夕暮れのビアガーデン、乾杯からスタート
夏の夕暮れ、街を見下ろす屋上のビアガーデン。空はオレンジから藍色へと変わり、風が少し涼しくなってきた。
「じゃあ、とりあえず乾杯しよっか!」
ナナがジョッキを高く掲げる。
「おー、待ってました!」
ユウトが笑顔で応じ、全員のグラスが軽やかにぶつかる。
「ビアガーデンって、なんかテンション上がるよね」
ミサキが枝豆をつまみながら言う。
「わかる。外で飲むってだけで、気持ちまで開放的になるもんな」
ケンジがぐいっとビールを飲む。
「それにしても、ここからの夜景すごくない?」
マリが少し身を乗り出して街の灯りを指差す。
「うん、なんか……この景色、ちょっとドラマっぽい」
ユウトがカメラでパシャリと撮る。
「いや〜、今日来て正解だったわ」
ナナが串焼きを手に笑う。
「こうやってさ、みんなで集まって遊んで……それでギャラもらえるって、最高じゃないですか」
ミサキがさらっと言って全員が笑う。
「おいおい、急に現実的すぎだろ」
「でも事実でしょ? 楽しんで、それが仕事になるなんて贅沢すぎ」
「まあ、そういう意味では“こいこと。”って恵まれてるよな」
ケンジがうなずき、ジョッキを傾ける。
「さて、今日はせっかくだし恋バナでもしますか」
ナナが串焼きをかじりながら切り出す。
「お、来たな〜」
ユウトがニヤリと笑い、ミサキも「いいですね、夏の夜にぴったり」と頷いた。
恋バナ1「第一印象って恋に影響する?」
「じゃあ最初のテーマは……第一印象って恋に影響するかどうか!」
ユウトがジョッキを置いて切り出す。
「めっちゃ影響するでしょ」
ナナが即答する。
「人間ってさ、最初の3秒で印象決まるって言うじゃん」
「そうそう。最初に“いいな”って思わないと、その後なかなか恋愛対象にはならないかも」
ミサキも頷く。
「でも、第一印象悪くても後から覆ることあるよな」
ケンジが串をかじりながら言う。
「あるある。最初はクールで近寄りがたいと思ってたのに、話してみたらめちゃくちゃ面白いとかね」
マリが同意する。
「それ、逆パターンもあるよね。最初めっちゃ優しいと思ったのに、慣れてきたら全然LINE返さないとか」
ナナが笑いながらグラスを傾ける。
「第一印象って外見だけじゃなくて、声とか話し方でも決まる気がする」
ミサキが落ち着いた口調で言うと、
「わかる。笑ったときの雰囲気とか、仕草とかね」
ユウトが相槌を打つ。
「じゃあ逆にさ、第一印象良すぎると恋愛に発展しにくいってこともある?」
マリが聞くと、
「うーん、理想が高くなりすぎて“幻滅”の落差が大きくなる可能性はあるかも」
ケンジがビールを飲み干しながら答える。
「最初にハードル上げすぎると、自分もしんどいよな」
ナナも同意する。
「つまり、第一印象は大事だけど、そこからどう関係を作るかが本番ってことですね」
ミサキのまとめに、全員が「それな!」とジョッキを掲げた。
恋バナ2「付き合う前にチェックしたいこと」
「じゃあ次は、“付き合う前にチェックしたいこと”!」
ナナが手を叩いて話題を切り替える。
「これ、わたしは絶対“時間の使い方”かな」
「お、生活リズム重視ってやつ?」
ユウトが串を取りながら聞く。
「そう。こっちが会いたいときに全然会えないのって、後々きついから」
「俺は金銭感覚だな」
ケンジが即答する。
「金の使い方って価値観モロに出るし、そこ合わないと長続きしない」
「確かに。あと奢る奢らない問題もあるよね」
マリが軽く笑う。
「奢る奢らないは状況次第だけど、金銭感覚ズレすぎてるのはしんどいな」
ナナも同意する。
「私は……友達との付き合い方を見ますね」
ミサキがジョッキを置きながら話し出す。
「友達を大事にしてる人って、恋人も大事にしてくれる気がするから。逆に、周りを大事にしない人はちょっと怖い」
「お〜、それは盲点だったかも」
ユウトが感心する。
「俺は……自分の趣味に理解あるかどうかだな」
ユウトが言うと、
「趣味って何?」とマリが聞く。
「釣りとカメラ。だから休日にずっと外に出たい派なんだけど、そこに付き合ってくれるか、もしくは自分の時間を楽しんでくれる人がいい」
「なるほど、束縛じゃなくて、お互いの時間を尊重できるかってことね」
ナナが頷く。
「ていうか、こいこと。ってみんなで出かけること多いじゃないですか。それもある意味、相手によっては“付き合う前のチェック”になるかも」
ミサキがにやっと笑う。
「おい、仕事に恋愛持ち込むな(笑)」
ケンジがツッコみ、場が笑いに包まれた。
恋バナ3「忘れられない告白シーン」
「じゃあ最後のテーマ。“忘れられない告白シーン”」
マリがジョッキをくるくる回しながら切り出す。
「お〜、これは気になるやつ!」
ナナが串を手に前のめりになる。
「俺は高校のときかな。放課後の教室で『好きです』って真正面から言われた」
ユウトが少し照れながら話す。
「うわ〜、王道!」
ミサキが笑顔で拍手する。
「でも、あまりに急で返事が『え?』になっちゃって……それ以来ぎこちなくなった」
「それはもったいない〜!」
ナナが肩を叩く。
「私は大学時代、帰り道で突然『付き合ってほしい』って言われたことある」
ミサキが思い出すように語る。
「しかも駅の改札の手前で。周り人だらけで恥ずかしかったけど、なんか映画みたいでドキドキした」
「おお〜、それは照れる」
ケンジが笑いながら頷く。
「じゃあ私」
ナナが串を置き、グラスを手にする。
「昔付き合ってた人に、ドライブの帰り、車から降りた瞬間に『ずっと一緒にいたい』って言われたの。あれは心に残ってるな」
「夜の空気とか匂いとか、そういうのもセットで覚えてるよね」
マリがしみじみと言う。
「ケンジは?」
「俺は……バンドやってた頃に、ライブ終わりに楽屋で告白されたことある」
「おお〜、ロック!」
ユウトが笑う。
「いや、汗だくで息切れてる中だったから、返事するのも必死だったわ」
「それでもOKしたんでしょ?」
ナナがニヤリと聞くと、ケンジは「まあな」とだけ答えた。
「私は中学のとき、放課後に校舎裏で告白されたのが忘れられない」
マリが短く言うと、
「お、シンプル!」
ユウトが笑い、全員が懐かしい空気に包まれた。
まとめ──夜風と笑い声に包まれて
夜がすっかり深まり、屋上から見える街の灯りがきらきらと輝いている。
「そろそろラストオーダーですね」
店員の声に促され、ミサキが手を上げてドリンクを追加する。
「今日もいっぱい笑ったな〜」
ナナがジョッキを軽く掲げる。
「やっぱこうやって外で飲むのはいいね。風も気持ちいいし」
ユウトが夜景を眺める。
「恋バナって、なんでこう盛り上がるんだろうね」
マリが小さく笑うと、
「恋って共通のテーマだからだろ。話してると、なんか元気になる」
ケンジがさらっと返す。
「次は誰かの企画で集まりたいですね。海とか花火とか!」
ミサキが提案すると、全員が「いいね!」と声を合わせる。
グラスを合わせ、最後の乾杯。夜風と笑い声が混ざるビアガーデンの夜は、こうしてゆるやかに終わりを迎えた。

