恋人を紹介するって、ちょっと照れるよね──リクがミサキを連れてきた日【リクの恋日記番外編】

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今日は紹介したい人がいて──

「ごめん、ちょっと遅れた!」
リクが手を上げて現れたとき、隣には初対面の女の子がいた。
やわらかい色のワンピースに、控えめな笑顔。けれど目はまっすぐで、どこか芯の強さを感じる子だった。

「あれ?リクくんの彼女ってこの子?」
ミユが少し目を丸くする。
「うん。ミサキって言います。今日は、みんなに紹介したくて連れてきたんだ」
「はじめまして。ミサキです。……こいこと。の皆さんに会えるなんて、ちょっと夢みたいです」
「おお、しっかりしてるな〜」とナナが笑いながら立ち上がる。

「紹介ありがと、リク。ミサキさん、よろしくね」
マリがやさしく差し出した手を、ミサキは少し緊張しながら握った。
「あたしもミサキちゃんに会えてうれしいよ!彼女ってどんな子かずっと気になってたの〜」
アカリが声を弾ませると、場の空気がふっとやわらいだ。

「こいこと。って、あたたかいですね……」
そうつぶやいたミサキの声に、みんなが自然と微笑んだ。

恋人を、親しい人に紹介する?

「じゃあ今日はせっかくだし、軽くテーマトークでもする?」
ナナの提案に、みんながうなずく。

「最初のテーマは“恋人を親しい人に紹介するかどうか”。まさに今日のリクくんみたいなシチュだね〜」
ミユが笑いながら言うと、リクが照れくさそうに頭をかいた。

「俺は……紹介したいと思うよ。自分の大事な人を、信頼してる人たちに知ってもらいたいって気持ちがあるから」
「わかるかも。うちも紹介されると、ちゃんと“彼女”なんやって実感するし」
アカリがポンと手を叩いて共感する。

「ミサキはどうだった?今日こうしてみんなに会ってみて」
ユウトの問いに、ミサキは少し目を伏せてから微笑んだ。
「……うれしいよ。ちょっと緊張もしたけど。リクが自分の大事な人たちとつないでくれたって思うと、ほんとにあたたかくなります」

「いい子じゃん、ミサキちゃん」
ナナが笑いながら言うと、リクは少し照れくさそうに「でしょ?」とつぶやいた。

恋人に求めてしまうものって?

「次のテーマは、“恋人に求めてしまうもの”だってさ」
ミユがスマホを見ながら口にする。座談会らしく、ちゃんとテーマを用意してきたらしい。

「んー、私は安心感かな。どんなに忙しくても、ちゃんと気にかけてくれる人って安心できる」
マリがゆっくり言葉を選ぶように話すと、みんなが頷いた。

「わたしは…ちょっとした気遣いがある人かな。道を歩くときに車道側を歩いてくれるとか。そういうさりげない優しさって、染みるんですよね」
ミサキが少しだけ照れたように言う。
「ミサキさん、リクくんにやってもらった?」
ミユがからかうように言うと、ミサキは「……はい」と笑った。

「あ、うちも優しさはポイント高い!」
アカリが勢いよく言ってから、言葉を続ける。
「見返りとか考えずに、素直に人に優しくできる人って、かっこいいと思うな」

「僕は、価値観が合うかどうかかな。一緒にいても無理しなくていいって思える人がいい」
ユウトの穏やかな声に、場の空気が少し静まる。

なんか、もう仲間みたい

トークテーマもひと段落して、場の雰囲気はすっかり穏やかに。
誰かが頼んだスイーツを回しながら、ゆるいおしゃべりが続いていた。

「ミサキちゃん、今日は来てくれてありがとね」
ミユが柔らかく笑いながら言うと、ミサキは両手でカップを持ちながら小さくうなずいた。

「こちらこそ、皆さんに会えて嬉しかったです。こいこと。の記事、ずっと読んでました。ミユさんの妄想コラムとか、マリさんの言葉の選び方とか…憧れてて」
「え、うち!?やば…!なんか照れる!」
アカリが声を上げてはにかむと、周囲に笑いが起きた。

「そっか、ミサキは読者だったんだよね」
ナナがコーヒーを飲みながら言う。
「最初はリク目当てかと思ったけど、こいこと。のファンでもあったんだ」
「あ…その、はい…」
少し頬を染めるミサキに、誰もが微笑んだ。

「なんか、もう仲間みたいだよね」
マリが静かにそう言ったとき、ミサキは驚いたように顔を上げた。
「わたしが…?」
「うん。今日の会話、自然だったし、なにより楽しそうだったから」
リクも微笑んでうなずく。

「また、座談会とか遊びに来てよ」
アカリが満面の笑顔で言うと、ミサキは小さく笑った。 「…ありがとうございます。よければ、またぜひ」

また一緒に話そう

恋人を紹介するのって、ちょっと照れくさくて、ちょっと誇らしくて。
そんな気持ちがテーブルを囲むみんなの表情に、自然と表れていた。

ミサキが加わることで、会話は新しい風をまとい、温かく優しい時間になった。
こいこと。のメンバーたちも、彼女のまっすぐな言葉に触れて、どこか少し嬉しそうだった。

きっとまた、こんなふうに話せる。
そんな予感を残して、今夜の「コンタクト会」はそっと幕を閉じた。

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