こいこと。編集部で、珍しく静かな時間が流れていた。
原稿の締め切りがひと段落し、コーヒーを片手にそれぞれが雑談している中、
ふとした流れで恋の話になった。
ミユ「ねえ、ちょっと重い話していい?」
その一言に、視線が集まる。
ミユ「もしさ、好きな人に“好きな人がいる”って知ったら、みんなならどうする?」
一瞬、空気が止まった。
ミカコ「……あるあるだけど、いちばん来るやつね」
リク「状況としては、かなり多い悩みです。
検索でも『好きな人に好きな人がいる』って、よく見かけます」
マリ「頭ではわかってるのに、
気持ちが全然追いつかないのよね」
諦めたほうがいいのか。
まだ何かできるのか。
それとも、このまま好きでいていいのか。
正解がひとつじゃないからこそ、
この話題は、誰にとっても少しだけ胸に引っかかる。
こうして編集部では、
「好きな人に、好きな人がいるとき」についての、
静かで正直な座談会が始まった。
好きな人に好きな人がいるとき、まず起きる気持ち
ミユ「聞いた瞬間さ、頭が一回フリーズしない?
“あ、終わったかも”って思うのに、全然気持ち切り替えられないやつ」
マリ「わかるわ。
ショックなのに、同時に“でもまだ何もしてないし…”って、
希望みたいなものも残っちゃうのよね」
リク「その状態って、
事実と感情がまだ整理できていない段階なんだと思います。
『好きな人がいる』という情報だけで、
“もう無理だ”って結論を出すのは、少し早いケースも多いです」
ミカコ「でもさ、頭でそう思っても、
感情はそんなに素直じゃないのよ。
期待したい気持ちと、傷つきたくない気持ちが同時に来る」
ミユ「そう!
“諦めたほうがいいよね”って言いながら、
心のどこかでワンチャン探してる感じ」
マリ「それって、悪いことじゃないと思うわ。
好きになった気持ちは、簡単に消せるものじゃないもの」
リク「大事なのは、
“まだ好きでいる自分”を責めすぎないことですね。
この段階で無理に答えを出そうとすると、
逆に気持ちがこじれやすい」
ミカコ「つまり、
最初は混乱して当然ってこと。
冷静になれない自分を、異常扱いしなくていい」
好きな人に、別の好きな人がいる。
その事実は確かにしんどいけれど、
最初に起きるこのぐちゃっとした感情は、
多くの人が通る、ごく自然な反応なのかもしれない。
それって本当に「脈なし」なの?
ミユ「でもさ、
好きな人が“他に好きな人いる”って聞いたら、
やっぱ脈なし確定って思っちゃわない?」
ミカコ「思う思う。
正直、そこで一気に心折れる人、多いよね」
リク「気持ちはわかります。
ただ、ここで一度整理したいのが、
“好きな人がいる”=“誰とも可能性がない”ではない、という点です」
ミユ「え、どういうこと?」
リク「たとえば、
・片思い中で進展していない
・相手がすでに恋人かどうかは不明
・“気になってる”程度の好き
このどれかの場合も、“好きな人がいる”って表現されがちです」
マリ「確かにね。
“大好きで一途”なのか、
“なんとなく気になる人がいる”のかで、
全然状況は違うわ」
ミカコ「ただし。
ここで都合よく解釈しすぎるのも危険よ。
“まだ可能性あるかも”を支えに、
自分をすり減らすパターンも多い」
ミユ「あー……それ、耳が痛い」
リク「なので大事なのは、
事実と想像をちゃんと分けることですね。
・相手は何を言ったのか
・自分は何を想像しているのか
この2つをごちゃ混ぜにしない」
マリ「“脈なしだ”って決めつけるのも、
“絶対いける”って思い込むのも、
どっちも自分を守ってない気がするわ」
ミカコ「そう。
だからこの段階では、
白黒つけなくていいって覚えておくのが大事」
好きな人に好きな人がいる。
それは確かに一つの事実だけれど、
それだけで未来まで決まるわけじゃない。
必要なのは、希望でも絶望でもなく、
一度立ち止まって状況を見ることなのかもしれない。
それでも好きな気持ちが消えないとき、どうする?
ミユ「理屈はわかったけどさ、
正直、好きな気持ちってそんな簡単に消えなくない?」
マリ「消えないわよ。
消そうとするほど、逆に強くなることもある」
ミカコ「“忘れなきゃ”って思った瞬間に、
頭の中その人だらけになるやつね」
リク「なので、この段階で大事なのは、
気持ちを消すかどうかより、
どう扱うかだと思います」
ミユ「扱う?」
リク「はい。たとえば、
・このまま好きでいても自分は耐えられるか
・相手の恋の話を聞いても平気か
・期待しすぎていないか
こういう自分側の限界を考える」
マリ「相手がどうするかより、
自分がどうなってしまうかを見るのね」
ミカコ「それ大事。
“まだ好きでいたい”って選択もアリだけど、
自分をすり減らしながら続ける恋は、だいたい長持ちしない」
ミユ「好きでいる自由はあるけど、
苦しむ義務はない、ってことか」
リク「そうですね。
好きなままでいるのも、距離を取るのも、
どちらも自分を守る選択であって、
正解・不正解ではありません」
マリ「“どうしたらうまくいくか”より、
“どうしたら自分が壊れないか”。
そこを基準に考えていいのよ」
好きな気持ちが残っていること自体は、悪くない。
大切なのは、
その気持ちを抱えたまま、どこまで行けるかを、
自分でちゃんと見極めることなのかもしれない。
「好きな人に好きな人がいる」それでも、あなたの恋は無駄じゃない
ミユ「なんかさ、
“報われない恋”って言葉、ちょっと冷たくない?」
マリ「ええ。
好きだった時間まで否定されるみたいで、いやよね」
リク「恋の結果だけを見ると、
“うまくいかなかった”になるかもしれません。
でもその過程で考えたこと、感じたことは、
確実にその人の一部になっています」
ミカコ「好きな人に好きな人がいる状況って、
自分の感情と向き合わされるから、
正直めちゃくちゃ消耗する」
ミカコ「でもね、
“誰かを本気で好きになれた自分”を知るのって、
あとあと効いてくるのよ」
ミユ「わかる。
この気持ちを知ってると、
次に誰かを好きになったとき、ちょっと強くなってる」
マリ「だからね、
諦めてもいいし、好きでい続けてもいい。
どちらを選んでも、あなたは間違っていない」
リク「大切なのは、
“相手に選ばれるか”より、
自分が自分を大切にできているかだと思います」
好きな人に、好きな人がいる。
それはつらい現実だけど、
その恋があなたの価値を下げることはない。
むしろ、
誰かを真剣に想えた経験は、
次の恋で、あなたをちゃんと支えてくれる。
この恋がどこに辿り着くとしても、
あなた自身だけは、置き去りにしなくていい。



