初めての合コンは何する?会話・NG行動・連絡先交換まで本音で教えます

「ハルキ、今度の土曜空いてる?」

大学の友人から届いたメッセージは、そんな普通の一文から始まった。

空いてるよ、と返した数秒後。

続けて送られてきた言葉を見て、ハルキは少し固まった。

「男女3対3で飯行くんだけど、一人来られなくなった。合コン。人数合わせで来て」

合コン。

言葉は知っている。

ただ、実際に何をする場所なのかはよく分からない。

男女が集まる。

ご飯を食べる。

たぶん自己紹介をする。

その後は――何をするんだろう。

数日後。

ハルキは、こいこと。編集部で素朴な疑問を口にした。

ハルキ:あの。合コンって、何すればいいんですか?

ナナ:……。

ケンジ:……。

ユウカ:かわいい質問するね、ハルキくん。

ハルキ:いや、ほんとに知らなくて。

ナナ:で? 誰に誘われたの?

ハルキ:大学の友達です。男女三人ずつでご飯行くらしいんですけど、男側が一人来られなくなったみたいで。

ケンジ:なるほど。人数合わせか。

ハルキ:はい。だから行くって言ったんですけど……。

ユウカ:言ったんだ。

ハルキ:言いました。

ユウカ:へえ。

ハルキ:なんですか、その顔。

ユウカ:別に?

ユウカが楽しそうに笑う。

ハルキは少し警戒した。

ナナ:まあいいじゃん。初合コンでしょ?

ハルキ:そうです。でも、何をするのか分からないんですよ。

ケンジ:飯食って話す。

ハルキ:それだけですか?

ケンジ:それだけ。

ハルキ:もっとこう……ルールとか。

ナナ:何の競技だと思ってんのよ。

ハルキ:いや、合コンってなんか独特の作法がありそうじゃないですか。

ユウカ:あるよ。

ハルキ:あるんですか。

ユウカ:ある。

ユウカはテーブルに肘をつき、にこっと笑った。

ユウカ:でも大丈夫。ハルキくんは、たぶん変に頑張らない方がいいタイプ。

ハルキ:それ、褒めてます?

ナナ:褒めてる褒めてる。

ケンジ:半分くらいはな。

ハルキ:半分なんですね。

こうして、こいこと。編集部で急きょ始まった。

テーマは、初めての合コンで何をすればいいのか。

恋愛強者のユウカ。

男目線で静かに見守るケンジ。

そして姉御肌のナナ。

ハルキの初合コン相談は、思ったより本格的な講座になりそうだった。

目次

初めての合コンは何をする場所?まずは「出会いの食事会」くらいで考える

合コンについて質問するハルキ。答えるユウカ。見守るケンジとナナ。

ハルキ:そもそも、合コンって何なんですか?

ユウカ:ざっくり言うと、初対面に近い男女でご飯を食べながら話す会。

ハルキ:やっぱり恋人探しの場なんですか?

ユウカ:そういう目的の人もいるけど、全員がガチで恋人探ししてるとは限らないよ。

ナナ:うん。最初から「絶対に彼女を作るぞ」って力むと、ちょっと空回りするかもね。

ケンジ:初参加なら、まずは普通に会話して、場に慣れるくらいでいいんじゃないか。

ハルキ:普通に会話……。

ユウカ:出た。普通が一番難しい顔。

ハルキ:だって、初対面の女子と何話せばいいんですか。

ナナ:最初は無理に面白いこと言わなくていいよ。名前、大学、普段何してるか。そのくらいで十分。

ケンジ:自己紹介でいきなり爪痕残そうとする男は危ない。

ハルキ:爪痕。

ユウカ:いるんだよね。初対面で急に伝説作ろうとする人。

ナナ:合コンはオーディションじゃないから。自分を大きく見せるより、ちゃんと相手の話を聞ける方が印象いいよ。

ハルキ:なるほど……。

ケンジ:あと、今回みたいな大学生の食事会なら、お酒前提に考えなくていい。ソフトドリンクで普通に楽しめばいい。

ハルキ:そこ、ちょっと安心しました。合コンって、もっと大人の場所かと思ってたんで。

ユウカ:大人っぽく振る舞おうとしなくていいよ。ハルキくんの場合、背伸びすると逆に変になる。

ハルキ:さっきから俺への評価、地味に厳しくないですか。

ナナ:でも本当だと思う。ハルキは、ちゃんと緊張してるくらいの方が自然でいいよ。

ハルキ:緊張してていいんですか?

ナナ:いいよ。初めてなんだから。慣れてるふりして変なこと言うより、ずっといい。

ケンジ:合コンに限らず、初対面で一番大事なのは安心感だな。

ユウカ:そうそう。恋愛強者っぽく見せるより、「この人と話してて嫌じゃないな」って思われる方が強い。

ハルキ:嫌じゃないな、ですか。

ユウカ:最初はそれで十分。初対面でいきなり「好き!」まで行かなくていい。

ナナ:合コンって、恋愛のスタート地点かもしれないけど、いきなりゴールに行く場所じゃないからね。

ハルキ:なんか、思ってたより普通なんですね。

ケンジ:普通をちゃんとやるのが、意外と一番難しいんだよ。

ユウカ:じゃあ次は、初めての合コンでやらない方がいいことから話そっか。

ハルキ:それ、めちゃくちゃ知りたいです。

初めての合コンでやってはいけないこと|モテようと頑張りすぎると空回りしやすい

合コンで面白いと思われようと頑張りすぎるハルキ。ドン引きの参加者たち。

ハルキ:やらない方がいいことって、そんなにあるんですか?

ユウカ:いっぱいあるよ。

ハルキ:怖いな。

ナナ:ユウカ、楽しそうだね。

ユウカ:だって初合コンの男子なんて、一番教えがいあるじゃん。

ケンジ:ハルキ、逃げるなら今だぞ。

ハルキ:もう参加するって言っちゃいました。

ユウカ:じゃあまず一つ目。面白い男になろうとしない。

ハルキ:え?

ユウカ:その顔すると思った。

ハルキ:でも合コンって、面白い人がモテるんじゃないんですか?

ナナ:面白い人はモテることもあるよ。でも、普段そんなに喋らない人が急に司会者みたいになると不自然じゃない?

ケンジ:普段やらないことを本番で初めてやると、大体事故る。

ハルキ:本番……。

ユウカ:ハルキくん、今もう合コンを試合だと思ってるでしょ。

ハルキ:ちょっとだけ。

ナナ:だから力抜きなって。

ユウカ:あと、女子を笑わせなきゃって思わなくていい。普通に笑って話せれば十分だから。

ハルキ:じゃあ、盛り上がらなかったら?

ケンジ:お前一人の責任じゃない。

ハルキ:あ。

ケンジ:六人いるんだろ? 六人で作る場だ。ハルキ一人が背負う必要はない。

ナナ:そうそう。沈黙が三秒続いたくらいで命取られないから。

ハルキ:三秒でも結構焦りそうです。

ユウカ:そういうときは飲み物飲んどけばいいよ。

ハルキ:そんな雑な方法あるんですか。

ユウカ:ある。ストローは人類を何度も救ってる。

ケンジ:そこまでじゃない。

ナナ:でも、間を怖がりすぎないのは大事かもね。

ハルキ:他には?

ユウカ:自慢しない。

ハルキ:それは大丈夫です。

ナナ:即答。

ハルキ:自慢することないんで。

ケンジ:そういう悲しい方向に持っていくな。

ユウカ:自慢って、露骨な「俺すごい」でなくても出るからね。

ハルキ:例えば?

ユウカ:聞かれてないのに大学の話を延々するとか。友達のすごい話で自分まで強く見せようとするとか。

ナナ:あと、恋愛経験を盛る人もいるね。

ハルキ:盛るんですか?

ナナ:いるいる。なんとなく慣れてる感じ出したくなる人。

ケンジ:バレるぞ。

ハルキ:そんな簡単に?

ユウカ:結構バレる。

ナナ:慣れてないなら慣れてないでいいじゃない。そこを恥ずかしがる必要ないよ。

ハルキ:じゃあ「合コン初めてです」って言ってもいい?

ユウカ:全然いい。

ユウカ:むしろハルキくんなら、その方が得。

ハルキ:また俺だけ特殊な評価されてません?

ナナ:ハルキは変に慣れてるふりするより、「よく分かってなくて」って笑ってる方が似合うよ。

ケンジ:それがお前の持ち味なんだろ。

ハルキ:俺の持ち味、頼りない感じなんですか。

ユウカ:違う違う。警戒されにくい。

ハルキ:それ褒めてます?

ユウカ:恋愛ではかなり褒めてる。

ナナ:初対面で「この人、私を狙ってるな」って感じると、ちょっと構えることあるからね。

ケンジ:モテようとしてる男ほど、相手を見なくなることもある。

ハルキ:相手を見なくなる?

ケンジ:自分がどう見えてるかばっかり気にするからな。

ユウカ:そう。髪型大丈夫かな、面白いと思われたかな、俺モテてるかなって。

ナナ:それより目の前の子が楽しそうか見た方がいいよね。

ハルキ:……なるほど。

ユウカ:だから初めての合コンで一番やっちゃいけないのは、「今日モテよう」って頑張りすぎること。

ハルキ:じゃあ俺、何も頑張らなくていいんですか?

ナナ:極端だなあ。

ケンジ:一個だけ頑張れ。

ハルキ:何ですか?

ケンジ:ちゃんと人の話を聞け。

ユウカ:うん。それできたら、初合コンとしてはかなり優秀。

ハルキ:……合コンって、思ってたのと違うな。

ナナ:だから何を想像してたのよ。

ハルキ:もっと全員が必死に自分をアピールする場所かと。

ユウカ:そういう合コンもある。

ハルキ:あるんだ。

ケンジ:今回は知らなくていい。

ナナ:まずは普通にご飯食べてきなよ。

ハルキ:はい。

ユウカ:じゃあ次。ハルキくんが一番困りそうなやつ。

ハルキ:まだあるんですか?

ユウカ:女の子と何を話すか。

ハルキ:……お願いします。

合コンで何を話せばいい?会話は「質問する」より相手の話に乗っかる

相手の話にしっかり乗っかり、楽しく会話できているハルキと合コン参加者の女性。

ハルキ:ここが一番分からないです。

ユウカ:女の子と何話せばいいか?

ハルキ:はい。初対面ですよね。

ナナ:初対面だね。

ハルキ:何も知らないじゃないですか。

ケンジ:だから話すんだろ。

ハルキ:それはそうなんですけど。

ユウカ:ハルキくん、たぶん事前に質問を十個くらい用意しようとしてるでしょ。

ハルキ:……ダメですか?

ナナ:用意してたんだ。

ハルキ:まだしてないです。でも、しようかなって。

ケンジ:やめとけ。

ハルキ:即答。

ユウカ:質問を考えておくのは悪くないよ。でも、それを順番に聞いたら面接になるからね。

ハルキ:面接……。

ユウカ:大学どこですか? 趣味は? バイトは? 休みの日は? 好きな食べ物は?

ナナ:五問目くらいで履歴書出したくなるね。

ハルキ:じゃあ、どうするんですか?

ユウカ:相手が話したことに、一個乗っかる。

ハルキ:乗っかる?

ユウカ:例えば私が「カフェでバイトしてる」って言ったとするじゃん。

ハルキ:はい。

ユウカ:何て返す?

ハルキ:えっと……どこのカフェですか?

ユウカ:悪くない。

ハルキ:よかった。

ユウカ:でも、もう一歩。

ハルキ:もう一歩。

ユウカ:「カフェって忙しそう。俺、注文間違えそう」とか。

ナナ:自分の話を少し足す感じね。

ユウカ:そう。そうすると相手も「忙しいよ」とか「意外と慣れるよ」とか返しやすい。

ケンジ:質問だけ投げ続けるんじゃなくて、会話を返すってことだな。

ハルキ:なるほど。

ユウカ:じゃあもう一問。

ハルキ:講習みたいになってきた。

ユウカ:私、最近韓国ドラマにハマってるんだ。

ハルキ:へえ。何見てるんですか?

ユウカ:面接。

ハルキ:ええっ。

ナナ:厳しい(笑)

ハルキ:じゃあ……俺、韓国ドラマ全然見たことないです。

ユウカ:うん。

ハルキ:初心者でも面白いやつあります?

ユウカ:いいじゃん。

ハルキ:おお。

ケンジ:今の何が違うんだ?

ユウカ:「自分は知らない」って情報が入ってるから、会話になってる。

ナナ:質問って、相手だけに喋らせるものじゃないんだよね。

ハルキ:難しいな……。

ユウカ:考えすぎ。

ハルキ:でも今、二回くらい不合格でしたよ。

ユウカ:不合格にしてないから(笑)

ナナ:ハルキ、会話に正解を探しすぎなんじゃない?

ハルキ:そうですか?

ナナ:うん。「この返しなら好かれる」とか「これはつまらないと思われる」とか。

ハルキ:……ちょっと考えます。

ケンジ:さっきの話と同じだな。

ハルキ:モテようとしすぎる?

ケンジ:そう。

ユウカ:会話上手な人って、毎回すごい返ししてるわけじゃないよ。

ハルキ:そうなんですか?

ユウカ:「それ分かる」とか「私もある」とか「それ面白そう」とか。普通のこともいっぱい言ってる。

ナナ:でも、ちゃんと相手の話を聞いてるから自然に続くんだよね。

ユウカ:そう。次の質問を考えながら聞かないこと。

ハルキ:あ、それやりそう。

ケンジ:相手が喋ってる間に「次は趣味を聞こう」とかな。

ハルキ:やりそうです。

ナナ:もう一回言った(笑)

ユウカ:だから質問リストは禁止。

ハルキ:はい。

ユウカ:その代わり、相手が言った言葉を一個拾う。

ハルキ:一個拾う。

ユウカ:それだけ覚えておけば大丈夫。

ハルキ:なんか……できそうな気がしてきました。

ナナ:そのくらいで行くのがちょうどいいよ。

ケンジ:自信満々になったら止めるけどな。

ハルキ:なんでですか。

ユウカ:ハルキくん、今日教えたこと全部やろうとしそうだから。

ハルキ:……。

ナナ:図星だね。

ハルキ:一個拾うだけにします。

ユウカ:よろしい。

初めての合コンで会話に困ったとき、無理に面白い話題を用意する必要はありません。

相手が話したことを聞き、気になった言葉を一つ拾って、自分のことも少しだけ返す。

質問を続けるより、相手の話に「一個乗っかる」。

それだけでも、初対面の会話はずっと自然に続きやすくなります。

合コンで気になる人がいたらどうする?連絡先交換とその後の連絡

気になる女性と連絡先を交換するハルキ。

ハルキ:じゃあ、もう一個聞いていいですか?

ユウカ:どうぞ。

ハルキ:もし気になる子がいたら、どうするんですか?

ナナ:お。

ケンジ:急に前向きになったな。

ハルキ:いや、もしですよ。

ユウカ:まだ会ってもないのにね。

ハルキ:だから、もしですって。

ナナ:はいはい。もし気になる子がいたらね。

ハルキ:連絡先って聞いていいんですか?

ユウカ:いいよ。

ハルキ:普通に?

ユウカ:普通に。

ハルキ:なんて?

ユウカ:「連絡先交換しない?」

ハルキ:そのままなんですね。

ナナ:何て言うつもりだったの?

ハルキ:いや、もっと自然な流れを作るのかと。

ケンジ:自然な流れ?

ハルキ:例えば……。

ハルキ:今日撮った写真を送るから、とか。

ユウカ:写真撮る予定あるの?

ハルキ:ないです。

ナナ:じゃあ写真を作るところから始めるの?

ハルキ:そう言われると変ですね。

ケンジ:かなり遠回りだな。

ユウカ:ハルキくんって、恋愛になると急に迂回路探すね。

ハルキ:直接聞くの、恥ずかしくないですか?

ナナ:恥ずかしいのは分かるけど、変な理由を作るより素直な方がいいよ。

ユウカ:合コンなら連絡先交換もそんなに不自然じゃないしね。

ハルキ:じゃあ交換できたとして。

ケンジ:まだあるのか。

ハルキ:そのあと何送るんですか?

ユウカ:普通に「今日はありがとう。楽しかった」でいいよ。

ハルキ:短くないですか?

ユウカ:短くていい。

ハルキ:もっと印象に残ること書かなくていい?

ナナ:また爪痕残そうとしてる。

ハルキ:あ。

ケンジ:今日だけで何回同じ場所に戻るんだ。

ユウカ:ハルキくん、恋愛の迷路でスタート地点に戻るタイプだね。

ハルキ:ちゃんと進んでるつもりなんですけど。

ナナ:でも、気になる子なら少しだけ具体的に送ってもいいんじゃない?

ハルキ:具体的?

ナナ:例えば、その子とカフェの話で盛り上がったなら、「さっき話してたカフェ気になった」とか。

ユウカ:そうそう。二人が話した内容を一つ入れる。

ハルキ:ここでも一個拾うんですね。

ユウカ:お。成長してる。

ケンジ:今日覚えた技が一個しかないからな。

ハルキ:技って言わないでください。

ナナ:でも大事だよ。「ちゃんと話を覚えてたんだ」って分かるから。

ハルキ:なるほど。

ユウカ:あと、気になる子がいても、その場でずっとその子だけと話そうとしない方がいい。

ハルキ:え、ダメなんですか?

ユウカ:ダメとは言わないけど、六人で来てるんでしょ?

ナナ:一人だけ露骨に特別扱いすると、相手も困ることあるからね。

ケンジ:周りにも全部バレるしな。

ハルキ:それは恥ずかしい。

ユウカ:気になる子がいても、まずはみんなと普通に話す。

ユウカ:その中で少し話が合ったなら、あとから連絡すればいいよ。

ハルキ:……なんか全部、思ってたより地味ですね。

ナナ:恋愛ってそんなものじゃない?

ハルキ:もっとこう、一発で決めるものかと。

ケンジ:一発で決めようとするから失敗するんだよ。

ユウカ:合コンで会って、その日に好きになって、その日に付き合う。

ユウカ:ハルキくん、何時間の予定?

ハルキ:二時間くらいです。

ナナ:二時間に人生詰め込みすぎ。

ハルキ:確かに。

ケンジ:気になる人がいたら、また話せるようにしておく。それで十分だ。

ハルキ:また話せるようにしておく。

ユウカ:そう。初対面のゴールは「付き合う」じゃなくて、「もう一回話してもいいかも」でいい。

ハルキ:それなら、ちょっと気が楽です。

ナナ:やっと肩の力抜けてきたね。

ハルキ:はい。なんか普通に行けそうな気がしてきました。

ユウカ:お。楽しみになってきた?

ハルキ:ちょっとだけ。

ナナ:かわいい子いるといいね。

ハルキ:ナナさんまで。

ケンジ:いたら報告しろ。

ハルキ:なんで皆さんに報告するんですか。

ユウカ:編集部案件だから。

ハルキ:いつ案件になったんですか。

さっきまで不安そうだったハルキの表情が、少しだけ明るくなる。

初めての合コン。

何か特別なことをしなくてもいい。

普通に話して、相手の話を聞いて、もし気になる人がいたら、また話せるきっかけを残す。

どうやらハルキも、ようやくそう思い始めたらしい。

――そのとき。

編集部のドアが開いた。

初合コンを少し楽しみにしていたハルキと、アカリの「ふーん」

ハルキが合コンに参加すると聞き微妙な返答のアカリ。楽しそうに見るユウカ、ナナ、ケンジ。

アカリ:おつかれー。

編集部に入ってきたアカリは、いつものように軽く手を上げた。

ナナ:おつかれ。

ユウカ:あ、アカリちゃん。いいところに来た。

アカリ:何なに?

ユウカ:ハルキくんの合コン講座。

アカリ:……。

ハルキ:いや。

アカリ:ふーん。

ハルキ:待って。今、説明するから。

アカリ:別に聞いてないけど。

ハルキ:……。

ケンジ:コーヒー飲むか?

ハルキ:今ですか?

ケンジ:今だろうな。

ケンジは自分のマグカップを持ち上げた。

ナナは何も言わず、少しだけ口元を緩めている。

アカリ:で? 合コン行くの?

ハルキ:行く。

アカリ:へえ。

ハルキ:大学の友達に誘われたんだよ。

アカリ:うん。

ハルキ:男が一人来られなくなって。

アカリ:うん。

ハルキ:人数合わせ。

アカリ:分かったって。

ハルキ:……。

ユウカ:ハルキくん。

ハルキ:はい。

ユウカ:今、誰も質問してないよ。

ハルキ:分かってます。

ナナ:さっきまで「ちょっと楽しみ」って言ってたのにね。

ハルキ:ナナさん。

アカリ:楽しみなんだ。

ハルキ:いや、そういう楽しみじゃなくて。

アカリ:どういう楽しみ?

ハルキ:……初めてだから。

アカリ:ふーん。

ケンジ:今日二回目だな。

アカリ:何が?

ケンジ:いや。

アカリ:変なの。

アカリは冷蔵庫を開け、ペットボトルのお茶を取り出した。

怒っているわけではない。

たぶん。

いつものアカリと、そんなに変わらない。

たぶん。

アカリ:かわいい子いるといいね。

ハルキ:……うん。

アカリ:何、その返事。

ハルキ:いや。

アカリ:別にいいじゃん。ただの合コンなんだから。

ハルキ:そうだけど。

アカリ:じゃあ楽しんできなよ。

ハルキ:……おう。

また、少しだけ会話が止まった。

ユウカ:ねえ、ナナさん。

ナナ:何?

ユウカ:私たち、そろそろ帰る?

ナナ:そうだね。

ハルキ:なんでですか。

ケンジ:俺もコーヒー淹れてくる。

ハルキ:さっきから飲んでるじゃないですか。

ケンジ:二杯目だ。

アカリ:みんな何なの?

ユウカ:別に?

アカリ:その言い方ムカつく。

ユウカ:ごめんごめん。

笑いながら立ち上がるユウカを、アカリが怪訝そうに見る。

ハルキはスマートフォンを取り出した。

友人とのメッセージ画面には、土曜日の集合時間と店の名前。

少し前まで、初めての合コンが楽しみになっていた。

普通に話せばいい。

相手の話を一つ拾えばいい。

気になる人がいたら、また話せるようにしておけばいい。

全部、分かった。

なのに。

アカリ:ハルキ。

ハルキ:ん?

アカリ:何でもない。

ハルキ:何だよ。

アカリ:だから何でもないって。

ハルキ:……そっか。

アカリはお茶を飲む。

ハルキはスマートフォンを見る。

二人とも、相手を見ない。

ハルキはもう一度、土曜日の予定を見た。

さっきより少しだけ、合コンが楽しみではなくなっていた。

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