「お酒って、やっぱりやめたほうがいいの?」
最近、そんな声をよく聞きます。
アルコールは健康にプラスはない。
少量でもリスクはゼロではない。
がんや生活習慣病との関連も指摘されている。
事実だけを見れば、飲まないのが最適解なのかもしれません。
でも。
仕事終わりの一杯に救われた夜は?
どうしようもなく落ち込んだ日に、少しだけ気持ちを軽くしてくれたグラスは?
お酒は、本当に“悪”なのでしょうか。
それとも、ただの“使い方”の問題なのでしょうか。
今回は、こいこと。編集部で実際に起きた出来事をきっかけに、飲酒と健康、そして心のバランスについて考えます。
- アルコールは本当に体に悪いのか?
- 少量なら問題ない?
- やめるべき人と、そうでない人の違いは?
全肯定もしない。
でも、全否定もしない。
大人の飲み方について、少しだけ真面目に向き合ってみます。
二日酔いのケンジ

朝の編集部。
ドアが静かに開いた。
「……おはよう」
低く、かすれた声。
入ってきたのはケンジだった。
ネクタイはゆるく、目は半分閉じかけている。
手にはブラックコーヒー。氷なし。
ミカコが一瞥する。
「また飲みすぎた?」
ケンジは椅子に腰を落としながら、苦笑いした。
「いや、飲みすぎってほどじゃない。ちょっとな」
ちょっと、のわりには顔色が悪い。
ミユが心配そうに近づく。
「大丈夫?顔、死んでるけど」
「死んでねえよ。昨日ちょっと、深酒になっただけだ」
ソウタがぽつりと言う。
「でもさ……最近、お酒って健康にプラスないってよく見るよね」
部屋の空気が、少しだけ止まった。
ケンジはコーヒーを一口飲む。
苦い顔をしながら、低く言った。
「健康にいいか悪いかだけで生きてたら、息もできねえよ」
ミカコが腕を組む。
「飲むのはいい。でも、次の日に引きずる飲み方はダメ」
「説教かよ」
「現実」
少しだけ、沈黙。
ケンジは、視線を落とした。
「……酒がなきゃ、越えられない夜もあるんだよ」
冗談めかした口調だった。
でも、ほんの少しだけ、本音が混ざっていた。
その日の午後。
編集部では、自然と“飲酒”についての話題が広がっていった。
飲酒は悪か、それとも“道具”か?──編集部座談会
二日酔いケンジ騒動のあと、編集部では自然と“飲酒”についての話題が広がった。
ケンジ:悪かったな。飲みすぎたのは反省してる。でもよ、酒が全部悪いって風潮は、なんか違う気がしてな。
マリ:わかるわ。最近は“お酒=悪”みたいな論調も強いけど、全部を一括りにするのは乱暴よね。
ミカコ:私は飲むけど、酔って人に迷惑かける人は嫌い。それだけ。酒そのものより“使い方”の問題でしょ。
ミユ:あたしも飲むけど、なくても生きていける派。でもさ、「健康にプラスはない」って言われると、ちょっと寂しくはなるよね。
ワニオ:アルコールは、医学的には明確な健康メリットは確認されていません。ですが、人間は“生理的最適化”だけで生きているわけではありません。
ケンジ:ほら来た、理屈ワニ。
ワニオ:酒は栄養ではありません。しかし“緊張をほどく儀式”として機能している場面は多い。つまり、身体には不要でも、社会的には機能しているケースがある、ということです。
マリ:そうね。仕事終わりの一杯が、気持ちの切り替えになってる人は多いわ。
ミカコ:でもそれ、依存と紙一重じゃない?「これがないと無理」ってなったら危険。
ミユ:たしかに。ストレス解消が“お酒しかない”はちょっと怖いかも。
ワニオ:問題は“量”ではなく、“依存度”です。酒を飲むことが目的になると危険。酒を“きっかけ”に会話や休息が生まれるなら、まだ健全と言えるでしょう。
ケンジ:……つまり俺は昨日、目的が酒になってたってことか。
ミカコ:そういうこと。
マリ:飲むなら、“自分を壊さない範囲”よね。
ミユ:お酒って、敵でも味方でもなくて、ただの道具なのかも。
ワニオ:ええ。包丁も料理に使えば有益、振り回せば凶器。アルコールも同様です。
ケンジ:ワニ、たまに怖い例え出すよな。
編集部に小さな笑いが広がる。
飲酒は健康のためではない。だが、誰かの心を少しだけ軽くする夜もある。
否定も肯定もしない。ただ、“どう付き合うか”。
その問いが、ゆっくりとテーブルの上に残った。
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BAR恋古都で学ぶ“大人の飲み方”
夜のBAR恋古都。
カウンター越しに、柔らかい灯りがグラスを照らしている。
ケンジ:……今日は、ゆっくり飲むわ。
マリ:あら珍しい。反省中?
ケンジ:反省中だ。昨日みたいに“酔うために飲む”のは違うなってな。
マリは静かにワインを回す。香りを確かめるように、ほんの少しだけ。
マリ:お酒はね、酔うためのものじゃないの。時間を味わうためのものよ。
ケンジ:時間を味わう、か。かっこいい言い方するな。
マリ:だってそうでしょ?一杯目でガブガブいったら、会話も夜も飛んでしまうわ。
ケンジはグラスを持ち上げる。
ケンジ:今日は二杯までにしとく。
マリ:えらいじゃない。
ケンジ:“自分を壊さない範囲”だろ?編集部で言われたからな。
マリ:それが大人よ。
しばらく沈黙が流れる。
静かなジャズと、氷が溶ける音だけが響く。
ケンジ:正直さ、酒に救われた夜もある。
マリ:私もあるわ。
ケンジ:でも、酒がないと無理って状態にはなりたくない。
マリ:ええ。お酒は“支え”じゃなくて、“彩り”。
ケンジは小さくうなずく。
ケンジ:健康にプラスはないかもしれない。でも、人生にプラスになる瞬間はある。
マリ:その瞬間を、ちゃんと自分でコントロールできるならね。
二人はグラスを軽く合わせた。
──音は小さく、夜は穏やかに。
飲酒を全肯定もしない。悪とも決めつけない。
大事なのは、“飲み方を選ぶこと”。
お酒に飲まれない。
誰かに迷惑をかけない。
次の日を犠牲にしない。
それが、こいこと。編集部が辿り着いた“ちょうどいい距離感”。
BAR恋古都の灯りは、今夜も静かに揺れている。
まとめ──お酒との向き合い方
・アルコールに健康的メリットはほぼない
・しかし、心の緊張をほどく“儀式”として機能することはある
・問題は量ではなく依存度
・「酔うために飲む」から「時間を味わう」に変える
お酒は敵でも味方でもない。
ただの“道具”。
どう使うかは、自分次第だ。



