ソウタ– tag –

絹ヱに蝕まれる ──朝起きたら、天井に“きぬゑ”って書いてあった。 「……なんだ、ぼくが書いたのか？」 ソウタは額に汗を浮かべながら、スマホの画面を見た。履歴には『絹ヱの語源』『絹ヱのやり方』『絹ヱにされた芸能人一覧』など、身に覚えのない検索ワー...

その日、ミユの記事に奇妙な一文が混ざっていた。 ──「わたしは絹ヱに行きたい。できるなら、絹ヱで恋がしたい。」 編集部の誰も、その言葉にツッコまなかった。ミユ自身も、そんな文章を書いた覚えがないと言う。 「え？そんなこと書いたっけ？　うそー、...

静かな夜。編集部の帰り道にあるバー「恋古都（こいこと）」には、変わらぬ灯りがともっている。 木のカウンターにそっと置かれたグラス。ジャズが低く流れる空間に、ケンジとマリ、そしてソウタが並んで座っていた。 ケンジ：「……ここはさ、何も言わなく...

好きになったら、なかなか忘れられない。「もうダメかもな」と思っても、心のどこかでまだ何かが動いてて、それを“やめる”って、ぼくにはどうしてもできない。たぶん、ぼくが片思いをやめられないのって、恋が「叶うかどうか」だけじゃなくて、「その人を...

好きな人って、なんであんなに話しかけづらいんだろうね。 ふつうに友達としゃべるのは平気なのに、 その人の前に立つと、喉の奥がぎゅっと詰まる。 目は何回も追っちゃうし、声も聞きたいし、 できれば話しかけたいのに──できない。 もどかしい気持ち、す...

一目惚れって、ちょっと不思議な恋の始まり方だよね。 名前も知らない、話したこともない。でも、心が一瞬で引き寄せられて、なぜか気になってしまう。その感覚は、まるで風がふわっと吹いた瞬間に気づいた“春の匂い”みたいな。 一目惚れは、恋の入り口 「...