傷ついた心に、いちばん効くのは──おいしいごはん。
「こいこと。」で人気の料理対決シリーズ、第三弾のテーマは
『失恋したときに食べたい料理』。
「どうしてこんなに泣けるんだ」「もう食欲なんてない」──そんなときでも、そっと寄り添ってくれる“あったかい味”がある。
■今回のルール
- テーマに沿った料理を一品ずつ作る(気持ち重視)
- ただし、“ひと手間かけているけど、わりと簡単に作れる料理”であること
- 判定人+対戦者も試食して、コメント&勝敗を決定
- 勝者には、次回「好きな企画」を実現できる特別権が与えられる!
■今回の挑戦者
- ケンジ:男の包容力系ライター。経験と味で勝負。
- ミカコ:冷静かつ合理派。だけど料理では本気。
- リク:ロジカル男子の恋と料理の化学反応に注目。
■判定人はこちらの3人!
- 極飯味男(きわめし・あじお):味を極めし男。感想が独特。
- あじ子:おいしいと「ンマー!」と叫ぶタイプ。繊細な味覚と心を持つ判定人。
- ソウタ:前回の勝者として、今回は特別にゲスト判定人で参加。
三者三様の味と思いが交差する、ちょっと切なくてあったかい一戦が、今はじまる──。

ケンジの一皿|男の鶏だし雑炊
「ようするに…こういうとき、あったかいやつが一番だろ」
そう言ってケンジが選んだのは、鶏のうまみをぎゅっと閉じ込めた雑炊。
シンプルながら丁寧に作られた一杯は、まるで失恋で空っぽになった心を、優しく包み込むよう。
■なぜこの料理?ケンジの語り
「昔、別れ話のあと、なんも食いたくなくてな。でも腹は減る‥‥。で、仲間が作ってくれたのが、雑炊だった。それが涙出るほど沁みて…『ああ、こういうの染みるなぁ』って思ったんだよな」
「それ以来、失恋したときは雑炊。出汁がちゃんとしてると、それだけで泣ける」
■材料(1人前)
- ごはん:お茶碗1杯(冷やご飯でも可)
- 鶏もも肉:80g(皮は取る)
- 卵:1個
- 水:300ml
- 和風だし(顆粒):小さじ1
- 醤油:小さじ1/2
- 塩:少々
- 青ねぎ・刻み海苔:お好みで
■作り方
- 鶏もも肉は一口大に切り、軽く塩をふる。
- 鍋に水を入れて沸騰させ、鶏肉を加える。
- アクを取り、鶏肉に火が通ったら、だし・醤油を加える。
- ごはんを入れて軽くほぐし、中火で2〜3分煮る。
- 溶き卵を回し入れ、ふんわり火が通ったら火を止める。
- 仕上げに刻みネギや海苔を散らして完成。
■実食&コメント
リク:「この出汁、深いですね。鶏の脂と塩分のバランスが絶妙です…って、普通にうまっ」
ミカコ:「雑炊って、なんとなく弱ったときの食べ物ってイメージだけど…これは“芯がある”って感じ。胃じゃなくて、心が満たされる」
あじ子:「ん~~~~~……ンマー!! 何これ!うちの涙腺まで煮込んでくるのやめて!!」
極飯味男:「ふむ……雑炊とは、別れの余熱を吸った器である。悲しみの出汁が、やがて希望の湯気へと変わる…」
ミカコ:(それ、言いたいだけじゃん…)
笑いあり、涙ありの試食会。ケンジの雑炊が、静かに、けれど確かに心に沁みていた。
ミカコの「鮭のホイル焼き〜わさびバター仕立て〜」
ミカコが選んだのは、あったかくて香ばしい「鮭のホイル焼き」。でもそこに、ひとクセあるわさびバターを加えて、“優しさと刺激のミックス”に仕上げてきた。
なぜこの料理を選んだの?
「失恋ってさ、“いつもの景色がまるで違って見える日”って感じなのよ。何食べても味しない、でも人の優しさがやけに沁みるの。だからこそ、シンプルだけどちゃんと作った温かい料理を出したくて。で、わさびのピリッと感が“まだ終わってない私”を後押しする感じかな」
ミカコの思い出とこの料理
「昔、付き合ってた人にフラれて泣きながら料理してたら、なぜか火加減を間違えて焦がしたの。でもね、その焦げ目が妙に香ばしくて、すごくおいしかったの。なんか、“失敗の中にこそ、旨味がある”って思ったな。その時以来、ホイル焼きは私の“再起の味”になったのよ」
作り方(読者向けレシピ)
- 生鮭の切り身(1切)に軽く塩を振り、10分ほど置いて水気を拭く
- アルミホイルにスライス玉ねぎ、しめじ、にんじん、鮭を順にのせる
- わさび小さじ1、バター10g、醤油少々を混ぜてソースを作り、上にかける
- ホイルでしっかり包み、フライパンまたは魚焼きグリルで約15分蒸し焼きに
- 開けた瞬間の香りを楽しみながら、お好みでレモンをひと搾り
対戦相手・判定人の感想
リク:「わさびバターって聞いたときは正直ビビったけど、これ絶妙ですね。優しさと強さが一皿に詰まってる。ミカコさんっぽいです」
ケンジ:「うん、香りでまずノックアウトされた。鮭もふっくらしてて、心があったまる味だな。こいつは手ごわい」
極飯味男:「鮭は海の記憶、わさびは未練、バターは自己肯定感…うむ、これは“失恋した日の、自己救済定食”じゃな」
あじ子:「ンマーッ!これはンマいわ!!わさびが鼻に抜けた後、バターの優しさに包まれて、涙出そう」
ソウタ:「ん〜〜やさしい…でも芯がある味。なんか、ちゃんと前向けそうって思った。鮭、いいなあ…」
リクの「鶏むね肉のあんかけ親子丼」
リクが選んだのは、優しさのかたまり「親子丼」。でも、ただの親子丼じゃない。淡白な鶏むね肉をあんかけで包み込み、やさしさを“とろみ”で表現した一品だ。
なぜこの料理を選んだの?
「失恋って、心がカラカラに乾くような感覚があるんですよね。そんなとき、温かくて“しっとり優しい”ごはんが必要になると思って。親子丼って定番だけど、あんかけにすることで、さらに“寄り添う味”にできると思ったんです」
リクの思い出とこの料理
「前に付き合ってた子と、よく親子丼作ってたんです。別れたあと、その子のレシピを思い出しながら自分流に改良して、あんかけをプラスしたら、なんかすごく心に沁みて…。あの頃の思い出に、ちゃんと自分の味を重ねていけた気がしました」
作り方(読者向けレシピ)
- 鶏むね肉をそぎ切りにして、片栗粉を薄くまぶす
- だし汁・醤油・みりん・砂糖で味付けした煮汁に鶏を入れ、中火で煮る
- 溶き卵2個分を2回に分けて加え、ふんわり半熟に
- 別鍋でだし・醤油・みりんを温め、水溶き片栗粉でとろみをつけてあんを作る
- ご飯の上に親子丼をのせ、上からやさしくあんをかけて完成
対戦相手・判定人の感想
ミカコ:「とろみがもう、ね。言葉よりも“わかってくれる味”って感じ。すごくリクらしい」
ケンジ:「親子丼ってだけでホッとするけど、これは別格。あんかけで、まるで優しさに包まれたみたいだな……」
極飯味男:「鶏と卵は母と子。あんは時間。つまりこれは“時を越えて、心を包む飯”じゃな…」
あじ子:「ンマーッ!あんかけってだけで幸せだけど、これ、泣けるわ…。母性を感じる味ッ」
ソウタ:「すっごいやさしい…。とろみが気持ちまでやわらかくしてくれる気がした。鶏むね肉もふっくらで、なんか元気出た」
勝者は誰の手に?判定タイム!
3人の個性が溢れた“失恋飯”対決。いよいよ、判定人たちのジャッジが下される──!
判定人たちのコメント
極飯味男:「3人とも、それぞれの“失恋哲学”が料理に表れていた。味ではなく“心に響いた度”で選ぶなら…わしは、ミカコ殿の鮭じゃな。未練と再起が皿に混在しておった」
あじ子:「全部ンマすぎて決められないけど…感情ごと“包まれた”感じがしたのはリクの親子丼!もう、一口目で泣きそうだったわ」
ソウタ:「どれも大好きだけど……う〜ん……僕は、ケンジさんの雑炊かな。なんか、食べてて“全部受け止めてもらえる”気がした。出汁が沁みた…」
そして勝者は…ケンジ!
悩みを溶かし、涙すら包み込むような男の鶏だし雑炊。
その“包容力と優しさ”が判定人の心をつかみ、見事今回の勝者に輝いたのは──ケンジ!
寡黙な料理人の一杯が、今回のテーマ「失恋したときに食べたい料理」に、最も深く寄り添っていたと言えるでしょう。
まとめ:料理は、心を癒すラブレター
今回の対決は勝ち負け以上に、「料理が人の心に与える影響」を深く感じる時間となった。
失恋したときに、何を食べるか。どんな味に包まれたいか──それは、あなた自身の“心の再生”のヒントになるかもしれない。
3人の味をヒントに、自分だけの“癒しごはん”を見つけてみてください。