょっと違うかな。『甘える』のも立派な戦略だと思ってる。相手に“守らせる”ことで自分のポジションを確保する。女の武器って、計算も含めて使いこなしてこそだと思わない?」
ミユ:「えー!計算って言われるとなんかズルい感じするー!あたしは本気で甘えたいだけだよ?」
ケンジ:「お、おいおい、なんか火花散ってねえか?ミユは天然、ミサキは策士……真逆すぎて見てるこっちがハラハラするぞ」
二人のやり取りはまるで別世界。同じ「恋愛」に向かっているはずなのに、ミユは無邪気な恋愛感情そのものを語り、ミサキはそこに潜む力学や主導権を読み解いていく。聞いているケンジは、二人の違いに圧倒されつつも「なるほどな」とうなずかざるを得ない。
ミサキ:「男だって単純じゃない。時には女の甘えを『可愛い』と受け止めるけど、時には『重い』って思うこともある。だから、甘えと計算をどうバランスとるかが鍵なのよ」
ミユ:「うーん……難しいこと考えすぎたら恋が楽しくなくなっちゃわない?恋ってドキドキとか一緒に笑うとか、そういうのが一番だと思うな♪」
甘えたい派 vs 計算派。 立場は違えど、二人の言葉は恋愛のリアルを鮮やかに切り取っていた。
本音カミングアウトの時間
グラスが進むにつれ、場の雰囲気はさらに柔らかくなっていった。バーの照明に照らされながら、それぞれが少しずつ胸の内を明かしていく。
ミユ:「実はさ、最近ちょっと気になる人がいるんだよね。まだ全然恋ってほどじゃないけど、一緒にいると楽しくて。…なんかこう、未来を妄想しちゃうの♡」
ケンジ:「おおっ、いいじゃねえか!そういうのが恋のはじまりだ。想像するだけでニヤける時間が、一番甘いんだぞ」
ミサキ:「ふふ…妄想ね。まあ、期待があるうちは楽しいわよ。でも、そこに落とし穴も潜んでる。妄想と現実の差が大きすぎると、一気に冷めることもあるんだから」
ミユ:「ミサキってほんと辛口〜!でも、確かにそういうこともあるかも。でもさ、やっぱりドキドキできるのは嬉しいことだと思うの」
ケンジ:「そうだそうだ。恋は現実と理想のせめぎ合いだ。それを乗り越えたときに本物になるんだよ」
ミサキ:「…わたしもね、実は最近、気持ちを揺さぶられた出来事があったの。詳しくは言わないけど、『信じたいけど怖い』って思う瞬間があって。…結局、恋って強さと弱さの両方を突きつけてくるのよ」
普段は計算高く見えるミサキの、ふとした弱音に二人は少し驚く。けれど、それがまた彼女を人間らしく見せていた。
ミユ:「そっか…ミサキでもそんな風に思うんだ。ちょっと親近感わいちゃったな♡」
ケンジ:「おいおい、こりゃ珍しいぞ。ミサキが素直になってる!やっぱり酒の力はすげえな」
バー恋古都の夜は、酔いと共にいつもより少しだけ正直な気持ちを引き出していた。
意外な共鳴、ケンジとミサキ
いつもは正反対に見えるケンジとミサキ。ところが、話題が「恋の覚悟」に及ぶと、意外にも二人の意見が重なった。
ケンジ:「結局な、恋愛ってのは修行みたいなもんだ。うまくいかないことも多いけど、そこから逃げずにぶつかるからこそ意味があるんだよ」
ミサキ:「……ふふ、その言葉、嫌いじゃないわ。恋愛をただの遊びにしないためには、覚悟が必要。自分が傷つくのを恐れたら、本当の意味で愛することなんてできないのよ」
ミユ:「えーっ!ここで意気投合しちゃうの!?さっきまで全然違う方向見てたのに!」
ケンジ:「お前、意外とわかってるじゃねえか、ミサキ!」
ミサキ:「ケンジさんもね。豪快に見えて、ちゃんと現実を見てる。そういうの、案外嫌いじゃないかも」
二人の会話に、思わずミユは目を丸くする。 天然の妄想ガールと、豪快アニキと、ダークヒロイン。まったく噛み合わなさそうな組み合わせなのに、ここに来て不思議な共鳴が生まれていた。
ミユ:「あたし置いてけぼり〜!でもなんか…この組み合わせ、悪くないかも♡」

