こいこと。編集部から、記事執筆の依頼が来ました。
テーマは「自己肯定感」だそうです。
なぜ恋愛にあまり興味のないワニに、そのような依頼が来るのかは不明です。
ただ、人間観察は好きなので書いてみます。
最近の人類は、ずいぶん自己肯定感に悩んでいます。
SNSを開いて落ち込む。
恋愛で落ち込む。
仕事で落ち込む。
誰かと比べて落ち込む。
だいたい、ずっと落ち込んでいます。
ワニから見ると、人間は「自分」という生き物に期待しすぎです。
もっとこう、観葉植物くらいの気楽さで生きてもいいと思います。
葉っぱが一枚しおれたくらいで、「自分には価値がない」とはならないでしょう。
でも人間は、LINEの返信が少し遅れただけで、存在価値まで揺らぎ始めます。
かなり繊細です。
なので今回は、ワニなりに「自己肯定感」について考えてみます。
なお、専門家ではありません。
昼間、公園でハトを眺めている時間の方が長いです。
その点はご了承ください。

人間は“点数化”しすぎです
自己肯定感が低い人を見ていると、だいたい「自分に点数をつけすぎ」な気がします。
恋愛。
仕事。
年齢。
年収。
フォロワー数。
返信速度。
だいたい全部、数字にしたがります。
人間はかなり採点好きです。
たぶん学校生活が長すぎたのでしょう。
しかも厄介なのは、「今日は80点」「今日は40点」だけでは終わらないことです。
40点の日が来ると、存在そのものまで減点し始めます。
これは、かなり雑な採点です。
例えばワニは、昼寝に失敗しても「今日はワニとして終わってる」とはなりません。
ちょっと首が痛いだけです。
でも人間は違います。
LINEの返信が遅いだけで、「嫌われた」「魅力がない」「終わった」と壮大なストーリーを始めます。
想像力が豊かすぎます。
あと、人類は“他人の満点”を見るのが好きです。
SNSを開いては、「旅行」「恋愛」「結婚」「キラキラした休日」を眺めています。
でもあれは、人生の通知表ではありません。
人生の“切り抜き”です。
スーパーの試食コーナーだけ見て、「この家の食生活すごいな……」と落ち込む人はいないでしょう。
でもSNSだと、それをやります。
かなり不思議です。
あと、人間は「昨日の自分」と比べず、「世界で一番うまくいってる人」と比べ始めます。
それは少し、比較対象が強すぎます。
ザリガニが急にシャチと泳ぎ比べを始めるくらい無理があります。
自己肯定感というより、対戦カード設定の問題かもしれません。
なのでまずは。
“自分を採点する回数を減らす”
これだけでも、だいぶ楽になります。
冷蔵庫に点数をつけないように。
電柱に点数をつけないように。
自分にも、そこまで細かく点数をつけなくていいのかもしれません。
“ダメな日”を人格にしない

自己肯定感が低い人は、「今日の状態」と「自分そのもの」を混ぜがちです。
たとえば。
仕事でミスした。
やる気が出ない。
返信がうまく返せない。
そういう日があります。
すると人間は、すぐにこう考えます。
「自分はダメだ」
ですが。
それは“今日の状態”の話です。
人間は、毎日同じ性能ではありません。
乾電池みたいなものです。
残量が少ない日は、動きが鈍くなります。
それだけです。
なのに人間は、充電5%の日に「自分という存在は終わっている」と壮大に解釈します。
かなり話を大きくします。
あと、人類は“疲労”を軽視しすぎです。
寝不足。
気疲れ。
考えすぎ。
SNS。
気温。
だいたい色々なものに削られています。
それなのに、「元気に動けない自分」を責め始めます。
ワニから見ると、少し酷使しすぎです。
スマホならもっと丁寧に扱うでしょう。
充電が減ったら充電する。
熱を持ったら休ませる。
動作が重ければ再起動する。
でも自分自身には、それをやりません。
不思議です。
しかも人間は、「元気な日の自分」を標準設定にしがちです。
ですが観察していると。
人間の標準状態は、わりと不安定です。
やる気のある日。
何もしたくない日。
急に昔を思い出して落ち込む日。
コンビニの新作アイスだけで少し回復する日。
だいたい、そんな感じです。
なので。
“ダメな日”を人格にしないこと。
これはかなり大事です。
今日は低電力モードだった。
それくらいで考える方が、たぶん長持ちします。
ワニでも、食料調達に失敗して機嫌が悪い日はあります。
ですが翌日には、だいたい戻っています。
生き物とは、そういうものです。
SNSは“人生の試食コーナー”です

自己肯定感を下げている原因として、最近かなり強いのがSNSです。
人間は、他人の人生を見るのが好きです。
旅行。
恋愛。
結婚。
おしゃれなカフェ。
キラキラした休日。
だいたい光っています。
ですが。
SNSは“人生そのもの”ではありません。
人生の「切り抜き」です。
もっと言うと、試食コーナーです。
スーパーで小さいウインナーを一口食べて、「この家の食卓は毎日完璧なんだ……」と落ち込む人はいないでしょう。
でもSNSでは、それに近いことをやります。
かなり不思議です。
あと、人類は「楽しそうな瞬間」を撮るのが上手すぎます。
逆に。
スーパーで半額シールを眺めている瞬間や、布団で「何もしたくない」と転がっている瞬間は、あまり投稿しません。
なので、全員ずっと充実して見えます。
ですが観察していると。
人間の現実は、わりと地味です。
スマホを見てぼーっとする。
冷蔵庫を無意味に開ける。
何か忘れた気がして立ち止まる。
そういう時間の方が、実際は長いです。
さらにSNSは、“比較装置”として優秀すぎます。
人間は本来、近所の数人くらいと比較して生きていました。
ですが今は。
世界中の「うまくいってる瞬間」が流れてきます。
これは少し、情報量が多すぎます。
アリが急に世界陸上を観戦して、「自分は走るのが遅い」と悩み始めるくらい無理があります。
あと、SNSは“編集済み”です。
人間は、良い角度を探します。
明るさを調整します。
失敗した写真は消します。
つまり。
だいたい、人生のベストテイクだけが並んでいます。
それを見て、「自分の日常は地味だ」と落ち込むのは、少し不公平です。
映画館で予告編だけ観て、「自分の人生は盛り上がりが少ない」と悩むようなものです。
なので。
SNSを見るときは、“人類の展示会”くらいの気持ちでいると丁度いいです。
「へえ、こんな生き方もあるんですね」
くらいで十分です。
全部、自分と比較しなくても大丈夫です。

自己肯定感より、“自己雑扱い”をやめる

自己肯定感を上げたい人を見ていると、もっと根本的な問題があります。
自分の扱いが雑です。
かなり雑です。
寝不足。
食事が適当。
ずっとスマホ。
部屋が荒れている。
疲れているのに休まない。
でも人間は、その状態で「なんか自己肯定感低いな……」と悩み始めます。
順番が逆な気がします。
観葉植物でも、もう少し丁寧に扱われています。
日光。
水。
風通し。
枯れかけたら心配されます。
でも人間は、自分にはそれをやりません。
夜更かしして。
スマホを見続けて。
コンビニ飯だけ食べて。
「なんで元気出ないんだろう」と言います。
ワニから見ると、だいぶ酷使しています。
あと人類は、“自分を機械だと思いすぎ”です。
ずっと動けると思っています。
ですが実際は、生き物です。
犬も疲れます。
猫も機嫌が悪くなります。
ワニも寝床の角度が悪いと少し不快です。
人間だけ、常に完璧稼働しようとしています。
それは少し、期待値が高すぎます。
あと、自己肯定感が低い人ほど、“減点方式”で生きています。
できなかったことを数えます。
失敗したことを覚えています。
でも。
歯を磨いた。
起きた。
会社に行った。
返信した。
そういう“普通にやっていること”は、なぜかノーカウントです。
かなり厳しい採点です。
なのでまずは。
“自分を雑に扱わない”
ここから始める方が、たぶん効果があります。
難しい自己分析より。
早く寝る。
湯船に入る。
少し片付ける。
ちゃんと食べる。
その辺の方が、意外と人間は回復します。
自己肯定感は、「自分サイコー!」と叫ぶことではありません。
“自分を必要以上に粗末にしない”
それくらいで、十分なのかもしれません。

ワニオ流・自己肯定感の結論
ここまで色々書きました。
ですが結論としては。
自己肯定感とは、「自分サイコー!」になることではない気がします。
人間を観察していると、そこを勘違いしている人が多いです。
常に前向き。
常に自信満々。
落ち込まない。
キラキラしている。
そういう状態を目指します。
ですが。
たぶん生き物として、少し無理があります。
猫も急に不機嫌になります。
犬も意味なく落ち込みます。
ワニも、昼寝中に虫が飛んでくると嫌です。
生き物とは、わりと機嫌に波があります。
なので。
「今日はダメだな」くらいで済ませる。
それが意外と大事です。
人間は、すぐに“人生全体”に話を広げます。
仕事で失敗。
「自分は価値がない」
恋愛で空回り。
「誰にも愛されない」
SNSで比較。
「みんな幸せそう」
かなり壮大です。
ですが実際は。
疲れているだけかもしれません。
寝不足かもしれません。
考えすぎかもしれません。
あるいは、お腹が空いているだけかもしれません。
人間は空腹でも哲学を始めます。
なので。
まずは、自分を必要以上に責めないこと。
そして、自分を雑に扱いすぎないこと。
それくらいで十分です。
自己肯定感は、“特別な自分になる技術”ではありません。
「今日は調子悪いですね」で終われる力
そちらに近い気がします。
最後に。
ワニは、別に自己肯定感が高いわけではありません。
ただ。
「今日は眠いので寝ます」
を、わりと素直にやっています。
人間も、もう少しそれでいいのかもしれません。



