「あいつが悪い」「環境が悪い」「タイミングが悪い」——。
誰かの口からそんな言葉が出たとき、あなたはどう感じるだろうか。
今回の編集部座談会のテーマは「他責思考の人」。
自分ではなく、他人や環境のせいにする思考は悪いことなのか。それとも、人間らしい防衛本能なのか。
ケンジ、ミカコ、ミサキ、ソウタ、そしてワニオ。クセの強い5人が、少し本音多めで語り合う。

なんでも人のせい?それとも自然な心の動き?
ケンジ:最近さ、「全部あいつのせいなんだよ」って言ってる若いのがいてな。ちょっと考えさせられたんだよ。
ミカコ:他責思考ね。恋愛でも仕事でも、わりとよく見るパターン。
ミサキ:いるわよね。“わたしは悪くない”がデフォルト設定の人。アップデート不可って感じ。
ソウタ:でもさ…責められたくない気持ちも、ちょっとわかる気がするんだよな。
ワニオ:ワニは基本、水のせいにします。
ケンジ:いやどういうことだよ。
ワニオ:流れが悪かった、と。
——笑いが起きる編集部。
けれどその冗談の裏に、意外と本質が隠れているのかもしれない。
他責思考は単なる逃げなのか。それとも、誰にでもある心のクセなのか。
ここから本題に入っていこう。
AmazonのオーディオブックAudible他責思考あるある──恋愛と仕事の現場から

ケンジ:まずさ、恋愛で一番わかりやすいのは「相手が悪い」ってやつだよな。「俺はちゃんとしてたのに振られた」とか。
ミサキ:ああ、それ。“ちゃんとしてた”の定義がだいたい本人基準なのよね。相手の基準は見てない。
ミカコ:仕事でも同じ。「上司が無能だから評価されない」「会社の方針が悪いから成果が出ない」。環境要因をゼロにするのは無理だけど、全部そこに寄せるのは危険。
ソウタ:でもさ、自分が悪いって思い続けるのもキツくない? なんか、自分を守るために外に向けちゃうこともある気がする。
ワニオ:ワニの世界では、失敗したときは「地面が滑った」と言います。
ケンジ:お前の世界、反省ゼロか。
ワニオ:ただし三回続いたら、自分の足を疑います。
ミカコ:それよ。問題は一回目じゃなくて、繰り返すかどうか。
他責思考の厄介なところは、「一時的な逃げ」と「思考のクセ」の境目があいまいなことだ。
ミサキ:被害者ポジションって、楽なのよ。責任を持たなくていいから。でもその位置に長居すると、成長しない。
ケンジ:昔な、バンドやってたときもいたよ。「客が悪い」「箱が悪い」「時代が悪い」。でもな、売れてるやつは大体、自分の未熟さも認めてた。
ソウタ:うーん…なんか耳が痛いな。
ワニオ:ワニは痛みを感じにくいですが、学習はします。
ミサキ:急に進化論みたいなこと言うのやめて。
他責は完全な悪ではない。ただ、そこで止まるかどうかが分かれ道なのかもしれない。
LOLIPOPなぜ人は他責になるのか?防衛か、甘えか
ミカコ:他責って、ある意味“自己防衛”なのよ。自分を守るための思考回路。プライドが傷つくのを防ぐ。
ソウタ:ああ…なんかそれわかる。自分が悪いって思うと、存在ごとダメって言われた感じになるときある。
ケンジ:でもな、そこで逃げ癖つけると、ずっと同じ場所だぞ。
ミサキ:他責が上手い人って、“物語”を作るのよね。「わたしは悪くない、世界が理不尽」ってストーリー。本人は本気で信じてる。
ワニオ:ワニは物語を作りません。事実だけを積み上げます。
ミサキ:いや、あなたさっき地面のせいにしてたわよ。
ワニオ:あれは演出です。
ミカコ:ただね、全部自責も危険よ。何でもかんでも自分が悪いって思う人もいる。それはそれで歪む。
ケンジ:そうだな。自責100%も他責100%も、どっちも極端だ。
ソウタ:じゃあ…ちょうどいい割合ってあるのかな。
ワニオ:ワニの黄金比は、3割外部、7割自分です。
ミサキ:急にそれっぽい数字出すのやめなさい。
けれど、誰も完全には否定しない。
他責になる瞬間は、誰にでもある。
問題は、その後どうするかだ。
ミカコ:「相手のせい」と思ってもいい。でも、そのあと“自分にできることは何か”を一回考える。それだけで違う。
ケンジ:責任を取るってのは、自分を責めることじゃない。選択肢を取り戻すことだ。
ソウタ:…それ、なんかいいな。
ワニオ:選択肢がある生き物は、強いです。
他責思考は弱さではない。
だが、そこで止まるか、そこから動くかで未来は変わる。
他責思考の人との付き合い方──距離を取る?それとも向き合う?
ケンジ:さて問題だ。身近に“なんでも人のせいにする人”がいたら、どうする?
ミサキ:まず、真正面から論破しないことね。火に油。
ミカコ:そう。正論は効かない。なぜなら本人は“守りモード”だから。
ソウタ:じゃあ放っておく?
ケンジ:距離だな。必要以上に背負わない。こっちまで巻き込まれると消耗する。
ワニオ:ワニは噛まれそうな距離には入りません。
ミサキ:あなた噛む側でしょ。
ワニオ:比喩です。
笑いながらも、話は核心に近づいていく。
ミカコ:ただ、完全に切るのも違う場合がある。信頼関係があるなら、「それって本当に全部相手のせい?」って一度だけ投げる。
ケンジ:一回な。何回もやるな。説教は効かない。
ソウタ:それで変わらなかったら?
ミサキ:その人の人生よ。あなたが背負う必要はない。
ワニオ:他人の責任を背負いすぎると、自分が他責になります。
ケンジ:…それ、うまいな。
他責思考の人に引っ張られすぎると、
自分まで「なんであの人は変わらないんだ」と外に矢印を向けてしまう。
ミカコ:だから結局、自分の選択を守ること。巻き込まれないラインを決める。
ソウタ:なんか…今日ちょっと考えさせられるな。
ケンジ:それでいいんだよ。完璧な答えなんかない。
ワニオ:ワニは今日も、水のせいにせず泳ぎます。
ミサキ:さっきまで水や地面のせいにしてたくせに。
編集部にまた笑いが広がる。
他責思考は、誰の中にもある。
でも、最後にどこへ矢印を向けるかは、自分で選べる。
まとめ──他責と自責のあいだで
他責思考の人を否定するだけでは何も変わらない。
自責に振り切るのもまた、危うい。
大切なのは、一度外に向いた矢印を、少しだけ自分に戻してみること。
そして、他人の矢印に巻き込まれすぎないこと。
ケンジ:結局な、自分の舵は自分で握れって話だ。
ミカコ:責めるんじゃなく、選び直す。
ミサキ:被害者ポジションに住み続けるのは、コスパ悪いわよ。
ソウタ:…なんか、ちょっと前向きになれた気がする。
ワニオ:ワニも前向きです。基本、前しか見えません。
それぞれの立場から語り合った夜。
答えはひとつではないが、少なくとも今日、誰も“誰かのせい”だけでは終わらなかった。




