ある日のこいこと。編集部。
ミユとアカリが、別メディアの男性編集者の話で盛り上がっていた。
ミユ:え、あの人めっちゃ優しくない? この前もさ、「無理しないでね」って差し入れくれたんだけど! 普通に好きになりそうだった♡
アカリ:わかる〜! うち、初対面の時から「そのネイル似合ってるね」って言われて、「え、見てくれてるんだ」ってちょっと感動したもん。
ミユ:しかも話聞くのうまいんだよね〜。なんか安心感あるっていうか。
そこへ、編集部のソファで作業していたソウタとイツキが、なんとも言えない顔をした。
ソウタ:……え、あの人?
イツキ:あー……。
アカリ:なにその反応(笑)
ミユ:え、もしかして嫌いなの!?
イツキ:嫌いっていうか……うーん。
ソウタ:なんか、おれちょっと苦手かも。
ミユ:えぇ!? なんで!?
イツキ:男相手だと結構圧強くない? なんか「お前それ分かってないよ」みたいな空気出す時あるし。
ソウタ:あと、おれと話す時と、ミユたちと話す時、ちょっと雰囲気違う気がする。
アカリ:えー? でも優しいじゃん。
イツキ:いや、そうかな。
ソウタ:……なんか、“優しくされる側”だと印象違うのかも。
そこへ、コーヒー片手のナナが通りかかった。
ナナ:あー、あの人?
ミユ:ナナさん絶対好きでしょ、ああいう人(笑)
ナナ:いや別に。あの人、若い女には優しいタイプだよ。
一瞬、空気が止まった。
アカリ:……え。
ナナ:別に悪い人じゃないの。でも、“誰にでも優しい人”と、“自分が好きな相手にだけ優しい人”って、全然違うからね。
ミユ:うわ……。
ソウタ:それか。
イツキ:なんか納得したかも。
ナナ:“いい人”ってね、結局「自分にとっていい人」って意味で使ってること、多いのよ。
ミユが少し考え込む。
ミユ:……いい人って、なんなんだろ。

“いい人”って、見る場所で全然違う

ミユ:でもさぁ、あそこまで気遣いできる人って普通にすごくない? 荷物重そうにしてたらすぐ持ってくれたし。
アカリ:わかる! あと絶対リアクションしてくれるんだよね。「その髪いいじゃん」とか「疲れてない?」とか。
ソウタ:……それ、女の子相手だけじゃない?
ミユ:え?
イツキ:いや、男相手だとかなり違うよ。
アカリ:そんな変わる?
イツキ:変わる変わる。ミユたちにはニコニコしてるけど、男には露骨に雑。
ソウタ:この前もさ、おれが話してる途中で普通にスマホ見てた。
ミユ:えぇ……。
イツキ:しかも若い女の子来た瞬間、「おっ、今日雰囲気違うね〜」とか始まるんだよ。
アカリ:うわ、急にリアル(笑)
ナナ:ああいうタイプいるのよ。
ミユ:でも、それでも優しくはあるじゃん?
ナナ:違う違う。“優しい”んじゃなくて、“好かれたい相手にサービスしてる”だけ。
ソウタ:……それだ。
ナナ:本当に優しい人って、相手で態度そんな変わらないから。
イツキ:あとさ、男には結構マウントっぽいんだよね。
アカリ:えー、うち全然気づかなかった。
ナナ:そりゃそう。アカリには“見せてない”んだから。
ミユ:なんか怖……。
ナナ:怖いっていうか、人って“自分に向けられた態度”で判断しちゃうのよ。
ソウタ:だからミユたちには「いい人」なんだ。
イツキ:でも、おれらからすると普通に苦手。
ミユ:……なんか、「いい人」って言葉、急に信用できなくなってきた。
“自分に優しい人”を、“本当にいい人”だと思ってしまう

ミユ:でもさ……。
正直、わたし普通に「いい人だな〜」って思ってたんだよね。
アカリ:うちも。
だって実際、優しくされてたし。
ナナ:そこなのよ。
“自分に優しくしてくれる人”って、そりゃ好印象になる。
ソウタ:でも、“他人への態度”見ると、結構わかるよね。
イツキ:おれ、あの人が後輩の男ライターにキツく当たってるの見て、かなり苦手になった。
ミユ:えぇ……。
イツキ:女の子には「大丈夫? 無理してない?」なのに、男には「それ前にも言ったよね?」って感じ。
アカリ:うわ、それはちょっと嫌かも。
ナナ:“自分が好かれたい相手”には優しくできる人って、実は結構いるのよ。
ソウタ:……なんか、“優しさ”じゃなくて“選別”なんだよね。
ミユ:うわ、その言い方刺さる。
① 「いい人」は、見る側の立場で変わる
ナナ:例えばさ。
上司に気に入られてる人からしたら、いい上司なのよ。
でも、部下によって態度変わるなら、“みんなにとっていい人”ではない。
ミカコ:恋愛でもあるよね。
彼女には優しい。
でも店員には偉そう、とか。
イツキ:あ〜〜〜。
ソウタ:“自分がされてない嫌な部分”って、見えにくいんだよね。
ナナ:そう。
だから人って、“自分に向けられた態度”だけで判断しがち。
ミユ:なんか耳痛い……。
② 本当に誠実な人は「相手を選びすぎない」
ミカコ:もちろん、人によって多少態度変わるのは普通なの。
でも、露骨に“価値ある相手だけ大事にする人”っている。
イツキ:わかる。
・若い女の子には優しい
・偉い人には低姿勢
・自分より下だと思う相手には雑
このパターン。
ソウタ:おれ、ああいうの結構すぐ気づいちゃう。
ナナ:逆に、本当に誠実な人って、“相手によって人格変わりすぎない”のよ。
ミユ:あー……。
ナナ:店員にも後輩にも男にも女にも、基本ちゃんとしてる。
アカリ:たしかにそれって安心感あるかも。
③ 「優しい人」より「安心できる人」
ソウタ:なんかさ、“優しい”って、意外と演出できる気がする。
イツキ:あ〜〜〜わかる。
褒めたり気遣ったりって、うまい人いるよね。
ミカコ:でも、“安心感”って誤魔化しにくい。
ミユ:安心感?
ミカコ:例えば、
・人によって態度激変しない
・陰で人を雑に扱わない
・立場で態度変えすぎない
こういう人って、結局長く信頼される。
ナナ:“優しい瞬間”より、“普段どういう人か”のほうが大事なのよ。
ソウタ:……“いい人”っていうより、“安心して近くにいられる人”かも。
ミユ:なんか今日、かなり深いな。
“いい人”って言葉、実はかなり曖昧
ミユ:でもさぁ、今日の話聞いてると、“いい人”って言葉よくわかんなくなってきた。
アカリ:わかる。
うち最初、「優しい=いい人」って思ってたかも。
ナナ:まぁ普通そうなのよ。
だって人って、“自分に心地いい人”をまず「いい人」認定するから。
ソウタ:でも、その人が他人にどう接してるかって、意外と大事なんだよね。
イツキ:うん。
おれ、“後輩とか店員への態度”めっちゃ見るかも。
ミカコ:そこって、演出しにくい部分だからね。
① 「優しい」は演出できる
ソウタ:なんかさ、“優しい”って技術でもある気がする。
ミユ:あ〜〜〜。
褒め上手とか、気遣い上手とか?
ソウタ:そう。
だから、“その瞬間の感じよさ”だけだと、わりと作れちゃう。
ナナ:特にモテ慣れてるタイプはうまいのよ。
・目を見る
・褒める
・共感する
・特別扱いっぽくする
この辺自然にやる。
イツキ:うわ、モテ講座始まった。
ミカコ:でも、“本性”って、自分にメリットない相手への態度に出やすい。
アカリ:あー……。
ミユ:それ結構怖いかも。
② 「自分に優しい人」と「誠実な人」は違う
ナナ:あとさ。
“自分に優しい人”って、普通に気持ちいいのよ。
だから好きになるのも自然。
ミユ:まぁ、そりゃ嬉しいしね。
ナナ:でも、“誠実な人”かは別問題。
ソウタ:その人、自分が得したい相手にだけ優しい可能性もあるからね。
イツキ:実際あの人、若い女の子いる時だけテンション違うもんなぁ。
アカリ:うわ、言われるとちょっと見えてきた……。
ミカコ:だから大事なのって、“自分への態度”だけじゃなく、“他人への態度も含めて見れるか”なのよ。
③ 「みんなが好きな人」を無理に好きにならなくていい
ミユ:でもさ、“みんなあの人いい人って言ってるのに、自分だけ苦手”って時、ちょっと罪悪感ない?
ソウタ:ある。
でも、おれ結構そういう直感大事だと思ってる。
イツキ:わかる。
なんか“合わない”ってあるよね。
ナナ:別に、全員が同じ人好きになる必要ないのよ。
ミカコ:むしろ、“みんな好きだから”で違和感無視し続けるほうが危ない時ある。
ミユ:……なんか今日、“いい人”より、“安心できる人”探したほうがいい気がしてきた。
ソウタ:うん。
“ちゃんと人を見てる人”のほうが、おれは好きかも。
“いい人そう”に惹かれる時、人は何を見てる?

ミユ:でもさぁ、なんでああいう人って最初すごい魅力的に見えるんだろ。
アカリ:わかる。
なんか“安心できそう”って思っちゃうんだよね。
ソウタ:たぶん、“自分を肯定してくれる”からじゃない?
イツキ:あー……。
ソウタ:褒めてくれる。
優しくしてくれる。
気を遣ってくれる。
それって普通に嬉しいから。
ナナ:しかも、恋愛初期って“自分への態度”しか見えにくいのよ。
ミカコ:人って、“他人への態度”より、“自分がどう扱われたか”を優先して判断するからね。
ミユ:うわ、それめっちゃあるかも。
① 「感じがいい人」は魅力的に見えやすい
ナナ:特に、“感じいい人”って得なのよ。
・笑顔多い
・リアクションいい
・褒める
・距離感うまい
これだけで、かなり好印象になる。
イツキ:そりゃモテるわ。
ミカコ:でも、“感じの良さ”と“誠実さ”は別。
ソウタ:おれ、“誰にでも感じいい人”は好きだけど、“相手選んで感じいい人”はちょっと苦手。
ミユ:なんか今日のソウタ、ずっと鋭い。
ソウタ:……そういう人苦手だから。
イツキ:わかる。
男側から見ると、結構露骨だったりするし。
② 「モテる人」が「誠実」とは限らない
ナナ:あとね、“モテる人=いい人”って思い込みも結構ある。
アカリ:あー。
ナナ:でも実際は、
・人当たりがうまい
・空気読むのうまい
・相手が欲しい言葉わかる
これでモテてる場合もあるのよ。
ミユ:それって悪いことなの?
ミカコ:悪くはない。
でも、“人に好かれる能力”と、“人を大事にする能力”は別。
ソウタ:うわ、それだ。
イツキ:めっちゃしっくりきた。
③ 本当に大事なのは「弱い相手への態度」
ミカコ:結局、その人の本質って、“自分より弱い立場の人への態度”に出やすいの。
ナナ:店員とか後輩とかね。
ソウタ:あと、“自分にメリットない相手”への態度。
ミユ:……なんか今日、恋愛っていうより人間の話だね。
ナナ:恋愛って、人間性かなり出るからね。
イツキ:なんか、“自分に優しい”だけで判断しちゃダメなんだな。
ミカコ:うん。
“他人にどう接してるか”見れる人のほうが、たぶん長く幸せになれる。
まとめ|“いい人”かどうかは、「自分への態度」だけじゃ見えない
ミユ:なんか今日、“いい人”って言葉の見え方変わったかも。
アカリ:うちも。
“優しくしてくれる人”ってだけで判断してた気する。
ソウタ:でも実際、人って“自分に向けられた優しさ”には弱いよね。
イツキ:そりゃ嬉しいしなぁ。
ナナ:まぁ、それ自体は悪いことじゃないのよ。
ただ、“自分に優しい”と、“人として誠実”は別かもしれないって話。
① 「誰に優しいか」で、人は結構わかる
ミカコ:結局、その人の本質って、“自分が得しない相手への態度”に出やすい。
ナナ:店員とか後輩とか、立場弱い相手ね。
ソウタ:あと、自分にメリットない男相手とか。
イツキ:あ〜……。
ミユ:なんか、“女の子には優しい人”って、それだけだと判断できないんだね。
ナナ:そう。
“好きな相手に優しい”って、わりと普通なのよ。
ミカコ:でも、“相手を選びすぎない人”って、ちゃんと安心感ある。
② 「みんなが好きな人」が、自分に合うとは限らない
アカリ:でもさ、“みんないい人って言ってるのに、自分だけ苦手”って時あるよね。
ソウタ:ある。
でも、おれそういう違和感結構大事だと思う。
イツキ:わかる。
“なんか苦手”って、後から理由わかる時あるし。
ナナ:別に、“みんなが好きな人”を無理に好きになる必要ないのよ。
ミカコ:むしろ、“自分の違和感”ちゃんと見れる人のほうが、人間関係うまくいく。
③ 「いい人」より、「安心できる人」
ソウタ:なんか今日思ったけど、おれ“優しい人”より、“安心できる人”が好きかも。
ミユ:あ、それちょっとわかる。
誰かによって態度激変する人って、あとで怖くなりそう。
イツキ:結局、“今は自分が優しくされる側”ってだけかもしれないもんな。
ナナ:そういうこと。
ミカコ:本当に長く信頼できる人って、“誰かの前だけで人格変わりすぎない人”なのよ。
ミユ:……“いい人”っていうより、“ちゃんとしてる人”を見たほうがいいんだね。
ソウタ:うん。
そのほうが、たぶんあとで苦しくならない。



