ガラス張りのワインバルは、夜の街の光をやわらかく映していた。
店内はほどよく賑やかで、グラスの音と低い会話が心地よく混ざり合っている。
カウンターには色とりどりのワインボトル。
テーブルにはチーズと前菜の盛り合わせ。
いつもの居酒屋より、少しだけ軽くて、少しだけ大人な空気。
ナナ:
なんか今日、ちょっとおしゃれじゃない?
ミカコ:
たまにはいいでしょ
ミカコ:
こういう店のほうが、軽い話もしやすいし
ナナ:
軽い話ねぇ
ナナ:
あたしはだいたい重くなるけどね
ミカコ:
知ってる
ふたりのやり取りに、ふっと柔らかく笑う声が混ざる。
今日のゲストは「こいこと。編集部」のユキノ。
落ち着いた雰囲気の中に、どこか軽やかさを持った女性だ。
これまでいろいろな経験をしてきたからこその余裕と、前を向く強さがある。
ユキノ:
でも今日はほんとに軽めでいきたいかも
ユキノ:
こういう店だし
ナナ:
じゃあ軽いテーマにする?
ミカコ:
どうせまた恋愛でしょ
ナナ:
当たり前でしょ
ナナ:
じゃあ今日のテーマ
ナナ:
カジュアルな恋愛って、どうなの?
その一言で、グラスを持つ手が少しだけ止まる。
軽いようで、意外と答えにくいテーマだった。

カジュアルな恋愛ってアリ?
ナナ:
カジュアルな恋愛、普通にアリじゃない?楽しいならいいじゃんって思うんだけど
ミカコ:
まぁ完全否定はしないけど、ちゃんと線引きできる人じゃないと無理だと思う
ナナ:
線引き?
ミカコ:
どこまでが遊びで、どこからが本気か。そこ曖昧にすると崩れる
ナナ:
まぁ…たしかに。気づいたら好きになってたとかあるもんね
ユキノ:
あるね。むしろそれが普通かも
ナナ:
え、そうなの?
ユキノ:
最初は軽い気持ちでも、会う回数増えたり時間過ごすとさ、どっちかはだいたい本気になるんだよね
ミカコ:
温度差問題ね
ナナ:
あーそれ一番めんどくさいやつ
ユキノ:
しかもカジュアルな恋って、最初に「軽い関係」って設定してるから、本気になった側が言い出しにくいのよ
ミカコ:
それはある。ルールが足かせになる
ナナ:
なるほどねぇ。でもさ、最初から重い恋愛も疲れない?
ミカコ:
それはわかる。いきなり結婚前提みたいなのは重い
ユキノ:
うん。だから結局、カジュアルな恋が悪いんじゃなくて、扱い方の問題なんだと思う
軽い恋のつもりが重くなる瞬間
ナナ:
でもさ、結局こういうのってさ、どっちかが本気になった時点で終わりじゃない?
ミカコ:
終わりというか、形が変わるね
ユキノ:
うん、そこが一番難しいところ
ナナ:
軽い感じで始めたのに、気づいたら好きになってるやつでしょ
ミカコ:
よくあるパターン
ユキノ:
しかもね、それってだいたいどっちかだけなのよ
ナナ:
あー…片方だけね
ユキノ:
そう。同じタイミングで本気になることって、ほとんどないから
ミカコ:
で、本気になった側が苦しくなる
ナナ:
「こんなはずじゃなかった」ってなるやつね
ユキノ:
そうそう
ユキノ:
最初に「軽い関係でいいよね」って言ってる分、余計に言い出せないのよ
ミカコ:
ルールに縛られる
ナナ:
でもさ、それってズルくない?
ナナ:
好きになっちゃった側だけ損するじゃん
ユキノ:
損というか…
ユキノ:
最初に軽さを選んだのも自分だからね
ナナ:
うわ、それ厳しい
ミカコ:
でも現実
ミカコ:
カジュアルな関係って、最初からリスク込みだから
ナナ:
まぁそうか
ナナ:
でもさ、それでも続けちゃう人いるじゃん
ミカコ:
いるね
ユキノ:
いるいる
ユキノ:
「そのうち変わるかも」って思っちゃうのよ
ナナ:
あー…それ一番ダメなやつ
ミカコ:
期待ね
ユキノ:
でもね
ユキノ:
最初に決めた関係って、そんなに簡単に変わらないのよ
ナナ:
現実きた
ミカコ:
だからこそ
ミカコ:
軽い恋って、軽く終わる覚悟が必要なんだと思う
軽い恋のつもりが重くなる瞬間

ナナ:
でもさ、結局こういうのってどっちかが本気になった時点で終わりじゃない?
ミカコ:
終わりというか、形が変わるね
ユキノ:
うん、そこが一番難しいところ
テーブルの上の赤ワインがゆっくりと揺れる。 軽いはずの話題なのに、少しだけ空気が深くなる。
ナナ:
軽い感じで始めたのに、気づいたら好きになってるやつでしょ
ミカコ:
よくあるパターン
ユキノ:
しかもそれってだいたいどっちかだけなのよ。同じタイミングで本気になることって、ほとんどないから
ナナ:
あー…片方だけね
ミカコ:
で、本気になった側が苦しくなる
ナナ:
「こんなはずじゃなかった」ってなるやつね
ユキノ:
そうそう。最初に「軽い関係でいいよね」って言ってる分、余計に言い出せないのよ
ミカコ:
ルールに縛られる
運ばれてきたチーズをナナがつまむ。軽い香りの白ワインが、さっきより少しだけ苦く感じる。
ナナ:
でもさ、それってズルくない?好きになっちゃった側だけ損するじゃん
ユキノ:
損というか…最初に軽さを選んだのも自分だからね
ナナ:
うわ、それ厳しい
ミカコ:
でも現実。カジュアルな関係って最初からリスク込みだから
ナナ:
まぁそうか。でもさ、それでも続けちゃう人いるじゃん
ミカコ:
いるね
ユキノ:
いるいる。「そのうち変わるかも」って思っちゃうのよ
ナナ:
あー…それ一番ダメなやつ
ミカコ:
期待ね
ユキノ:
でもね、最初に決めた関係って、そんなに簡単に変わらないのよ
ナナ:
現実きた
ミカコ:
だからこそ、軽い恋って、軽く終わる覚悟が必要なんだと思う

カジュアルな恋が向いてる人・向いてない人
ナナ:
でもさ、結局カジュアルな恋って向いてる人と向いてない人いるよね
ミカコ:
いるね。むしろそこが一番大事
ユキノ:
うん、同じことしても全然結果変わるから
ワインを一口飲んで、ユキノが少しだけグラスを回す。さっきまで軽かった空気に、ほんの少しだけ現実味が混ざる。
ナナ:
じゃあさ、どんな人が向いてるの?
ミカコ:
まず前提として、感情と距離を取れる人
ナナ:
あーそれ無理な人いるわ
ミカコ:
好きになりそうだなって思ったら、ちゃんと一歩引ける人
ミカコ:
それができないと崩れる
ユキノ:
あとね、相手に期待しすぎない人
ナナ:
それ難しくない?
ユキノ:
難しいよ。でもカジュアルな関係って、最初から“責任が軽い関係”だから
ユキノ:
そこに普通の恋愛の期待持ち込むと、しんどくなる
ミカコ:
だから向いてない人は逆にわかりやすい
ナナ:
どんな人?
ミカコ:
すぐ好きになる人
ナナ:
あたしじゃん
ミカコ:
知ってる
ナナ:
うるさい
ユキノ:
でもそれって悪いことじゃないよ
ユキノ:
ちゃんと人を好きになれるってことだから
ナナ:
フォローありがとう
ミカコ:
ただそのタイプは、カジュアルな恋はやめたほうがいい
ミカコ:
自分が傷つく確率が高いから
ナナが苦笑しながら、オリーブをひとつ口に運ぶ。 軽いはずの話なのに、妙に納得してしまう自分がいる。
ユキノ:
あとね、これは大事なんだけど
ユキノ:
自分がどっちのタイプか分かってる人は強い
ナナ:
あー、それはわかる
ミカコ:
無理して合わせないってことね
ユキノ:
そう。恋愛って自由だけど、向き不向きはちゃんとあるから
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30代の恋はどこまで自由でいい?
ナナ:
でもさ、30代になると逆に思うんだよね。恋愛ってもっと自由でよくない?って
ミカコ:
自由でいいとは思うよ。ただ、自由って便利な言葉だからね
ユキノ:
うん。自由って、なんでもしていいってことじゃないのよね
店の奥では、ワインボトルを開ける小さな音がした。テーブルに残った前菜をつまみながら、三人の会話は少しずつ深いほうへ寄っていく。
ナナ:
あたしが言いたいのはさ、30代だからちゃんとしなきゃとか、結婚前提じゃなきゃダメとか、そういう空気に縛られなくていいんじゃないかってこと
ミカコ:
それはわかる。年齢だけで恋愛の形を決める必要はないし、30代だからこうあるべきって発想は、もう古いと思う
ユキノ:
そうだね。実際、いろんな形があるし、正解が一つじゃないのは本当だと思う
ナナ:
でしょ?だからカジュアルな恋だって、別に悪いことじゃないじゃんって思うのよ
ミカコ:
悪いことではないよ。でも、自由に見える恋愛ほど、自分の気持ちに無自覚だと危ない
ナナ:
出た、ミカコの現実
ミカコ:
だってそうでしょ。軽い関係のつもりで入っても、自分が何を求めてるか分かってなかったら、あとで苦しくなるのは自分だから
ユキノ:
それはほんとにある。自由って楽そうに見えるけど、ちゃんと自分で選んでる感覚がないと、流されるだけになっちゃうんだよね
ナナ:
あー…それはちょっとわかるかも。自由にしてるつもりが、相手に合わせてただけとかあるもんね
ユキノ:
あるある。だから30代の恋って、若い頃より自由でいいけど、そのぶん自分で責任を持つ恋になるんだと思う
ミカコ:
いい言い方するね
ユキノ:
まぁ、一回いろいろ経験するとね。軽い恋でも、ちゃんと自分で選んでるならいいの。でも、本当は寂しいのに平気なふりしてるとか、本気なのに軽い顔してるとか、そういうのはしんどい
ナナ:
刺さるわぁ
ミカコ:
結局そこだね。どんな恋愛をするかより、自分に嘘ついてないかのほうが大事
ナナ:
じゃあ30代の恋は、自由でいい。ただし自分の気持ちはごまかすなってことか
ユキノ:
うん、たぶんそれが一番近いと思う
カジュアルでもいい。でも自分に嘘つかないこと
ナナ:
なんかさ、ここまで話してると結局、カジュアルでも真剣でもどっちでもいい気がしてきた
ミカコ:
うん、形式はそこまで重要じゃないね
ユキノ:
大事なのはたぶん、どういう気持ちでやってるかだと思う
ワインを少しだけ飲み干して、ユキノがグラスをテーブルに置く。その仕草は落ち着いていて、でもどこか軽やかだった。
ナナ:
でもさ、カジュアルな恋ってちょっとカッコよく見えるじゃん?縛られてない感じというか
ミカコ:
わかる。でもあれって見え方の話だからね。中身が伴ってないとただの不安定な関係になる
ユキノ:
そうそう。自由っぽく見える恋って、実はちゃんと自分で選んでないと成立しないのよ。だから軽い恋をするなら、自分の気持ちにはちゃんと向き合ってたほうがいい
ナナ:
向き合うってどういうこと?
ユキノ:
本当はどうしたいのかってこと。寂しいのか、楽しいのか、この人を好きなのか、それともただ一緒にいるのがラクなのか、そこを曖昧にしたままだと後からズレる
ミカコ:
で、そのズレに気づいたときが一番しんどい
ナナ:
あー、それあるわ。あとから「あれ?これ違くない?」ってなるやつ
ユキノ:
そう。だからね、カジュアルでもいいのよ。全然いい。ただ、自分に嘘ついたまま続けるのが一番しんどいの
ミカコ:
結局そこに戻るね
ナナ:
じゃああれだね、軽い恋するならちゃんと自分の気持ち理解してないと危ないってことか
ユキノ:
うん、それともうひとつ。途中で気持ち変わったなら、ちゃんと変わったって認めることかな
ミカコ:
それできる人は強い
ナナ:
逆にそれできないとズルズルいくんだよね
ユキノ:
そう。だからカジュアルな恋って、軽く見えるけど、実はちゃんと自分を持ってる人じゃないと難しいんだと思う
恋は自由。でも、自分には正直に
ナナ:
なんかさ、今日はちょっと大人な話だったね
ミカコ:
ワインのせいじゃない?
ユキノ:
たまにはこういうのもいいよね
グラスに残ったワインを軽く揺らしながら、ナナが小さく笑う。店内のざわめきは相変わらず心地よく、さっきまでの会話が少しだけやわらかく溶けていく。
ナナ:
でもさ、結論これじゃない?恋は自由でいい
ミカコ:
うん、ただし条件付きね
ナナ:
出たよ条件
ミカコ:
自分の気持ちをごまかさないこと
ユキノ:
それが一番大事だと思う。カジュアルでも真剣でも、自分が納得してるならそれでいいのよ
ナナ:
納得ねぇ
ミカコ:
あとで後悔しない選び方ってこと
ユキノ:
そうそう。誰かに合わせた恋より、自分で選んだ恋のほうが絶対にいいから
ナナ:
いいこと言うじゃん
ミカコ:
今日はユキノ回だね
ユキノ:
たまにはいいでしょ
ナナがグラスを持ち上げる。さっきより少し軽い表情だった。
ナナ:
じゃあ最後にいきますか
ナナ:
自由な恋に
ミカコ:
乾杯
ユキノ:
自分に正直な恋に
カチン、と軽く響くグラスの音。
夜のワインバルには、今日も少しだけ大人な恋バナが流れていた。



