自分磨きをしている時間、私はだいたい誰かを見返そうとしています

「自分磨きって、誰のためにするんですか?」

そう聞かれたら、私はたぶん、自分のためだと答えます。

自分を好きでいるため。
自信を持つため。
昨日より少し素敵な自分になるため。

とても綺麗な答えです。

私も好きですよ。そういう答え。

ただ、実際に私が新しい化粧品を調べているとき、頭の中にいるのは昨日の私ではありません。

誰かに褒められていた女だったり。

私を選ばなかった人だったり。

少しだけ、私を軽く見た人だったりします。

ああ。

今、書いていて気づきました。

私は自分を磨いているというより、刃物を研いでいるのかもしれません。

怖いですね。

でも、よく切れそうです。

私は、自分に自信がないわけではありません。

鏡を見て落ち込むことも、そんなにない。

自分の顔は好きですし、似合う服もだいたい分かっています。

だからこそ、時々思うんです。

今でも十分なのに、十分で終わる理由って何でしょう。

もっと綺麗になれるなら、なりたい。

もっと賢くなれるなら、なりたい。

もっと魅力的になれるなら、なりたい。

そしてできれば。

私を選ばなかった人には、一度くらい後悔してほしい。

自分磨きの動機としては、あまり美しくないですね。

だから今日は、その話を書こうと思います。

目次

綺麗になりたいと思った日に、だいたい誰かに負けている

綺麗な女性を観察するミサキ。追い抜く方法を考えている。

純粋に「もっと綺麗になりたい」と思った日は、たぶんそんなに多くありません。

私の場合ですけど。

だいたい、その前に何かあります。

たとえば、綺麗な女性に会った。

友人が、私の知らないところでずいぶん素敵になっていた。

好きな人が、別の女性を褒めた。

最後のはよくないですね。

その女性は何も悪くありません。

綺麗なら綺麗でいいんです。

私より綺麗かどうかは、また別の話ですけど。

そういう日の私は、とても行動が早い。

帰りの電車で美容情報を調べます。

肌なのか。髪なのか。服なのか。

何が違ったんでしょう。

原因が分からないのは嫌いなので、とりあえず全部見ます。

そして翌日には、何か買っています。

以前、友人に「悔しさで買い物するのやめた方がいいよ」と言われました。

正論です。

なので、その友人には相談しなくなりました。

解決しました。

でも、悔しさってそんなに悪い感情でしょうか。

負けたくない。

もっと見てほしい。

選ばれたい。

惜しいことをしたと思わせたい。

どれも、あまり人前で言わない方がいい感情です。

私は今、全部書いていますけど。

悔しさは、かなり優秀なエネルギーです。

優しくはありません。

でも、仕事が早い。

「自分をもっと好きになるために頑張ろう」と思っている私は、明日から頑張ります。

「あの人を見返したい」と思っている私は、今日やります。

性格の問題かもしれません。

たぶん、そうです。

ただ私は、自分の中にある少し醜い感情を、わざわざ追い出そうとは思いません。

使えるものは使います。

だって。

負けたまま眠るより、パックをして眠った方がいいでしょう。

「人と比べない」が、私はあまり得意ではありません

電車内でスマホをみるミサキ。他人と比較して勝つ方法を考えている。

人と比べるのはやめましょう。

昨日の自分と比べましょう。

他人は他人。あなたはあなた。

正しいと思います。

とても。

ただ、ひとつだけ気になるんです。

昨日の私って、そんなに強敵でしょうか。

昨日の私は、夜更かしをしていました。

お風呂に入るのも少し面倒がっていたし、寝る前に余計なものも食べました。

あの女に勝って、それで満足していいんでしょうか。

私はもう少し上を見たい。

だから、人を見ます。

綺麗な人を見ます。

仕事ができる人も見ます。

話していて心地いい人がいたら、何がそう感じさせるのか考えます。

好きな人が誰を見ているのかも見ます。

かなり見ます。

そこは見なくていいと言われても、見ます。

比較すると苦しくなることはあります。

自分より綺麗な人はいる。

自分より賢い人もいる。

私が欲しいものを、何の苦労もなく持っているように見える人もいます。

腹が立ちます。

あ、違いますね。

刺激になります。

言葉は選んだ方がいいです。

でも私は、比べて落ち込む自分まで嫌いになりたくありません。

羨ましいと思うのは、そこに欲しいものがあるからです。

悔しいと思うのは、自分にも届くと思っているからかもしれない。

本当にどうでもいいものには、たぶん嫉妬もしません。

私は誰かと比べたとき、自分が何を欲しがっているのか分かります。

だから見る。

比べる。

たまに勝手に傷つく。

面倒ですね。

でも、そのあと考えます。

では、どうしましょう。

諦める。

見ない。

気にしない。

そういう方法もあります。

私はたぶん、別の方法を選びます。

追いつけばいい。

できれば、追い越したい。

その方が話が早いので。

醜い動機で始めたことは、醜い結果になるんでしょうか

鏡台の上にある化粧品やメモ。自分磨きのあとが見て取れる。

見返したいから、綺麗になる。

負けたくないから、仕事を頑張る。

馬鹿にされたくないから、勉強する。

好きな人に惜しいと思わせたくて、自分を変える。

こうやって並べると、ずいぶん感じが悪いですね。

もう少し言い方を変えましょうか。

自分の可能性を信じて、美容を楽しむ。

成長したいから、仕事に向き合う。

未来の自分のために、新しいことを学ぶ。

自分らしく輝くために、自分を変える。

どうでしょう。

急に女性誌の特集みたいになりました。

私は、最初の方が好きです。

もちろん、自分のために努力できる人は素敵だと思います。

誰かに勝つ必要なんてない。

過去の自分より少し成長できれば、それでいい。

そう思える人を、私は馬鹿にしているわけではありません。

本当に。

ただ私は、自分の動機をそこまで綺麗に飾る必要もないと思っています。

以前、ある人に言われたことがあります。

「そんな理由で頑張って、虚しくならない?」

少し考えました。

虚しくなるんでしょうか。

見返したくて覚えたことは、今も私の頭に残っています。

負けたくなくて頑張った仕事は、今の私を助けています。

誰かに綺麗だと思われたくて覚えたメイクも、今では自分で楽しんでいる。

相手はもう、私のことなんて覚えていないかもしれません。

それでも、私に残ったものは消えません。

動機まで綺麗じゃないと、綺麗になってはいけないんでしょうか。

私はそうは思いません。

嫉妬でも。

悔しさでも。

執着でも。

少しくらい性格の悪い感情でも。

自分を前に進ませるなら、持っていていい。

ただし。

人を傷つけるのは駄目です。

邪魔をするのも駄目。

悪口を広めるのも、美しくありません。

相手を引きずり下ろすのは、自分磨きとは呼ばないでしょう。

そこは間違えないでください。

誰かに負けて悔しいなら。

その人の靴を隠すのではなく、自分がもっといい靴を履けばいい。

少し高くても。

……これは違いますね。

今のは忘れてください。

とにかく。

醜い感情は、醜い使い方をしなければいい。

私はそう思っています。

嫉妬したなら、磨く。

悔しいなら、覚える。

負けたなら、次の準備をする。

せっかく自分の中から出てきた感情です。

捨てるなんて、もったいないでしょう。

見返したかった人は、だいたい私を見ていない

自宅の窓から外を見るミサキ。少し寂しげな雰囲気。見返したいと思った相手はミサキを見ていない。

少し残念な話をします。

誰かを見返したくて頑張ったことがある人なら、たぶん分かると思います。

綺麗になって。

仕事も頑張って。

前より少し、自分を好きになって。

さて。

そろそろ見返してやろうと思った頃には。

その人は、だいたいこちらを見ていません。

ひどい話です。

私はこんなに準備したのに。

昔、私を選ばなかった人がいました。

正確に言えば、一度は私を選んだ人です。

でも、最後まで私を選び続けた人ではありません。

別れたあと、私は少し変わりました。

髪も。

服も。

考え方も。

文章も。

もちろん、全部その人のためではありません。

そこまで健気ではないので。

でも。

一度くらい、今の私を見たらどう思うんだろう。

そう考えたことはあります。

あります、というか。

まあ。

今もたまに考えます。

名前は書きません。

本人が読む可能性がありますから。

読めばいいのに。

……話を戻します。

不思議ですよね。

私たちは誰かに見せるために変わったはずなのに、変わり終わる頃には、その人がいない。

たぶん、相手は相手の人生を生きています。

私が新しい口紅を選んだ日も。

少し難しい本を読んだ夜も。

悔しくて眠れなかった日も。

知らない。

当然です。

人は、自分が誰かの人生に与えた影響を、驚くほど知りません。

私だって、そうなのでしょう。

私に何かを言われて。

悔しくなった人がいるかもしれない。

私と比べて、鏡を見た人がいるかもしれない。

私を見返したいと思っている人も。

……いるんでしょうか。

それは少し困りますね。

追いつかれるのは嫌なので。

でも、たぶん。

そうやって人は、知らないところで誰かを動かしている。

見返したかった人が、今の私を見ていなくても。

あの人を見返したかった私が、今の私を作った。

それなら。

少しくらい報われているのかもしれません。

少しくらいです。

見てくれた方が、もちろん嬉しいですけど。

それでも私は、たぶんまた誰かを見返そうとする

綺麗になったミサキ。注目する周囲の人々。

ここまで書いておいて申し訳ないのですが。

私はたぶん、これからも誰かと比べます。

綺麗な人を見たら、見ます。

素敵な人がいたら、気になります。

好きな人が別の女性を褒めたら。

笑顔で聞きます。

ちゃんと聞きます。

どこが素敵なのか。

詳しく。

今後の参考にしますので。

嫉妬しない女性には、たぶんなれません。

余裕のある女性にも、あまり向いていない気がします。

「愛されているなら、それだけで十分」

そう思えたら素敵ですね。

私は十分という言葉が、あまり好きではありません。

十分愛されている。

十分綺麗。

十分幸せ。

それは誰が決めたんでしょう。

欲しいものがまだあるのに、満足したふりをする方が、私は苦しい。

もっと欲しいなら、欲しい。

一番になりたいなら、一番になりたい。

負けたくないなら、負けたくない。

言葉にすると、ずいぶん子どもっぽいですね。

でも、大人になると欲がなくなるわけではありません。

隠すのが上手になるだけです。

私はその技術を、あまり身につけられませんでした。

残念です。

いえ。

別に残念でもないですね。

誰かを見返したくて始めたことが、いつの間にか私の一部になる。

悔しくて覚えたことを、今は普通に使っている。

負けたくなくて選んだ服を、今は好きで着ている。

誰かに見てほしくて変わった私を、今は私が毎日見ています。

だったら、始まりなんて何でもいいのかもしれません。

自分のため。

未来のため。

夢のため。

とても素敵です。

見返すため。

私は、それも好きです。

たぶん次に誰かに負けたと思った日も、私は落ち込みます。

少し機嫌が悪くなります。

そして家に帰って、調べる。

考える。

必要なら買う。

努力する。

反省はしていません。

自分を好きになるために、自分を磨く。素敵だと思います。私は勝ちたいので磨きます。

それで今まで、わりとうまくやってきました。

私を綺麗にした人たちへ

たそがれるミサキ。見返したい気持ちを隠さない。

最後に、少しだけお礼を言っておこうと思います。

私を選ばなかった人。

私を軽く見た人。

別の女性を褒めた人。

私より少しだけ綺麗だった人。

少しだけです。

そこは大事なので、訂正しておきます。

あなたたちのおかげで、私はずいぶん変わりました。

知らないことを覚えました。

似合うものが増えました。

傷ついたときの立ち直り方も、少し上手になりました。

自分の中にある嫉妬や執着を、前より怖がらなくなりました。

綺麗な感情だけで生きていける人もいるのでしょう。

私は無理でした。

でも、今はそれでいいと思っています。

悔しさがあったから、動けた。

負けたくなかったから、続けられた。

見返したかったから、鏡の前に立てた。

あの頃の私は、ずいぶん必死でした。

かわいそうだったかもしれません。

でも。

嫌いではありません。

誰かのために始めた努力でも、最後まで自分に残ったなら、それはもう自分のものです。

だから私は、これからも自分を磨きます。

もっと綺麗に。

もっと賢く。

もっと魅力的に。

自分のために。

未来のために。

そして、たまに誰かを見返すために。

私を綺麗にしてくれて、ありがとうございます。

できれば今の私を、一度くらい見てください。

見返したいので。

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