大人の“友達以上恋人未満”ってアリ?──心地よさと不安のあいだで揺れる関係

「友達以上恋人未満って、どう思います?」

そんな問いかけをしてきたのは、編集部にふらっと遊びに来たミカコの友人・シオリ。落ち着いた雰囲気だけど、どこか恋に不器用そうな彼女が、紙コップのコーヒーを持ったまま、ぽつりとこぼした。

聞けば、最近“ちょっと気になる相手”が職場にできたらしい。ただ、付き合ってはいない。でも毎日のやりとりが楽しくて、会えるのが密かな楽しみになっている。

──だけど、付き合うほどではない。
むしろ、きちんと恋人になってしまったら、この微妙な距離感が壊れる気がして怖い。

今回はそんなシオリの話をきっかけに、マリ・ナナ・ミカコと一緒に、「大人の“友達以上恋人未満”」の関係性について語り合ってみました。

あいまいで、心地よくて、でもどこか不安。
そんな“恋の手前”を、大人はどう捉えているのでしょうか。

目次

「付き合ってないけど、いい感じの関係」がちょうどいい?

シオリ:最近ちょっと気になってる人がいて……職場の人なんですけど。

マリ:あら、それは楽しそうね。

シオリ:そうなんです、毎日ちょっとした会話をするのが、なんか嬉しくて。でも、別に付き合いたいわけでもないんですよね。

ナナ:わかるわ〜!そういう人がひとり職場にいるだけで、朝の支度もはかどるってもんよ。

ミカコ:いい感じの距離ってことね。深入りしないけど、空気がやわらかくなる相手。

シオリ:そうそう。こっちから積極的に連絡するわけでもないし、向こうも恋愛っぽい話は全然してこないんですけど……なんとなく“通じ合ってる”感じがして。

ナナ:うんうん、その「なんとなく」の感じ、尊い。

マリ:気持ちを明確にしないからこそ、長く続いたりもするのよね。

ミカコ:むしろ下手に「私たち、どういう関係?」なんて言い出した瞬間に終わる可能性あるやつ。

シオリ:はい……だから何も聞けないまま、でも毎日ちょっと楽しみにしてるっていう。

ナナ:大人になるとさ、そういう“ちょっとのときめき”で充分だったりするのよね。

マリ:心にさざ波が立つだけで、少し毎日が明るくなる。

ミカコ:……まあ、恋愛として成立してるかは微妙だけどね。

関係が変わるのが面倒…って思うのはワガママ?

シオリ:わたし、たぶん本気で付き合いたいってわけじゃないんですよね。その人と。

ナナ:おっ、はっきり言ったね。

シオリ:だって、付き合うってなったら、いろいろ面倒じゃないですか。連絡頻度とか、会う頻度とか、期待されることも増えるし……。

ミカコ:それはわかる。恋人って“管理される関係”にもなりがちだから。

マリ:付き合う=幸せっていうのは、ある意味呪いよね。
実際には「付き合ったせいでうまくいかなくなる」パターンもよくあるし。

ナナ:そうなのよ。「正式に恋人になってから急に息苦しくなった」って話、山ほど聞く。

ミカコ:気楽だった関係が、義務になる。
たとえば「なんで返信遅いの?」って言われ始めた瞬間、全部が変わる。

シオリ:そうそう……その変化が怖いっていうか。 わたしは今のままで十分楽しいのに、相手が本気になったら、わたしもちゃんと応えないとって思ってしまいそうで。

ナナ:うん、付き合うって、そういう“責任感”みたいなものも乗っかってくるんだよね。

マリ:でもそれって、わがままとは違うと思うわ。
今の気持ちを大切にしたいっていうのも、十分に誠実な感情よ。

ミカコ:ただ、ずっと曖昧なままでいるってことは、“曖昧なまま終わる可能性”も受け入れるってことだけどね

シオリ:……それは、ちょっと怖いですね。

ナナ:うん。でも、そこも含めて「今がいい」って思えるなら、それでいいのかも。

マリ:“恋人未満”の心地よさと、“恋人になることのリスク”。
どっちを選ぶかは、自分の中の優先順位次第よね。

大人になってからの恋は“白黒つけない”が正解?

シオリ:でもやっぱり、たまに思うんです。「この関係、何なんだろう」って。

ナナ:あるある。
でも、聞いたら終わりそうで聞けないんだよね?

シオリ:はい。もし向こうが「なんとも思ってないよ」って言ったら、たぶんすごく落ち込むと思うし、逆に「付き合いたい」って言われたら、それはそれで困るかも……。

マリ:白黒つけるのが誠実だって言う人もいるけど、大人になると、グレーの優しさもあると思うの。

ミカコ:うん、必ずしも結論が必要なわけじゃない。
“関係性に名前をつけない”ことで保たれるバランスもある。

ナナ:若い頃は「好きなら告白する」「曖昧はダメ」って思ってたけどさ、今はその曖昧さがちょうどよかったりするんだよね。

シオリ:でも、周りには言いづらくて……。「どうせ都合よく使われてるだけだよ」とか言われたくなくて。

ミカコ:外から見たらそう見えるかもしれない。でも、自分が満足してるなら、それで十分だと思う

マリ:“幸せ”って、他人の基準で測るものじゃないもの。

ナナ:あとね、「どうせ進まないんでしょ?」っていう冷めた見方もあるけど、
本人がちゃんと考えてその関係を選んでるなら、それはもう立派な恋よ。

シオリ:……なんか、ちょっと救われました。

ミカコ:モヤモヤしてても、楽しいって思えてるなら、全然あり。

マリ:恋って、白か黒だけじゃないのよね。 むしろ、その“間の色”にこそ、人の気持ちがにじむのかもしれないわ。

でもやっぱり、どこかで終わりがくる?

シオリ:でも…こういう関係って、どこかで終わる気もしちゃうんですよね。

ナナ:うん、続けようと思っても、環境とかタイミングで勝手に終わっちゃうこと、あるよ。

マリ:彼が異動になったり、恋人ができたり、あるいは自分が気持ちに疲れてしまったりね。

ミカコ:恋人未満の関係って、曖昧だからこそ“区切り”がないのよ。
始まりがないぶん、終わりも見えない。気づいたら自然消滅してた、ってよくある話。

シオリ:それがちょっと怖いです。
“恋人じゃなかったから”、思い出にもなれない気がして。

ナナ:なれるよ。むしろ、恋人じゃなかったからこそ、すごく心に残る人になるってこと、ある。

ミカコ:片思いとか、曖昧な関係って、
「ちゃんと形にならなかったもの」だからこそ、美化されるんだよね。

マリ:たとえ終わっても、その人とのやりとりが、あなたの毎日を楽しくしてたなら、
それは確かに、ちゃんと“恋”だったんじゃないかしら。

シオリ:……そう言ってもらえると、なんだか報われた気がします。

ナナ:でもまあ、未練の残りすぎにはご注意ってことで(笑)

シオリ:はい、肝に銘じます(笑)

結論:大人の“友達以上恋人未満”は、成立する

マリ:きちんと付き合うことだけが、恋の正解じゃない。
私たち、大人になってようやくそのことを受け入れられるようになったのかもしれないわね。

ナナ:うん。“幸せそうに見える形”じゃなくて、“自分が心地いい形”を選べるようになったってことかも。

ミカコ:ルールに当てはめるより、“今、自分の気持ちはどうか”を優先する。それも大人の恋のひとつの形よね。

シオリ:そうですね。
答えがなくても、関係に名前がなくても……わたしがちゃんと幸せだと思えるなら、それでいいのかもしれない。

マリ:大人の“恋人未満”は、成立する。
たとえ曖昧でも、気持ちが動いたこと自体が、ちゃんと意味のあることだから。

ナナ:むしろ、その“あいまい”がいちばんリアルだったりするんだよね、恋ってさ。

ミカコ:さて、そろそろ本日の編集部トークは終了かな。
シオリ、また話したくなったら、いつでも来なよ。

シオリ:ありがとうございます。また聞いてくださいね。

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