こいこと。美人代表・ミサキに聞いてみよう
ソウタ「前からちょっと思ってたんだけどさ。
美人って、本当に得なことばかりなのかなって」
ミユ「あ、それわたしも気になってた!
どうしても“美人=人生イージー”みたいに見ちゃうところあるよね」
そう言って、ミユはわざとらしく編集部の奥をちらりと見る。
ミユ「というわけで……
こいこと。美人代表、ミサキ様に聞いてみましょう!」
ミサキ「ちょっと待ちなさい。
その振り方、絶対わたしが嫌われるやつじゃない?」
ソウタ「いや、嫌味じゃなくて。
“当事者の感覚”をちゃんと知りたいだけなんだ」
ミサキ「……まぁ、面白そうだからいいけど。
先に言っておくと、得してる部分がゼロとは言わないわ」
一拍置いて、ミサキは肩をすくめる。
ミサキ「でもね、“美人だから大丈夫でしょ”って雑に扱われる場面も多いのよ」
ミユ「雑に扱われる……?」
ミサキ「そう。
ちゃんと話を聞いてもらえないとか、努力を軽く見られるとか」
ミユ「あ〜……
それ、言われてみたらしんどいかも」
ミサキ「“どうせチヤホヤされてきたんでしょ”って、
勝手に人生を決めつけられる感じね」
ソウタ「なるほど……。
得してる前提で、感情を省略される感じか」
ミサキ「そうそう。
悩んでても、“贅沢な悩み”って処理されがちなのよ」
ミユ「それってさ、共感されにくい孤独だね」
ミサキ「ええ。
だからわたし、自分から悩みを言わなくなった時期もあったわ」
ソウタ「……美人って、
“強い役”を勝手に押し付けられる立場でもあるのかもね」
ミサキ「そう言ってもらえると助かるわ。
別に弱さがないわけじゃないんだから」
ミユ「なるほど〜。
“得してるかどうか”より、“理解されにくさ”が問題なんだ」
軽いノリで始まったはずの質問は、
いつの間にか、少しだけ本音に近い場所にたどり着いていた。
![]()
美人だからこそ起きる、恋愛での誤解
ミユ「じゃあさ、恋愛だとどうなの?
美人ってモテるし、選び放題ってイメージあるけど」
ミサキ「……それ、よく言われるわね」
ミサキは一瞬だけ考えてから、少しだけ苦笑した。
ミサキ「たしかに声はかかる。
でもね、“ちゃんと向き合われてるか”は別問題なのよ」
ソウタ「向き合われてない?」
ミサキ「うん。
最初から“どうせ高嶺の花”って決めつけられるか、
逆に“見た目だけで口説けばいける”って軽く扱われるか」
ミユ「え、極端すぎない?」
ミサキ「ほんと極端。
普通の距離感で来てくれる人、意外と少ないの」
ソウタ「なるほど……。
“好き”じゃなくて、“勝ちたい”とか“自慢したい”になりがちなのかも」
ミサキ「そうそう。
恋愛がイベント化するのよ。本人不在で」
ミユ「それしんどいね……。
ちゃんと人として見てほしいだけなのに」
ミサキ「あとね、これもあるあるなんだけど」
ミサキは少しだけ首を傾けて、指を一本立てた。
ミサキ「“美人なんだから察してくれるでしょ”って、勝手に期待されがちなの」
ミユ「察してくれる……?」
ミサキ「そう。
“言わなくても分かるよね”
“これくらい我慢できるでしょ”
“余裕あるはずだよね”って」
ミユ「あーー……。
勝手に強い人認定されるやつだ」
ミサキ「そうなのよ。
でも実際は、普通に不安にもなるし、傷つくし、確認したいこともある」
ソウタ「でも、それを言うと……」
ミサキ「ええ。
“わがまま”とか“余裕ない”って思われそうで言えなくなる」
ミユ「うわ……それはしんどい」
ミサキ「だからね、美人って“察してもらえる側”じゃなくて、“察する側”に回りがちなのよ」
ソウタ「なるほど……。
強く見える人ほど、実は気を使ってるってことか」
ミサキ「そういうこと。
黙ってる=平気、じゃないんだけどね」
笑い混じりの会話の中に、
いつの間にか、少しだけリアルな空気が混ざっていた。
美人の悩みには、どう寄り添えばいい?
ミユ「じゃあさ、聞きたいんだけど。
周りはどう接すればよかったの?」
ミサキ「急に真面目ね」
ミユ「いや、だってさ。
“美人の悩み”って、触り方ミスると地雷じゃん」
ソウタ「たしかに……。
下手に共感すると嫌味っぽくなるし、軽く流すと冷たくなる」
ミサキ「ふふ。
でもね、そんなに難しく考えなくていいのよ」
ミサキは少しだけ肩の力を抜いた。
ミサキ「“美人だから大丈夫”って前提を外してくれるだけでいい」
ミユ「前提を外す?」
ミサキ「そう。
普通に悩んでる一人の人として聞いてくれたら、それで十分」
ソウタ「“どうせモテるでしょ”とか言わない、とか?」
ミサキ「それそれ。
あれ、フォローのつもりで言ってる人多いけど、ほぼ逆効果だから」
ミユ「うわ、耳が痛い人いっぱいいそう」
ミサキ「あとね、比べないでほしい」
ミユ「比べる?」
ミサキ「“あなたはいいよね”って言葉。
悪気なくても、距離ができるのよ」
ソウタ「なるほど……。
理解しようとするより、決めつけないことか」
ミサキ「そう。
共感できなくても、否定しないで聞いてくれる人がいちばん楽」
ミユ「それってさ、結局——」
ミユ「美人とか関係なく、恋愛の基本じゃん」
ミサキ「……ほんと、それなのよ」
ミサキは小さく笑った。
ミサキ「特別扱いも、雑な扱いもいらない。
ただ、ちゃんと人として向き合ってほしいだけ」
ソウタ「それが一番むずかしくて、一番シンプルだね」
会話は軽やかだったが、
その中にある答えは、意外とシンプルだった。
「美人の悩み」は、特別な話じゃない
ミユ「なんかさ、今日の話聞いてて思ったんだけど——」
ミユ「“美人の悩み”って言葉にすると特別っぽいけど、
中身はわりと普通の恋愛の悩みだよね」
ミサキ「そうなのよ。
ラベルが違うだけで、感じてることはみんなとそんなに変わらない」
ソウタ「ただ、そのラベルのせいで——」
ソウタ「理解されにくくなったり、話しにくくなったりするんだろうね」
ミサキ「ええ。
“美人だから平気でしょ”って言葉で、会話が終わっちゃうことも多い」
ミユ「それ、ほんとにもったいないね」
ミユ「ちゃんと聞いたら、ちゃんと人の話なのに」
ミサキ「そう。
悩みの重さを決めるのは、見た目じゃないのよ」
少しだけ真面目な空気になりかけて、
ミサキはふっと表情を緩めた。
ミサキ「……まぁ、こうして話せたから今日は良しとするわ」
ミユ「お、ミサキ様の許し出ました!」
ソウタ「レアだね」
ミサキ「うるさいわね。
たまには“美人の本音”も悪くないでしょ?」
ミユ「うん。
“美人だから”じゃなくて、“一人の人として”聞けた気がする」
ソウタ「それが一番大事なポイントかもね」
美人の悩みは、
特別でも、遠い話でもない。
ただ、少しだけ聞き方を変えるだけで、
ちゃんと届く話になる——そんなことを、
この座談会は静かに教えてくれた。



